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第13章 攻略開始

2ヶ月もあいてしまった…申し訳ねえです…


題名を新たに、『そっち方面』でストーリーを展開していきます。改めてよろしくお願いします!


ちゅんちゅんと小鳥がさえずる声が聞こえた。テントから出ると、空は雲ひとつなく、絶好の日向ぼっこ日和である。そんな日に俺たちはダンジョンに引き籠りに行こうとしているのだ。やだなあねたいなあ。

テントをたたみながらどうでもいいようなことを考える。しかし寝起きで大して頭が回らず、すぐに無心に帰ってしまう。もういいや。とりあえず眠気を覚ますために川へ足を運んだ。手で掬うのも面倒なので、上半身裸になり頭を川に突っ込む。そして川から出るや否や頭を犬の様に振り、昨日乾かしておいたタオルで軽く水気を取った。ふう、さっぱりしたぜ。


「きゃっ」


聞きなれない悲鳴。誰の悲鳴だろうと見るとそこにはトオルがいた。え?今のトオル?


「えーっと、おはようさん」


「………………おはよ」


「…なあ、さっきの悲め」


「違う」


「え、でも」


「違う」


「お、おう、そうか」


「てか、なんで裸なのさ」


「上半身だけだし、いいじゃん?」


そう言うとトオルはそっぽ向く。こいつ意外と乙女なの!?


「いや、うん。俺が悪かった今から服着るよ。うん」


「ん」


俺はトオルの違う一面にドギマギしながらも水気をしっかり取って服を着る。


「服着たぞ?」


「そ」


それだけ言って川へ向かって行った。…朝ご飯拾いに行きますか。


***


とりあえず昨日食って美味かったものを適当に拾って戻ってくると、みんな準備を済ませた状態だった。


「遅いですわっ!」


「悪い。ほれ、朝ご飯」


「ありがとうですわ」


「ありがとう」


「ありがと!」


「ありがとうね、ハル」


「おつかれ」


おお、なんだこのありがとうの嵐プラス労い1つ。むず痒いなあ。そんな心にもないことを思いながら、果物を1つ取ってゆっくり食べた。そして、みんなが食べ終わった頃合いを見て、口を開いた。


「それじゃ、行きますか」


「そうね。今日中に帰れるかしら」


「善処はする。でも急いで進んでトラップとかに引っかかったら元も子もないから、慎重に行くぞ?」


「ええ、私たちはよくわからないから、ついて行くわ」


「りょーかい。みんなを危険にさらさないようにはする」


そう言って、ダンジョンに向かって歩き出す。半歩後ろにカナ。その後ろにミオ、マリ、ユイ。最後尾にはトオル。言わずもがなミオたちを守ってもらうためだ。

そして数分ほど歩いたところで、ダンジョンに着く。俺は先陣を切る様にダンジョン内に入った。

そしてすぐに後悔する羽目になる。


「俺1人しかいねえ」


わー子すらいない現状に少々戸惑う。手を繋いでせーので行くべきだった。俺は遠慮したいが。

さて、どうやって合流しようか。とりあえず開けた場所を目指して、ダンジョンを進む。

待ってすんごい寂しいんですけどー。病むぞこれ。

適当なことを考えながら進むとようやく一本道を抜け、ドームのような広々とした空間に出た。広いっていいな。

さて、問題はどのような手段を用いて探すかだが。と、その時。打ち上がる閃光弾のような光り。ミオか?まあ誰だろうと敵の可能性はあまり高くはないだろう。この世界の雑魚に戦略性のある戦いができると思えない。

