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第12章 初ダンジョンに向けて

久しぶりに投稿ですね。全然いいアイデアが浮かばなくて何回も唸ってました。

これからどういう展開にするかは、決まってるんですけどねぇ。

まあいいでしょう。第12章始まり始まり〜


「とある筋からの情報によると、ダンジョンの最深部に眠っているらしい」


「とある筋?」


「うん。とある筋」


澄まし顔で言うとミオが何かを感じたかのようにジト目を向けてくる。


「その話、詳しくお願いできます?」


「怒らない?」


「そう聞くってことは怒られるようなことをしたんですか?」


「んにゃ、全くそう思ってない」


「じゃあ話してよ」


「闇市で入手した」


ドカッ!っと鈍い音が響く。グーで殴られた。


「痛いッ!何で!?」


「何で?じゃない!何でそういうのに頼るのっ?!」


「すまん。だけど《力》の真名まなを明かした方が個々の生存率が上がるし、個々が上がれば他のメンバーの生存率も上がる、と思うから、そう考えれば少しくらいの危険は付き物だと思ったんだ」


ミオが言葉に詰まったように見えた。その後、深いため息を吐いた。


「はぁ、今度から相談して」


「あ、はい。すいません」


「それで、どうするの?」


「そうだなまず近い所から行こうかなって思ってな」


俺は馬車の中で地図を広げる。そしてとある街に指を差す。


「このマラテラって街の側にダンジョンがある。そこにカナの《力》の書物がある。それを取りに行く」


「最初はカナちゃんのですのね?腕がなりますわ!」


マリが興奮気味になると、そこから女性陣の会話が弾んでいく。あの発言がどう話の種になるのか、理解ができそうにない。

まあいい。平和な今だからこその光景だ。

今を楽しみたまえ若者。

そんな感じで完全保護者気分でいると、いつも通り俺の太ももに座っているカナが全身でもたれかかってきた。

接触部分が幸せに包まれる。もう俺、天に召されてもいいかもしれない。


***


馬車はそれから3時間ほどガタガタ道を進み、マラテラに到着した。

ダンジョン攻略は明日か明後日に回して宿を取る。もうすっかり恒例行事だな。宿取り。

お金が減ってきたからそろそろ何かしら収入を得ないと野宿する羽目になるな。金があるうちにテントやら寝袋やらを揃えるべきだろうか。

1人で決めるのは申し訳ないしな。ミオにでも相談してみるか。

俺は部屋を出て、ミオがいる部屋へ向かった。


「…やけに騒がしいなまあいいや。ミオー、いるだろー」


俺が声をかけると話し声が少し静かになる。なんだか悪いことをしてしまったかもしれない。そんなことを思っていると、ドアが開いた。


「どうしたの?」


「あー、間が悪かったか?」


「いいえ、特に」


「そうか。ちょっと相談があってだな」


「珍しい。中に入ったら?」


遠慮なく上がらせてもらおうと思って、やめた。夜くらいは演技とかせずにいたいし。


「んにゃ、女子会の輪に入るのはきがひけるからいいよ。それで資金がかなり少なくなってきたから今後の宿事情をどうしようって思ってな。テントとか寝袋を買うなら今のタイミングしかないのが現状だ」


「ダンジョンで資金を調達できる?」


「できないこともないってところだろ。確実性はない」


「そう。ならテントや寝袋を買っておいた方がいいかもしれないね。明日買いに行きましょう」


「了解だ。ところで2人で決めちまっていいのか?」


「いいんじゃないかな。トオルとユイは余程のことがない限り反論はないし、カナはハルさんに同意するだろうし」


「…ナチュラルにマリが無視されてて可哀想だなって思った」


そう指摘すると、ミオはふっと笑った。その顔に一瞬目を奪われたのは、黙っておこう。


「あの子はいいの。どうせ最後には同意を示すから」


「そうか。じゃあまた明日な」


「ええ。おやすみ」


「おう」


俺は踵を返し自室へ戻る。ダンジョンに行くし買い物するしで疲れそうだし、早めに寝よう。


***


翌朝。首に少々痛みを感じ、目が覚めた。寝違えてしまったようだ。

俺は痛む方向へと首を曲げ、筋を伸ばす。これが1番効く気がする。さて、治ったところで、現在時刻は8時。宿を出発するのは9時なので1時間もある。


「え、マジでどうしよ」


数秒考え出た答えが何もすることがないという結果が出てしまった。

女子部屋に行く手もあるが寝てたら何か申し訳ないしな。とりあえず、外に出ることにした。

街は活気に満ち溢れ、商人の声が響く。散歩するだけでも何かと楽しめそうだ。

さてこの街は何があるのだろう。名産品とか、調べたけど分からなかったし。

とりあえず、テントとか売ってる所探すか。

ぶらぶらとぶらぶらと。特に何も考えずひたすらに歩いて探す。たまに裏路地に入って美女を助けるイベントを期待したけど平和だった。そんなこんなで歩くこと20分くらい。野営専門と書かれた看板を見つけた。店内を見れば品揃えが豊富なのが一目でわかる。

