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木の棒のエターナルノート  作者: 木の棒
第2エター 異世界で中途半端な魔族始めました
38/43

第21話

 丸3日かけて、迷宮の森の中にいる魔物を狩り続けた。

 迷宮の中央にはゴブリンの里があるが、そこはまだ行っていない。

 門番の魔物は加護10だったので、慎重を期して周りの弱い魔物から狩った。


 魔物は獣を除いて、全部ゴブリンだった。

 ほとんどが棍棒を持ったゴブリンだけど、加護が7を超えてからは、短剣、剣、槍といった武器を持つゴブリンも出てくるようになった。


 3日間の成果で、僕の魔体はこれだけ強くなった。



魔体:ゴブリン

属性:無

魔神の加護:11

生命力:50+25

筋力:28+14

体力:28+14

俊敏:14

魔力:1

器用:14

装備:

技能:


魔体:オーク

属性:無

魔神の加護:9

生命力:24+12

筋力:42+21

体力:24+12

俊敏:12

魔力:1

器用:12

装備:

技能:


魔体:インキュバス

属性:無

魔神の加護:5

生命力:13

筋力:1

体力:9

俊敏:34+34

魔力:20+10

器用:20+10

装備:

技能:



 以前、オークの里で大角鹿を餌に魔体持ちオークを洞穴におびき寄せて倒した時に比べて、丸3日かかってようやくこの成長である。

 やはり魔物よりも魔体を倒す方が経験値を多く獲得出来るようだ。

 でも格下の魔体をどんなに倒しても加護が上がらないのとは違って、魔物はどんなに弱い魔物を倒しても少しずつ経験値が溜まり、いずれ加護が上がる。


 インキュバスは加護が上がっても筋力が上がらないので、魔物を倒すのに時間がかかってしまう。

 何か武装魔石か攻撃系の魔法魔石があればな……。


 リリスのダークプリーストも成長した。

 僕とのHだけではなく、ダークヒールでも経験値が得られると分かった。

 ダークヒールで傷を癒してもらった時、ダークプリーストの加護が上がったのだ。

 もちろんHでの加護上げも毎日熱く頑張っております!



魔体:ダークプリースト

属性:闇

魔神の加護:10

生命力:35

筋力:1

体力:24

俊敏:13

魔力:48+48

器用:48+48

装備:

技能:ダークヒール



 ダークヒールの回復量は48に上がっている。

 確定的な算式は分からないけど、今は補正値無しの魔力分回復すると思っていればいいだろう。


 ハンマに関してはもちろん加護は上がっていない。

 1のままだ。

 そして今日、複数魔体を使った戦闘を試してみることになっている。


 この場合、加護は上がらない。

 ハンマの加護は上がらないし、ハンマから出てきた他の魔体の加護も上がらない。

 つまり経験値的には無意味なことになる。


 それでも、分かっておかないといけないことがあるのだ。

 複数魔体での戦闘で、どれだけ連係できるのか。

 僕の指示はどのように伝わっていくのか。

 やってみないと分からない。


 ゴブリンの里に残った魔物は加護が高い魔物ばかりのはずだ。

 経験値的に美味しい魔物なので、それで検証はさすがに勿体ない。

 そこで、森の中のある一角にいたゴブリンを残してある。

 それに獣はまだまだいるしね。


 とりあえず、残しておいたゴブリンの場所に向かう。

 辺りを探索すると、魔7のゴブリンがいた。

 まずは全員にゴブリンを攻撃しろという意識を心で伝えてみる。



「……ふむ」


 魔7のゴブリンは一瞬で消滅していった。

 当然だ。

 ハンマから出てきた魔体は、その魔族になっている時に出てくる魔体と同じ強さを持っている。

 ゴブリン、オーク、インキュバスに囲まれたら瞬殺だろう。


 ただ、いまの戦闘で気になる点がいきなり出た。

 ハンマだ。

 ハンマは動かなかった。

 ゴブリンを攻撃しなかったのだ。


「う~ん」


 悩む僕の腕にはDからそろそろEに成長しそうなリリスの柔らかい胸が押し当てられている。

 この誘惑に負けてはいけない。

 いや、負けてもいいんだけど、リリスはいつだって僕と愛し合うのを期待しているんだけど、今は考えよう。

 リリスの胸はいったいどこまで大きくなるのか? 僕としてはDかEの美乳が大好きなんだけど、ただ一般人な僕には夢の世界でしか存在しないFとかGも体験してみたい。

 さらには天下人しか体験できないというH以上も、もしかしたら……。

 あれ? リリスの胸の前に何か考えていたような……。


 ハンマのことだった。

 ハンマだけゴブリンに攻撃することなく、僕の近くに立っていた。

 たまたまか?

 それとも魔7のゴブリン相手に、自分が出るまでもないと判断したのか。


 次に魔6のゴブリンがいた。

 今度はハンマとオークに攻撃するよう意識で伝えた。

 しかし動いたのはオークだけ。

 ハンマはやはり動かなかった。


 さらに次に魔7のゴブリンがいた。

 今度はハンマにだけ、攻撃するよう意識した。

 でもだめ。

 ハンマはゴブリンを攻撃するどころか、その場から動くことすらなかった。


「う~~ん」


 さらに悩む僕のほっぺにリリスがすりすりしたり、キスしたりしてくる。

 この誘惑に負けてはいけない。

 いや、負けてもいいんだけど、リリスはいつだって僕と激しい運動で汗を流すことを期待しているんだけど、今は考えよう。

 リリスのテクニックはどこまで成長していくのか? いったいいつどこで学んでいるんだ? 次々と新しいテクニックで僕を喜ばしてくれる。

 サキュバスの本能なのか? 男から精を絞り取るためにサキュバスの本能として知っているのか?