とりあえず向かおう。敵ならば排除すれば良い。トップスピードで走り10秒もかからずに先行弾が打ち上がったであろう場所の付近に来た。


「ミオ、いるか?」


「ハルさん?」


そう尋ねながらミオは物陰からこちらを確認してきた。


「ああ。やっぱあれはミオだったか。他のみんなは?」


「わからないけど、ユイとトオルとカナは手を繋いでたと思うから」


「一緒にいる可能性が高いってか。ならその3人は大丈夫だ。マリを優先で探す」


「マリも大丈夫じゃない?」


「魔法攻撃無効とか反射とかだったらやべえだろ。あーでも岩とか生成できるなら別なのかな。とりあえず不確定だから優先で」


「わかったわ。ユイたちは物理無効でも、ユイの付与があればいけるでしょう」


そういえば《巫女》だって言ってたな。それならなおさら優先度が下がるな。トオルとカナがいれば、だが。


「じゃ行くぞ。地図も当てもクソもないから虱潰しらみつぶしになりそうだがな」


そう言うと、ミオは得策でないと感じたのかうーんと考え出す。いやまあ得策ではないけどこれ以外に方法がねえし。


「ハルさん。音でこのダンジョンの構造把握できるかしら」


「いや無理だろ…そんなに俺は万能じゃない。ただの脳筋性能だぞ。だかまあやってみようじゃないか。ここらで役に立ってこいつ有能だってとこ見せてやる」


「その発言が全てを台無しにしてるわよ。じゃあ、お願いね」


ミオはそう言って矢をつがえ、限界まで引き、前方へ放つ。矢は真っ直ぐに壁に突き刺さり、刹那爆音が響く。


「…」


「どう?」


「ダンジョン全体は無理だ。でもユイたちやマリの大まかな位置は把握した。お互い、そこまで離れてなかったみたいだな。それが幸いした」


「そう。ありがとう、ハルさん」


「ユイたちは3人一緒にいる。確定だ。なおさらマリを早く拾わねえと」


そう言って歩き出す。あー、まだ耳鳴りが続いてる…周りの音が聞きづらい。

索敵能力が低下した状態で細道に入りたくないが仕方なし。ずんずんと細道をすむ。と、不意にミオが俺の腕を掴んだ。


「どうした?」


「…………」


どこか、怯えているような、そんな雰囲気があった。


「怖いのか?」


俺がそう問うとミオはコクリと黙って頷く。その姿は迷子の幼子のように見えた。

この先の細道は2人並んで歩けないし、俺は猫背にならないと頭を打つ。そのくらい狭い。閉所恐怖とか、暗闇恐怖症とかだろうか。

しかし腕を掴まれるというのはなんともシュチュエーションが悪い。掴むな、服の袖摘め。なんかこれ前も思ったことないか?

まあいい、とにかく一方的に掴まれてはいるが、何かあった場合離して一目散に逃げたりしないだろうか。それに、一方的に掴んだって、安心なんかありゃしない。《ベッド》で寝ていた母さんの手を握っても、安心できなかったのと同じだ。だから俺は、無言で腕から手を離し、その手を握ってやった。


「……え…?」


「あー、ほら、あれだ。俺が握っとかないとな?何か起きた時にお前が逃げてひとりぼっちになるのがそのなんというかだから、な。仕方ない仕方ない」


「…ありがと」


ミオは俯いて、そう言った。薄暗くて表情が見えない。まあ無理に見る必要もない。何しろ俯いているということは見られたくないってことだ。タイミング的に体調不良ってことはないだろうし。ないよね?手汗がやばくてキモいって以下略。


