第9章 討伐隊へ参加しよう
戦闘まで行けませんでしたあああああああああ!
でも読んでください!
ムクリと起き上がる。寝相が悪かったんだろうか、少し腰が痛い気がする。
「ハル君?起きてる」
「ああ、ユイか」
「朝ごはんはどうする?」
「どっか食いにいくか」
「うん、じゃあ下で待ってるね」
「ん」
どうにもテンションが上がらない。カナがいないのもあるだろうが、それにしてもやけに怠い。まあ、時間が経てば治るだろ。
「うし、行きますか。わー子、おいで」
俺はパパッと着替え、顔を洗って下に降りた。
「うい、お待たせ。何食いに行く?」
「サンドイッチとかかな。朝食べるとなると」
「そうだな、ちと聞いてくるわ」
「あ、なら私もついてくよ」
と、ユイが手を挙げて1歩前に出てきた。
「好きにしてくれ」
そう言って受付に向かって歩く。
「あのここらで美味しいお店ありますかね」
「それでしたら、宿を出て右にまっすぐ行けば、美味しいパンがありますよ。この時間なら焼きたてもあるのではないかと」
「焼きたてかあ、そこにしよーよ」
「だな。ありがとうございます」
焼きたてのパン。そのワードは俺とユイをさらなる空腹へ導く。
「想像するだけで腹減る」
「だね。早くみんなで行こ!」
「おう」
「爆発…」
と、受付の方が呟いた気がしたが、ユイとはそういう関係ではないので然程気にしなかった。というか多分空耳。
「…ねえあの受付の人さ」
「言ってやるな」
「まだ何も言ってないんですけど!?」
「あれだ。空耳だ。気にすんな」
「そ、そうだよね」
と、ユイは渋々といった感じでコクコク頷く。そう見えるのかなあとか聞こえた気がしたけど聞こえなかった。
「お待たせ、あっちに行けばパン屋があるらしいから、そこでいいか?」
「賛成ー!」
「カナが賛成なら確定だ行くぞ」
「ハルさん…まあ別に異論はないけど」
ならそのジト目やめてくださいませんかね。さてマリの意見は…聞かなくていいとして、ミオに異論がなければほぼ100%トオルに異論なし。完全に確定したな。
「私の意見を聞かないのですの?」
「異論あんの?」
「ないですわ」
「ならいいじゃん」
「ぶう、なんだか釈然としませんわ」
ご機嫌斜めのマリを俺は無視してパン屋さんへ向かう。進むにつれてパンの焼ける香ばしい匂いが漂ってきた。
自然と歩くスピードが上がっていく。腹が減ってきた!
そうして1分程歩き、パン屋さんの目の前にきた。規模はやや小さめの小屋のような家で、品揃えが豊富とは言えないが、定番のメロンパンやあんぱん、クリームパン、食パンなどが並んでいて、どれも美味しそうだ。
「いらっしゃい。そこのトレーに食べたいもの乗せて持ってきてね」
「みんな、好きに言ってくれよ。今の所余裕はあるから」
そう言うと皆思い思いにこれだあれだと指を差す。
すぐにトレーにパンの山ができた。俺は朝からがっつり食べれるタイプじゃないので、カナが1番最初に選んだあんぱん1個だけだ。
そして会計を済ませ、ちょっとした広場で食べることとなった。滑り台みたいなのがあって、公園っぽい。
俺たちはみんなで座れそうな場所を探し、腰を下ろした。
「さて、聞き込みの件だが、ペアとかどうする?分かれた方が効率いいと思ってるんだが」
「私はカナちゃんが良ければ一緒がいい!」
と、ユイが1番に手を挙げ、そう叫んだ。俺は少し苦笑いをしながらカナを見る。
その視線に気づいたカナは、コクリと1度だけ頷いた。
「やたー!よろしくねカナちゃん!」
「ん」
「つーわけで残りの4人で2つに別れるわけだけど、俺1人でもいいぞ?」
「それだともしもに対応ができないでしょう?」
「それもそうだが」
それだとマリ以外。でもマリと仲良いのミオしかいないんじゃ?
じゃあ、トオルか?
