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第5章 魔王襲来‼︎‼︎

第5章投稿!


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2017/9/28P.M.3:34改稿完了

「魔王?魔王って言ったかあんた」


「うん」


「何しに来たんだ?」


「遊びに来たんだ」


「遊び?」


「うん。《生まれたて》がどんな感じかなーって。だから殺しに来たわけじゃないよ。どうかな。タイマンでも」


と、現代で言う厨二病みたいな格好をした青年が爽やかに笑う。


「いいぜ、乗るよ。タイマンな、ルール破んなよ」


「うん。いい返事だ。手加減してあげるから頑張って。大丈夫。僕はルールを守る男だから」


「そっか、じゃあ全力で行かせてもらうよ」


カナの短剣から大剣にする動き、俺の一振りより強いのだ。パワーで押そうと考えてはダメだ。そうなるとスピードが落ちる《エンチャント:ヴァーサーカー》は使わない方が良い。遊びに飽きるまで耐えるのが最善か。


「はあぁ…い、けッ‼︎」


自分自身を鼓舞するかのように叫び、一気に距離を詰め、斬撃を浴びせる。


「おお、速い速い」


と言いながら遅く見えているかのように正確に最小限の動きで自称魔王は避ける。もうこの時点ではっきりと分かる。実力が天と地の差どころではないことが。


「そろそろ反撃いいかな?」


と、無駄の無い最短距離で放たれるボディーブロー。その一撃、たった一撃で意識が飛びそうになり、血反吐がかなりの量出る。けど。


「…舐めんなよ」


俺はその場で留まり顔面に左ストレートを叩き込む。


「ぐッ!いいね。吹っ飛んでくれると思ってたから油断してたよ。28年振りに《生まれたて》に殴られたよ」


「……そうかよ」


やばい。これはやばい。多分あと耐えれて2発。それ以上喰らえば動けなくなるかな。

序盤からハードすぎるだろ。

俺は諦めたように項垂れ、自称魔王に突っ込んで行く。


***


「はあッ、はあッゲホッガッ、はあックッソ…」


「君、しぶといね。大体は1分未満で戦闘不能になっちゃうのに、かれこれ10分。いいね。すごくいいよ。もっと、もっと楽しませてくれよ」


結局、攻撃を当てれたのはあの1回だけ。掠りもしてない。マジでもう帰りてえ。


「ハル君!」


「?ユイか。さーー」


下がってろ。と言おうとした瞬間、風が吹く。自称魔王がユイに向かって突撃したのだ。


「見つけた」


と、呟きながら。でもその呟きはどうでもいい。問題は完全にユイを殺すつもりであることだ。

俺は駆ける、守らなきゃという気持ちが半分、裏切られたことによる《怨み》半分で。光速を超えて、自称魔王の前で急停止。全身の骨がメキメキと音を立てたがどうでもいい。


「ッ!硬化術!」


自称魔王の叫びは俺の剣が触れる前に叫び終わられてしまった。それでも俺は思いっきり振り下ろす。自称魔王を剣で地面に叩きつけ、空かさず右足で腹に蹴りを入れ、飛んでいった方向に黒紫の柱を3本顕現させ、止め、押しつぶすようにもう1本を地面から勢いよく飛ばす。


「ごはぁッ…ゲホ…これは、効いた。硬化術が、無かったらしばらく動けなくなる所だった」


と、言いながらふらりと立ち上がる。そしてニコリと笑った。


「今回はここまでかな。君も、右腕と右足が動かないんじゃない?」


「ああ。ピクリとも。片足立ちしているのと等しいかな」


「実に楽しめたよ。成長が楽しみだ」


そう言い残しものすごい跳躍で離脱する。


「我が主がお世話になりました。では」


メアリと呼ばれていた女性がそう言い消えた。俺はひと息つき後方に倒れる。全身の骨に負荷をかけていたのを忘れていたため躊躇いなく。


「いだっ!」


「は、ハル!?」


カナが俺の上体を起こしにきてくれた。


「大丈夫?」


「ああ、全身の骨にひびが入ってるのとさっき言った通り右腕右足が動かないのを除けば全く問題ない」


「それ大丈夫って言わないから」


呆れたように言いユイが回復をしてくれる。


「お、ありがと」


「どーいたしまして」


「あ、あのぉ」


と声が聞こえた。その方向を向くと、おじいさんが立っていた。


「何でしょうか」


「いえ、魔王軍の幹部撃退、ありがとうございます」


「あ、いえ、別にいいですよ」


村人たちは幹部だと思ってるのか。


「そういう訳にはいきません。何か、お礼ができないでしょうか」


俺は心の中でニヤリと笑った。


「じゃあ、魔王軍との戦いの最前線に一番近い都市までに必要な資金が欲しいです」


***


「ハル君…」


「な、何だ?」


その後、一旦宿(功績により結構お高い所に無料で泊めてくれました)で休むことにした。カナがいると俺が騒ぐからという理由でカナとミオとトオルは遊びに行ってしまった。ユイには休み休みに治療をして貰っている。あらかた治療が済そうな時、ユイがジト目で俺を睨む。