「行くぞ」


俺はいつもよりトーンを気持ち優しく言って、手を引く。黙々と進んでいると気配を感じた。この気配がマリであればいいが。

俺は抜刀し、ゆっくりと歩を進める。


「マリ、いるか?」


「ええ、いるわよ。仲良さげね貴方達」


「ッ…!これはその…」


ミオが慌てて抗議しようとしたのか一歩前に出る。そのせいで俺の腕にぶつかった。その様子を見たマリは深くため息をつく。


「冗談ですわ。狭い所苦手でしたものね」


「…うん」


「……あー、とりあえずUターンするぞ。マリ、周囲を照らせるか?」


「ええ。《フラッシュ》」


マリは無詠唱で発動。光が周囲を照らす。


「ありがとう。じゃああいつらと合流するぞ」


1人は手を引かれ、1人はつまらなさそうついてくる。互いに無言。何故か気まずいと感じた。そのまま広場に出た。俺はミオの手を離し、グッと伸びをする。


「だぁ…腰いてえ」


「それで、あの子達はどこにいますの?」


「んー、さあ?ミオもう一回頼めるか」


「…音?」


「ああ。マリは耳塞いでろよ」


そう言って目を閉じる。数秒後爆音が響く。2度目なだけあってか、多少は慣れた。


「こっちだ」


1度目と2度目のユイたちの位置を自身の脳内マップに照らし合わせる。これで大まかな移動方向の予測が可能だ。

時計回り気味に進んでるな。止まっててくれよ…


「こっちだ。行こう」


小走りで予測位置に急ぐ。ユイたちは何の躊躇もなく進んでやがる。こんな序盤で即死罠とかはないと考えたいが、世の中そんなに甘くはないだろうし。

だが、観測値から離れればマップは不確かな物となる。行き止まりだ。脳内マップでは繋がってるんだが、ここに来て差異が生まれるか。


「どうするのです?」


「んー、ぶっ壊したら道に出れねえかな」


「は?」


「俺の脳内マップでは繋がってるんだ。…よしやってみよう下がってろぉ!」


そう言って剣を抜き、突きの構えをする。腰の低い状態を維持しつつ、体のバネをありったけ使って牙突。案外すんなり向こう側に行けた。なんなら勢い余って反対の壁に激突したまである。繋がってなかったらこうなるのね。


「ハル?」


「よ、ようカナ。ユイもトオルも無事で何よりだ」


過程はあれだが結果オーライ。無事合流完了だ。


「さて、早速ちゃんとダンジョン攻略に洒落込むとしようぜ」


バチコーンとウインクを叩き込むと2名ほどにうわって言われた。泣くぞ。


***


あれから俺は一言も言葉を発していない。女子はお話してて楽しそー(棒)。

これは決してハブられているわけでなく、自分からハブられに行った結果だ。基本的に先頭に立つ俺は、簡単に言ってしまえば女子たちの罠避けとして使って貰ってるわけ。特出した性能のないただステータスが高い奴はこういう役が合っているだろうという独自の判断だ。

現にこれまで数個の罠にかかったが、無事だ。


「ハルさん、大丈夫かしら?」


「ん?ああ、まあ。集中してれば死にはしねえだろ。序盤からまあまあえげつい罠ばっかだけど…」


「そう。ごめんなさいね、力になれそうになくて」


ここで気づく。声がなんだか近い。見れば俺の右側の半歩後ろに、ミオがいた。


「別にどってことねえよ。それよかいいのか?」


「平気よ。私だってちゃんと警戒してるわ」


「いや、それは心配してないけどな。俺が言いたいのは、女子の輪に入ってなくていいのかって話だ」


女子の付き合いってちょっとでもノリが悪いと感じわるーってなるイメージがあるからね。べ、別に心配してるわけじゃないんだかんね!

そんな感じで適当な心配をしていると、ミオがふっと笑った。


「大丈夫よ、向こうは向こうで楽しそうに話してるわ」


「ふーん、まあいいならいいが」


それからミオは俺に話しかけ続けた。俺もまあ律儀に返事してた。不思議と、悪い気はしなかった。結構おしゃべりさんなのか、ミオは。

そんな新発見にふーんとか思ってると扉が見えた。


「ミオ、下がって。扉の手前と開けた瞬間入った瞬間が危ない」


「ええ、気をつけて」


「ああ」


適当に手を挙げ扉に向かう。扉の手前は何もなし。ならば入った瞬間か、開けた瞬間。

俺はゆっくりと扉を開ける。刹那、眼前に巨大な矛先が見えた。


「ッ!!?」


俺は仰け反りながら抜刀。フルパワーで上に逸らした。矛先は天井に刺さり、パラパラと小さな石が落ちてくる。気づけば鼓動が異常に速くなっていた。だから息が荒いのか。

俺は後ろを確認する。トオルが先頭に立って盾を構えていた。全員無事のようだ。

俺は手の動きでついてこいと合図して部屋に入る。中には巨大な斬馬刀を手に取った瞬間の体長5メートルはあるであろう石の巨人がいた。


「ハル!大丈夫!?」


「死ぬかと思った。あいつぱねえって。投げるよって言えよ。お家帰っていいか?」


「石に言語による宣言を求めんなよ…あと通路が塞がれているから帰るのは無理だ。諦めろ」


トオルが後方に親指を指して言う。まじかぁ。


「しゃーねえ!行くぞ!」


「け、怪我したら無理せず下がってね!私治療するから!」


「了解だ!トオルと俺で攻撃を防ぐ!攻撃任せたぞ!トオルは行けるか?」


「誰に物を言ってんの」


「ですよね!行くぞ!敵は中ボス!少なくとも倒せない相手じゃない!」


そう声をかけて先陣を切った。

ダンジョン。にしては違和感あるでしょう。

さて、何かしらを匂わせるのはここまでとして、次は激闘です!どんぱちします!ご期待下さい!

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