第8章 魔女
不定期投稿なろう作家マン参上!第8章投稿でござる!
楽しんでいただけたら、幸いです。
気持ちの良い朝を迎えた。布団はずり落ちていたが、あまり寒くはない。
でしょうな。カナたんがぴったり密着してるもん。まあそれはそれなりに関係なくただ気温が低くないだけなんだが。
「カナ、起きて」
「ん…おはよ」
「おはよう。よく眠れた?」
「うん」
それは良かった。寝心地が悪いって言われたら泣くところだった。
「お着替えしておいで」
「や」
「やじゃないでしょ」
「ん〜!」
カナは俺にぎゅーっと抱きついて頬をすりすりさせてくる。
あああああああああああかわいいなあもおおおおおおお!仕方ない。
「じゃあ連れて行くから、俺が着替えるまで待ってて」
「ん」
カナはそれだけ言ってベッドにダイブする。二度寝した。俺はせっせと着替え、カナを抱き上げてユイたちがいる部屋に向かった。数分後、4人揃って出てくる。
「んじゃ、次の街に行っちゃいますか」
「そだね、行こう」
俺たちは次の街に向かってくれる馬車に乗り、進み出しだ。勿論、尻が痛い。
「ハルさん、次はどこの街?」
「ん、次はな、この大陸の第2王都ディルバロ。その付近で魔王軍の幹部がいて、人々の生活が脅かされているらしいんだ」
「助けに行くということですか?」
「ああ。恩を売ってなんらかの報酬が出ないかなってな」
そう言うと、ユイとミオが呆れたようにため息をついた。何故呆れられたか分からず、俺は首を傾げた。すると、ユイがそれに気づき、口を開いた。
「ハル君、そういう目的ばっかりだね」
「仕方ないだろ。金がいるんだから」
「まあそうなんだけどね」
ユイが微妙な表情でそう言う。金が必要なのは本当のことなので、俺の言っていることは正論に近いはずだ。それに労働する時間も惜しい。手っ取り早く稼ぐのなら、戦いで功績を挙げた方がいい。それはみんな分かっている。まあ微妙な表情になっちゃうのも分かるけどさ。
「…なんか騒がしくないか?」
「ん、確かに」
「おっちゃん、何かあったのか?」
と、馬車の手綱を握っている中年の男に声をかける。すると少し焦った様子で答えた。
「リザードライダーがこっちに向かってきてるらしいんだ。1度止まって傭兵たちに撃退させようとしてんだ」
「手伝うよ」
「お客さんが?」
「ああ、任せて。んじゃ行ってくる。大人しくな」
そう言って馬車を飛び出し、砂煙を見据える。もう普通に目視できるほど接近している。刹那、駆ける。先頭の1体を地面と平行ににぶっ飛ばすと、それに巻き込まれた数体も転げ落ちる。
「さて、通り過ぎて行った奴らは…まじか」
囲まれていた。単純に突進するだけの敵だと思っていたが、誤算だったな。
そう後悔しながらも、剣を構えた。
「《燃え盛れ、爆炎よ。我が導に従いて灼熱を》」
聞き覚えのない詠唱が上空より聞こえる。見れば。黄金の髪をなびかせる魔女がいた。
「見知らぬ誰かさん、敵を集めてくれてありがと。犠牲は無駄にしないわ。《バーンオブメギド》!!!」
コンマ1秒後、爆ぜた。
「ッ…!ハル!!!」
「はい、ハルです」
「へ?」
呼ばれたので馬車の屋根の上から返事をすると拍子抜けな声が響くいた。そんなカナを見て俺はニコッと笑ってみせる。
「いやー、死ぬかと思ったわ」
「な、何で?」
「ん、そいや誰にも話してないな。時間止めれること。んにゃ、カナには話したっけか?」
「ん、そういえば」
「それは本当なの?」
ミオが何故か食い気味に聞いてくる。
「あ、ああ。剣を鞘に納める時に詠唱をしたら10秒、もしくは抜刀するまで時間が止まるんだ。それでギリ避けた訳。さて、当の殺人未遂犯はどこだ」
「殺人未遂とは失礼な」
「んにゃ事実だろ」
そう言って、俺は魔女を軽く睨んだ。
「あら、誰かと思えば学力だけは1位の人じゃない」
「まーじで俺の覚えられ方それなのね。で、誰?」
「私の名も知らぬとは、流石雑草は違いますわね」
あ、こいつ俺の嫌いなタイプだわ。人を雑草呼ばわりって。まあ否定できないっちゃできないけど。
「マリ、そう言うの止めて」
「あらミオ、その雑草と共に行動していたのかしら、滑稽ね」
「……」
…ミオ、大丈夫か?てかもうこいつがラスボスでいいんじゃね。倒す?
