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この作品には 〔ボーイズラブ要素〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

CoCo壱でクリスマス?!(「龍虎」「灼熱」「理髪店」の合同企画、パロディ作品です)

作者: mono黒

こちらで掲載している「龍虎の契り」「灼熱の太陽針の月」「理髪店の男」のパロディ作品です。

普段は繋がらない物語同士がCoCo壱に集ってしまった!軽くサクッと笑い飛ばしてやって下さい!


「チンケだ」


空港を降り立ったばかりだと言うのに、不満げな顔を晒して空港管内を見渡しながらラムランサンはツンと鼻を上向けそうのたまわった。

下へと降るエレベーターに乗りながら、隣のラムランサンをノーランマークが覗き込む。


「うん?何がチンケだ?

チンケと言うのはこの飾り付けのことか?それともこの小さな人々のことか?」


クリスマスシーズンに突入した成田空港では、それなりに美しくクリスマスを飾り付け、行き交う人々の目を楽しませていた。

そのなかで、其々の店舗やブースごとに細やかな飾り付けに従業員達が忙しくちまちまと立ち働いている。

そんな中で豪華な金髪を靡かせ、一際大きな体格のノーランマークと腰までの漆黒の黒髪を持つ神秘的な雰囲気を醸すラムランサンは歩くだけで否応なく目立っていた。


「勿論、両方だ。日本人というのはみんなこんなにちまちまと動くものか?」

「小柄だからそう見えるんだろう。大体お前が普段から優雅過ぎるんだ。最もあんな城で暮らしていれば世間のスピード感に鈍いのもまあ、わからんでも無いが」

「鈍い?鈍いとは?」


全く自分の事を分かっていないラムランサンに説明するのは難しい。

ノーランマークは自分の失言に後悔した。一階へ着くとすぐにフロアを包むスパイシーな香りが鼻腔をくすぐった。


「なあ、ラム。腹減らねえか?」

「機内食を食べだろう?まだ腹が減っているのか卑しい奴め!」

「何とでもいうが良いさ、オレは食いたい時に食いたいものを食う!お前のおかげでいつ死ぬか分からん身の上だ。一瞬一瞬悔いを残さず!だ。おお、ここからか?芳しい香りは!」


空港のエントランスを闊歩している二人の前に、やたら良い匂いをかもしている店が現れた。看板にはCoCo壱とある。


「…ココ?何と読むのだ?怪しい店だ」


訝しそうに店内に目を細めるラムランサンの腕を取ると、ノーランマークは強引に中へと入っていった。

カウンターに通されると、ラムランサンが眉間に皺を立てて立ち上がり店員に叫んだ。

「おい、お前!個室はないのか!個室は!」

「この国には郷に入っては郷に従えと言う諺があるらしいぞ?まあ、座れよ。それより店員、バーボンをくれ」

声の大きな二人の客の前で、店員が萎縮していた。

「いや、当店にはバーボンはちょっと…」




「うわ〜、何か騒いでますよ?あの御二方。随分と目立つ外国人ですね」


賑やかなカウンター席から少し離れたテーブル席で、そそとカレーを口に運ぶ着物姿の美人の姿がある。

向かいの男もまた着物姿だ。座っていなければ、こちらもこちらで目立った二人組だった。


「何処の国の人だろうな、豪華な金髪に、もう一人は君のような美しい漆黒の艶黒髪の人だね、棗」


棗の眉がピクリと跳ねた。


「その、美しいと言うのは、何処にかかるのですか?美しい髪?美しい人?

李仁さんって何気に美人がお好きですよね?」


何気なく言った言葉が嵐を呼ぶ事だってある。ことに棗の場合、こう言った場面での言葉選びは慎重にしなければならないのだ。


「も、勿論髪の方だよ。君より美人なんてこの世にいる訳もないだろう?」

「ふうん?髪はあの人に負けてるんですね私。そうですよね、長い分ツヤツヤ感は負けてますよね。伸ばそうかな私も」

「き、君はそのままが一番素敵だよ。可愛いおかっぱじゃないか」


火に油と言うが、正しくそれが油だ李仁!と思わず思ったが、それは今更遅かった。


「おかっぱ?!ボブって言ってくれませんか?おかっぱだなんて戦時中の子供みたいな!」

「え、言うだろう?普通におかっぱって…」

「ボブですってば!」


スプーンを握りしめた拳がドン!とテーブルを叩くと、テーブルの上の皿が弾んでがシャン!と必要以上に大きな音を立てていた。


その背後でその物音にビクッとなっている人がいた。キチっとした身なりの秋山が、カレーを喉に詰まらせていたのだ。


「や、八神さん。早く食べてここすぐ出ましょう。なんだか荒れてますよこの店」


周囲の賑々しさも何のそのといった調子で、派手な格好をした向かいの男は皿を片手にカレーをかき込んでいる。


「なんだか活気があるじゃねえか!俺たちも混ざるか?楽しそうだぜ?」

「そうやって無闇に突っ込んで行くから大変な目に遭うんですよ。ああもう、ほら、お米がついてますよ」

そう言うと、八神の顎についていた米粒に指先を伸ばすと、それを取ってひょいと秋山は自分の口に入れた。

「へへ、なんか…女房みたいな事すんだな先生」


あちこちにスイッチがある八神の何処かにヒットしたらしい。やにわに大きな手がガシッと秋山の胸ぐらを掴んで己に引き寄せキスをする。


「うわあっ!!何すんだ!八神さん!!か、カレーがっ!じゃなくて人が見てる!」

「うるせえ、煽ったのはアンタだ、先生」


そう言うが早いか、八神はもう一度秋山の唇を奪いに行くのだった。



ここに店の前に立つ二人組の姿があった。

茶色い髪をポニーテールにした若い男と、いかにも警官と言う雰囲気の厳つい男だ。

撫川なつかわどうしてもカレーじゃなきゃダメか?」

「ここのカレー好きなんですよ、久我くがさんだって食べたいっていってたよね?」

「言ったよ、言ったが、どうも入る気にならん!」


店の中を見れば何か揉めてる二人組の外人と、荒れてる芸者とそのお客。そして派手なホストに襲われている真面目な男。


「なんか、まともな人がいませんね。違うお店に行きますか?何処に絡まれても面倒そうですよ」

「あ、ああそうだな。連載始まってないのにケチがつくのも嫌だしな」


そう言うと、新連載予定の「幻のせな」の二人組はCoCo壱に立ち寄る事なく、この場をさっさと後にして行ったのである。


其々のCPにも漏れなくクリスマスはやって来る。

願わくば、穏やかなクリスマスで在らん事を願うのみだ。

そして皆様にも感謝を込めて、Merry Xmas!


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