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ある意味良かった、のかな

「ヴェロニカからの手紙で、あなたの話は全く出て来なかったから……だから、変に盛り上がらないように言ったのに」


 にこにこ、にこにこ。

 絹糸のような銀糸の髪。透き通った水色の瞳――元々が北の辺境出身の為、雪や氷の精霊を連想させる美貌だったが今は笑顔なので人間味がある上、ますます美しさと輝きが増している。


(とは言え、言っていることは酷いけど)


 確かにアレクサンドラが言う通り、辺境伯領に来るに当たって恵理はグイドのことを全く思い出さなかった。だからそもそもニゲルに行く頭数に入れていなかったし、先程、グイドが参加を希望した時も即却下した。

 そんな恵理が言ってはいけないかもしれないが、断られてショックを受けたらしいグイドを見て楽しそうな辺り、言っていることもだがやっていることも酷い。それとも何かとやらかすグイドなので、何かアレクサンドラを怒らせるようなことをしたのだろうか?

 そして恵理達の見ている前で、アレクサンドラは決まり、とばかりに手を打って(大きな音ではなくあくまでも上品にだが)言葉を続けた。


「さあ、観念して訓練に専念しましょう? 今回は、私も参加するわ」

「訓練って……最近は基礎練以外は、ご令嬢達や週一で帰ってくるアクレサンドラ様との打ち合いばかりじゃないですか」

「仕方ないわ。騎士や他の冒険者は、いくら女騎士になるからって露骨に手加減するのだもの。その点、あなたは……流石に、全くしないとは言わないけれど。それでも、他の者達よりは真剣に向き合ってくれるから。私達、とても助かっているの」


 アレクサンドラの言葉を聞いて、恵理は考えを改めた。どうやらグイドは、アレクサンドラにそれなりに気に入られているらしい。

 ……かつてアレクサンドラは恵理達に、婚約者になった時は女性騎士の登用を増やし、なれなければ自分が女性騎士となって女性だけの騎士団を作るのだと言っていた。

 その後、ヴェロニカから聞いた話によると――アレクサンドラは女騎士となり、更に辺境領で女性騎士団を作ることを許された。とは言え、帝都はまだまだ男性社会であることと、今は人を集めている最中なので辺境伯領で訓練中だと聞いている。

 元々のグイドは、女性の恵理を下に見ていたが――以前、恵理がボコボコに叩きのめしたことで女性だからと手加減しなくなったのだろう。とは言え、それでアレクサンドラ達令嬢に気に入られ、訓練に付き合わされているので良かったのか悪かったのか。

 だからと言って、恵理としては前言を撤回するつもりはない。


「グイド? 私達は真剣なの。訓練を放り出す理由にされるなんて、冗談じゃないわ」

「女神の言う通りです」

「グイドさん、諦めて下さい」

「そうそう、男は引き際が大切だからな」

「ん」

「追い討ちかよ! しかも皆して、当たりキツいな!?」

「さあ、彼は放っておいてレギン師のところに行きましょうね」

「無視!?」


 そして改めてお断りを入れた後、恵理達はアレクサンドラに促されるまま、目的であるドワーフの店へと向かった。

 ……アレクサンドラの護衛であるグイドは、しょんぼりしつつも恵理達に付いてきた。

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