「さっきのハル君、ゲスい顔してた」


「え?マジ?」


「変に隠し気味だったから気持ち悪くてうわってなった」


「うわってなったって報告要らなくね?」


「だって実際うわってなったもん。それよか、ありがとね。守ってくれて」


と、微笑みながらそう言う。ドキリとしたのは多分気の所為。それよりも気になる。自称魔王が「見つけた」と言ったことが。


「どういたしまして。…あのさ、狙われるような覚えはあるか?」


「……いいや」


「話せ」


「…………分かった。とりあえずハル君だけね。それが条件」


「ああ。分かった。誰にも言わない」


「…私ね、《巫女》って言う存在なんだって。説明してくれた人によると、《巫女》がいなければ魔王は絶対倒せないって」


そりゃ狙われる訳だ。これからはユイを優先的に守るべきか?


「別に優先的に守ろうとしなくていいからね?」


と、見透かされたように言われる。俺は少し驚いたが、ポーカーフェイスを保ち冗談のように言う。


「当たり前だ。俺はカナたん大好き人間だぞ」


「そうだね」


「とりあえず聞いた話によれば魔王軍との戦いの最前線はここから12000メリル。単位が下から順にメリラ、メリリ、メリルだから多分だけどセンチ、メートル、キロメートルみたいなもんだと勝手に思ってる」


「てことは12000キロメートル?」


「ああ、地球4分の1とちょっとだな。多分」


分かりやすく説明するとユイがうわって顔をした。さっき俺がゲス顔してた時もこんな顔で見られてたのか。


「しかも同じ大陸じゃないらしい。1回船に乗って大陸を移動する必要があるそうだ」


「面倒だね。ここはいつ出発?」


「こっからはみんな集まってからでいいか?さっきした話も、みんなにしなきゃならんし」


「あ、うん。全然いいよ。よし、治療終わったよ」


「ん、サンキュ」


「よし、じゃあみんな探して来るね」


「おう」


さあて、今後の大まかな方針は決まったとして、《巫女》か…

《巫女》がいないと魔王を倒せない。多分本当のことだろう。自称魔王を地面に叩きつけた時、致命傷を与えられてないと思った。全くそんな感じがしなかった。硬化術が無くても余裕で殺せない。自分ではしばらく動けなくなってしまう所だったと言ったがどうせ数秒。


「きっちーなぁーもう」


俺は後方倒れる。単純に眠いから。戻って来たら起こしてくれるだろう。俺はそのまま眠りに落ちた。


***


『最善を尽くしましたが、救えませんでした。……御愁傷様です…………』


何を言っているのだろう。おばあちゃんが泣いている。なんで?


『お母さんと、お父さんはもういないけど、頑張って、生きるのよ』


いない?じゃあ、そこで寝ているのは誰?


***


「……君?ハル君!」


「わっ!」


「きゃっ!」


飛び起きると悲鳴が聞こえた。その方向を向けばユイが尻もちをついていた。


「わ、悪い」


「うんん。それよか大丈夫?」


「なんで?」


「いや、その、泣いてるよ?」


「は?」


俺は目元を拭う。するとかすかに濡れていた。


「あー、まあ気にするな。んなことよりみんないるな」


「起きる気配なかったから先風呂入ったからね」


トオルが欠伸をしながら言う。遠回しにカナと一緒のタイミングでは入れなかったねって言ってんのかね。


「問題ないよ。とりあえず、だ。明日は自由!遊ぶも良し寝るも良しだ」


「ハルはどうするの?」


「俺か?俺はお勉強」


『は?』


「ちょ、なんでみんな同時に何言ってんのみたいな顔で言うの?」


びっくりする程のシンクロ。


「何の勉強をするんですか」


「文字だよ文字。これ読めるか?」


俺は一枚の紙を見せる。


「うわ何これ」


「読めないだろ?だから勉強というか聞き込みというか解明というか」


「な、なるほど」


ユイが苦笑いをして後ずさる。関わりたくないのかな分かります。


「私も行きます」


ミオがそう言う。正直、超びっくりした。


「別に構わんが、いいのか?」


「お花畑なら夜の方が好きだし、日中はあまり外に居たくないから」


「え!じゃあ私も!」


「ハルと一緒に行く」


「アタシも行く」


結局全員で行くのね。べ、別に一緒に来てくれて嬉しいなんて思ってないんだからねっ!本当だかんねっ!

とりあえず嬉しいです。恥ずかしくて口にはできんがな。


「じゃあそうしようか」


大まかな方針は決まったし、疲れたし、座学でもしますかな。

次回も楽しみに!

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