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【Web版】続・異世界温泉であったかどんぶりごはん  作者: 渡里あずま


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色々とギャップ萌え

「よく来たな、姫」

「レギン師、ごきげんよう」


 作業場らしい部屋。そこに入った恵理達の前で、ドワーフの男性とアレクサンドラが会話を交わす。

 ドワーフの特徴である、小柄だががっしりとした体躯。違うのはローニ達は茶系の髪色だったが、レギンと呼ばれた男は髪と瞳、そして立派に蓄えた髭が灰色だったことだ。あとローニは髪を短くしているが、レギンは束ねず髪を下ろしているのと、作業着ではなく黒い長衣を着ているので職人と言うより、賢者や魔法使いのように見える。


「初めまして、恵理と言います。よろしくお願いし」

「ご丁寧に……だが、すまん! ローニからの手紙で、奇抜な発想の持ち主だと聞いておる! 精査はこっちでするから、とにかく話を聞かせてくれ!」


 しかし恵理が話しかけた途端、遮ると言うか被さるようにそう言うとレギンは灰色の目をキラキラ、いや、ギラギラと輝かせて恵理を見た。やはり、好奇心旺盛なローニ達と同類だった。

 そして、おもむろに椅子を持ってきて恵理達を座らせ、膝掛けや焼き菓子、あとホットワインが出された。この異世界では、飲酒は十二歳以上からなのでレアンも問題なく飲める。


(いや、そこじゃない。これだけ至れり尽くせりなのは、長時間話を聞く為よね)


 リウッツィ商会支店の為、ボイラーの話をするのはやぶさかではない。とは言え、この調子だと徹夜で話しても開放されない気がする。

 それ故、少しでも時間を短縮する為に恵理はティートに言われ、用意していたものを取り出した。


「あの! これ、私の話を聞いてローニさんが描いてくれた図面です! 少しでも、参考になればと」

「おぉっ!」

「あと、この小型温風機と図面も、ローニさんから持っていくように頼まれました! 不明点があれば、お聞き下さいっ」

「うむ、解った!」


 恵理の言葉に大きく頷くと、レギンは食い入るようにボイラーの図面に目を通す。一から十まで説明よりは、ある程度図面や完成品を見せて、質問形式を取った方が良い。ティートの提案は、大成功だったようだ。

 とは言え、ある程度読んだら質問が出るだろうからと「いただきます」と言って、恵理は焼き菓子に手を伸ばした。タルト生地に、焼き色のついた黄色いクリームが入っている。食べてみると、口の中に優しい甘さが広がった。


(昔、食べたエッグタルトみたい……あ、図面見ながらレギンさんも食べてる。甘いもの食べるんだ。頭使うのもだけど、お父さんが寒いところでは甘いものが食べたくなるって言ってたから。それでかな?)


 小柄ながらも逞しいドワーフ男性とスイーツの組み合わせに、恵理はほっこりしながらホットワインを飲んだ。結果、身も心もポカポカした。

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