ここで良さそうなので俺は宿に戻りみんなが起床するのを待つ。

そうして9時。ロビーででうとうとしていると、肩を突かれた。


「おはよ、ハル君」


「ああ、おはようユイ。みんなは?」


「もうすぐ降りてくるよ」


「ん、そっか」


「今日はテントとか買ってから行くの?」


「ミオから話してくれてたみたいだな。そうだね、初めてダンジョンに行くし、日帰りできる保証もないし、資金を宿に使ってられないし」


俺はずっと振り向かずにユイと話す。それが不満だったのか、膨れっ面で俺の顔を覗き込んできた。


「どうした?」


「最近、どうしたの」


「どうって?」


「んー、なんか違和感あって」


「んー、気のせいだろ」


俺は真っ直ぐ目を見てそう言った。するとユイは何故か嬉しそうに微笑んだ。


「ッ…な、何だよ?」


「うんんー、何でもない!」


そうは言いながらもやはりユイは嬉しそうで、それに一瞬可愛いと思う自分がいて。俺は酷く混乱する。


「…俺も変わったな」


誰にも聞こえないような、本当に小さな声で、俺はそう呟いた。それからすぐにみんなが揃った。なので、俺が見つけておいた店へと向かう。


「さて、みんな。好きな寝袋取って来いと言えないがアホみたいに値段が高くなければ何でもよし!探して来い!30分後にここで」


『おおー!』


「ミオは少しだけ、時間くれないか?」


「ええ。分かったわ」


そしてみんなが探しに行ったのを確認してからミオに向き直る。


「テントについて、話したくてな。2〜3個あった方がいいか?」


「予算は?」


「安いの買えばギリ3つって感じだな」


そう言うとミオはうーんと、考える。


「何なら上等なやつ一個買って、女子で使えばいいんじゃね?」


「ハルさんは?」


「ベッド以外ならどこででも寝れるしなあ」


「ちゃんとテント内で寝なきゃ。そうね、ハルさん用に小さいの1つ買って、私たち用に大きいのを1つでどう?」


「まあ、妥当だな。そうしよう。テントは後でみんなで探そう」


「…………ええ」


「ちょっと待って何今の間は」


「ごめんなさい、みんなでって言ったことに、びっくりして。選んでおいてって言われると思ってたから」


ああ、なるほど。と、心の中でつぶやく。まあ、そうだよな。そう思うとなんだか照れくさくなってくる。


「別にいいだろ。んじゃ30分後な」


俺はそっぽ向き、そのままスタスタと歩いて行く。10歩くらい歩いて、振り返ってみると、ちょうど踵を返したかのように髪がふわりと舞っていた。

みんなで、か。簡単に変わってしまうな。人間ってやつは。いや、俺の意思が弱いだけか。結局、俺は誰かを求めているということか。


「悩んでもしゃーない。寝袋探すかぁ」


***


それから全員分の寝袋と大小二つのテントを買い、ダンジョンに向かう。女の子にテント共を持たせるわけにいかないと意地を張ったが、寝袋は各自で持ち、でかいテントは俺が持って小さいのはトオルが持つことになった。


「日が落ちそうだな。ダンジョンに着く前には」


「そうね、せっかくだし、野営に慣れておきましょうか」


「な、何故私わたくしが野営なんて」


「嫌なら街に帰って1人で宿に泊まれよな」


「べっ、別に嫌だなんて言ってませんわっ!」


「あーはいはい、そうですねぇ」


「ぐぐぐ、屈辱的ですわ」


「何がだよ。とりあえずテント立てようぜ」


俺はトオルから小さい方のテントを受け取り、設営する。マリは渋々、といった感じは微塵もなく、でかい方のテントの設営を手伝っていた。

設営したのは川の近く。キャンプやらサバイバルやらを全くしたことがないので、適当に設営した。さて、あとは食いもんだな。


「ハル君」


「ん?どったの?」


「その、水浴びがしたいんだけど」


「ん?ああ、わかった。じゃあ俺食えそうなもん適当に集めてくるわ」


「待ちなさいな」


「今度はマリか、何?」


「結界を張るから、護衛をしなさい。水浴びや、山菜採取はそのあとよ」


「あいよ」


マリの結界を張る作業は僅か数十秒で終わり、女子組は水浴び。俺は山菜採りに向かった。


***


ざぶんと少しばかり水柱が立つ。カナが勢いよく川の中に入って行ったのだ。それについて行くタオル1枚で体を隠した半裸状態の女たち。ハル君が見れば、『楽園パラダイス』と言い出すであろう。


「まあ、私にとっても『楽園パラダイス』なんだけどね」


発達途中で程よい膨らみ方をしたカナちゃんや、形が綺麗で程よく大きいミオちゃん。着痩せするタイプで、実はこの中で1番胸が大きいトオル。2番目の大きさのマリちゃん。

私は貧乳だけどそれはどうでもいい。周りが宝の山ならば。


「ユイ、少し怖いわ」


「わわ、ごめん」


「ユイって、絶対ハルと気があうよ。変態な方向で」


「それちょっと酷くないかな!?」


まあ、わかるけどさ。でも実際は、合わない。彼は私たちに自然体に近い演技をしているんだから。


「まあ、気が合うなら、是非語り合いたいね」


ならばと、私も演技らしくない演技をかます。まあいつもみんな察しちゃうから、下手なんだろう。

私はそれを誤魔化すように、両手いっぱいに水をすぐいミオちゃんにかけた。

数十倍となって仕返しされたのは、また別のお話。


***


適当に果物らしきものを袋いっぱいに詰め、戻ってくると、水浴びを終えたばかりなのか、みんなの髪は濡れていた。


「きゃっきゃうふふと楽しかったですか。俺はヘトヘトです。んで、食えるかどうか知らないんだが」


「ふふん、このわたくしが見てあげますわ」


マリはそう言ってそそくさと仕分け作業を開始した。運がいいことに、食べれないものは全体の1割にも満たない程だった。

その後俺は水浴びに(1人で寂しく)行ってテントに潜る。みんな寝静まったのか、物音はせず、寝息が少し聞こえた。

俺も寝よう。目を閉じて、意識が落ちるのを待った。

次はダンジョン突入です。ヌルゲーにする気は全くないです。

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