「まあ仕方ないことね。どうせロクな《力》を手に入れられなかったもの同士で集まったのでしょう」
その刹那、皆が怒っていた。だが誰も何も言わない。何故か1番怒っていたのは俺で、いつの間にか剣を抜き、振っていたから。
「ちょっと!防壁を張ってなかったら死んでたわ!」
そんなことを言われても、自分が1番驚いている。いやそんなことはどうでもいい。何とかしなきゃ。
「分かってたよ。防壁を張ってんの。だからちょっとやそっとじゃ大丈夫だろうって思ってな。
という訳でリザードライダー殲滅アザス!さーて行きましょうぜおっちゃん!あ、最強様はそのまま己の道をお進みください!まさか俺のような雑草の後をついて行くなんてことはなさりませんよねぇ!それでは!」
返事をさせる間も無く言い切る。おっちゃんもお、おう?と言って馬車を進ませるように伝達し、進む。
「え、ちょ」
「何をなさってるんですか、早く最前線まで行って、戦いを終わらせてきてくださいよ。名誉を分け与えようなんてそんな情けいりませんから!」
「まっ…」
「なあミオ、もうめんどくさいから無視でいいかな」
「いいんじゃない」
「調子乗ってすいませんですわ!待って止まってー!ですわー!」
***
「紹介するね、こいつはマリ。こんなやつだけど根はちゃんとしてるはずなの。だから嫌わないであげて」
「こんなやつだなんて、酷いじゃない。まあ全ての魔法が使えるからどんどん頼ってね〜カナちゃ〜ん♡」
俺らが一通り自己紹介した後ミオがマリの紹介をした。そのマリはカナに抱きつこうとする。
「んー!や!」
そしてかなり本気で嫌そうなカナ。
「やーん、カナちゃん冷たい!でもそれがいい!」
「なんだかハル君が1人増えたみたい」
「やめろ。それにこの魔女とは決定的に違うことがある!」
そう言って、俺はカナに抱きついた。抵抗するどころか抱きつき返してくる。
「俺の《愛》はカナたんに受け入れられている!」
俺はドヤ顔でマリを見る。とても悔しそう。
「くっ、絶対に魔の手からカナちゃんを救いますわ」
「馬鹿め、魔の手は貴様の方だ」
フハハハと笑う俺はまさしく悪魔だと、あとでカナたんから言われてしばらくめちゃくちゃ落ち込んだ。なんなら普通に泣いた。そのあとごめんね言い過ぎたねってカナたんに優しく言われて号泣した。みんなのゴミを見るような視線が嫌という程思い出せるぜ…
***
「ま、なんとか着いたな」
既に陽は7割程沈んでいる。
俺は馬車からカナを抱き上げた状態で降りる。鋼鉄の壁で周囲を囲まれたこの大陸の第2都市、ディルバロ。この付近に魔王軍の幹部がいるとの情報だ。魔王の幹部じゃなく魔王本人でしたというオチはないと信じたい。
まずいつも通り宿を取る。
部屋は3部屋借りた。ユイとカナ、ミオとトオルとマリ、そして俺はやっぱり1人。これ程男の仲間が欲しいと思ったのは初めてだ。
さて、明日は聞き込み。準備を行い、明後日にアタック。その前に仕掛けてきたのならば返り討ちに。まあこんなもんだろ。そんじゃ一応伝えに行こう。
俺は部屋を出て、まずカナとユイに伝えるそして3人の部屋へ。
…なんだか騒がしいな。
「おーい、トオルー?」
「ん」
そう短く聞こえ、直ぐに出てきた。
「なんかあった?」
「ミオとマリが揉めてる」
「大丈夫なのか?」
「あの2人、幼馴染みだから大丈夫じゃない?」
へえ、幼馴染みとな。
「トオルとユイはミオといつ出会ったんだ?」
「中学」
「そか」
「要件それだけ?」
「あ、そうそう、今後のちょっとした予定をね」
俺はトオルに伝え、2人にも言うように言い、部屋に戻った。
ま、いざとなればトオルも止めに入るだろう。俺はシャワーを浴びてさっさと寝た。
次はまともな戦闘シーンがあるかな。幹部なだけあって、それなりに強め設定だから!
次回「(未定)」_( _´・-・)_ぺたぁ
すいません…お話自体は大抵どんな流れか決まってるんだけどね…
お楽しみに!