んー、でもなぁ。
「ハル行くよ」
考え込んでいた俺の腕を掴んで歩き出した。トオルが。いつの間にか決まっていたようだ。
「ん、ちゃちゃっと済ませますか」
効率的にいこうというトオルの提案があったため、俺たちは大通りに出てあまり遠くに行き過ぎないように別々に聞き込みをした。
結果、幹部は東の山に潜伏していおり、山頂付近で多く見かけたとのこと。人数は少なくとも6人はいるらしい。
「あんまり時間かかんなかったな」
「そうだな。またあの広場に集まるんだっけか?」
「そ」
「おけ」
…会話がないとちょっと気まずいなぁ。話すことないからしゃーないけど。
「…」
「…」
「ねえハル」
「ん?」
「やっぱ広場着いてから話す」
「あっはい」
俺は気になりつつも、黙って広場に向かって歩き、僅か数分で広場に着いた。
俺たちは適当に腰かける。
「んで、何?」
「んー、親がいないのってそんなに悲しいもんなのかなと思って」
「そう思うくらいお前の親うざいの?」
「いや、そうでも。ちょっと縛られてるくらい」
「そか、まあ、人それぞれじゃね?寂しかったが、正しいんじゃないかなって思うけどな。カナたちがいるし」
「そ」
そう素っ気なくトオルは返事を返した。すんげえ興味なさげだな。聞いてきたのはトオルだっていうのに。
「誰が1番気楽に話せる?」
「トオル」
「カナじゃねーのかよ」
「カナは癒し担当。気楽っていう点だけだと断然トオルだな」
「なんで」
「遠慮とか演技とか絶対いらんじゃん」
「ああ、なるほど」
カナやユイ、ミオ、マリの前では何故か何処かで演技が入ってしまったりしている。本来の自分はあんなに明るくない。
でも何故か、トオルはそうならない。
今も微塵も笑顔を作る気になれない。
「ハル」
「はい」
「あいつらに言いにくいことあったら言えよ。アタシに。境遇は違えど似た者同士だし、ちょっとは頼ってくれ」
「ん、気が向いたらな」
「それ絶対言ってこないやつじゃん」
「バレたか」
「ん、みんな来たみたいだ。言っとくけど、話すのは2人きりの時だけだから。他は基本無視する」
「はいはい。じゃあ行きますかね」
俺たちはほぼ同時に立ち上がり、大きく手を振るカナたちの元へ向かった。似た者同士と言ったのが少し気になるが。
「どうだった?」
「東の山にいるらしい!って。ね、カナちゃん」
「うん」
カナとユイらしい成果なのかな。まあいっか。
「ミオとマリは?」
「東の山にいるということと、頂上付近で多数目撃されていることと、少なくとも7人はいるってこと。そっちは?」
「ミオとマリのペアとほぼ同じ。違うのは7人じゃなくて6人って聞いた点だけだな」
「少しばかり差異があるわね。ここは多めに見積もって7人としましょう」
「だな。と言っても少なくとも、だけどな。よし、まあこれ以上の情報を小耳に挟んだら知らせてくれ、今から英気を養っておこうか。はしゃぎすぎないように自由にしてくれ」
そう言うとカナとユイが立ち上がり、滑り台の方へ走って行った。ミオは本を取り出して読み始めた。マリはカナをガン見してる。
「昼寝すっか。まだ昼回ってないけど」
「昼になったら起こすわ」
「サンキューミオ、んじゃ」
「ええ」
「アタシも寝る」
「おやすみ」
***
その日は幹部の進軍を警戒して過ごした。代わりがわりに仮眠を取ったりして。そして、夜が明ける。
「さてと、今日アタックしにいくけど、大丈夫か?」
「うん。行けるよ」
「アタシらも問題ないよ」
「よっしゃ、ならいっちょやりますか」
「お前さんや」
気合いを入れた所で声をかけられた。誰だよと思いながら振り返ると、ご老人がいた。
「はい、どうしました?」
「武装をされているということは、討伐隊のメンバーですかな?」
「い、いえ」
「なら、討伐隊に一時参加させて貰いなさい」
人手が増えるのはありがたいが、どーすっか。ちゃんと強いのかな。
まあこの面子じゃ、ユイの護衛まで足がまわらないし、仕方ないか。
「分かりました。どこに行けば?」
「あの大きい建物があるじゃろ?そこじゃ」
そう言ってご老人はなんだか身に覚えのある大きな建物を差した。
「ありがとうございます」
「頑張ってください」
「はい」
「…以外だね」
と、ご老人が去った後に、ユイが不思議そうに言ってきた。
「何で?」
「てっきり私たちだけで行くと思ってた」
「ヒーラーであるユイの護衛に足がまわらないんじゃないかって思ってな。楽できるならそれに越したことはないし」
「なるほど、じゃあ、早く行った方がいいかな」
「多分。ちょっと急ぎ足で行くぞ」
「ユイ、おぶるよ」
「トオルありがとー」
「よし行くぞ」
「おー!」
こうして俺たちは討伐隊に参加しに行くのであった。やっぱり協力した方がいいしな!
次こそ戦闘あります。絶対あります。
次回「いざ討伐へ」かなと。