 む? 何か他に大事なことを考えていたような……。


 ハンマのことだった。

 オークリーダーとの戦いで、ハンマは当時のオークの魔体を自ら出して、オークリーダーの大剣の盾にした。

 僕の指示無しに、というか当時はハンマから他の魔体を出せるなんて認識が僕の中に無かったわけだけど、ハンマは勝手にオークの魔体を出した。

 それもどうかと思うけど、とにかくそれでハンマは死ぬことなく、オークリーダーに拳を放って倒すことが出来たわけだ。


 そう、あの時は拳をオークリーダーのみぞおちに喰らわせていた。

 なのに今は動かない。

 当時と今の違いとして、あの時はオークリーダーの大剣で盾として出したオークが消滅したことが考えられる。

 オークの魔体が消滅した時点で、ハンマが動けるようになっていたとか。


 これも確かなことは分からないけど、とりあえず複数の魔体を出している時は、ハンマは戦闘することがないと思っておこう。

 戦力が1人分減ったけど、それでも3体の魔体を出せるんだ。

 しかも、もっと多くの魔体を出せるかもしれない。

 そして、こうして加護を上げていくことが出来れば、加護1の補正値込みのハンマで戦うより、複数魔体で戦う方がずっと強いことになる。



 その後は、3体の魔体にお互いの動きを合わせて魔物と戦うように意識で伝えた。

 残った森の魔物のゴブリンを見つけ次第、3体の魔体で倒していった。


 連携はまあまあって感じだ。

 ゴブリンが盾役で、オークがアタッカー。

 インキュバスは……撹乱役といえば聞こえはいいけど、実際には動きが速いだけで魔物を倒すことにはあまり貢献出来ていない。

 やはり武装魔石か魔法魔石だな……。


 インキュバスだけじゃない。

 ゴブリンとオークにも何か武器を持たせてあげたいな。

 ずっと素手で戦っていたら、そのうち「おらおら」とか「無駄無駄」とか叫び始めてしまうかもしれない……なんてことは無いだろうけど、武器は欲しい。


 ゴブリンには棍棒が似合いそうだな。

 棍棒とか斧とか、後はハンマーみたいな槌かな。

 オークは、あのオークリーダーが持っていた大剣がいい。

 筋力の高いオークには豪快に大剣を振り回して欲しいものだ。

 インキュバスは……弓だな。

 筋力の低さもそうだけど、生命力と体力も低い。っていうか、インキュバスはあまり戦闘向きじゃないんだよね。

 瞬間的に逃げるとか、あとは夜這い用とか。

 僕が何体の魔体を同時に出せるのかまだ分からないけど、もし3体が限界だとして、より戦闘向きな魔体を手に入れたらインキュバスを外そう。


 リリスのダークプリーストは杖か。

 魔法の効果を上げてくれるというイメージからは杖が連想される。

 鎖で繋がっている両手でも、杖を持つことは出来るし。


 武器だけじゃなく、防具の充実も図りたい。

 あれ? 武装魔石って防具もあるよね? どうなんだろう?


「リリス、武装魔石って武器以外にも防具みたいなのあるの?」

「あるはずです。鎧やマント、それに特別な効果を持ったアクセサリーなどがあると聞いたことがあります」


 焦らず1つ1つ集めていこう。

 でもこの迷宮で何か武装魔石が落ちることはあるのだろうか。

 まだ里の中には入っていないけど、森の中にいるゴブリンの魔物から得られたのは、全て魔力魔石だ。


 武装魔石を買おうにも――そもそも僕は人族のお金なんて持ってないけど――ルーン王国では迷宮は全て王家管理で魔石が一般に出回ることはないってエドヴァルドさんが言っていた。

 もし武装魔石や魔法魔石を買うなら、バル王国という国に渡らないといけない。

 ルーン王国より北にある国で、この世界の人族の国ではルーン王国に次いで2番目に豊かな国らしい。


 魔族には『国』という概念はない。

 魔王が全魔族の代表にはなるけど、魔王が各種族を完全統治しているわけではないそうだ。

 魔族には国がなく、また市場がないので魔石がどこかで売られていることはない。

 いろんな種族の集落を訪ねていったら、たまたま武装魔石や魔法魔石を保管していることがあるかもしれないけど、それを売ってくれる可能性は低いと思う。



 装備の充実はまた考えるとして、いまは3体の魔体の連携を確認していこう。

 ハンマは戦わないことを前提に、ゴブリン、オーク、インキュバスにそれぞれ指示を出す。

 とは言っても事細かく指示を意識するのは難しい。

 そこで、前面に出て敵の攻撃を受けるのはゴブリン、その隙に相手に攻撃するのはオークとする。

 インキュバスは相手が1体なら無理に戦いに参加させないで、不測の事態に備えさせる。 特にハンマとダークプリーストへの奇襲を警戒だ。

 相手が複数の場合、ゴブリンが受け持つ相手以外の敵を出来るだけ引き付けて逃げ回る。戦わないでひたすら回避だ。筋力1のインキュバスには攻撃力が期待できないから、長所の俊敏性を生かす方がいい。


 距離も気を付けなくてはいけない。

 複数魔体の時、僕とハンマが離れられる距離は20mで変わりない。

 ハンマから出てくる魔体は、ハンマから5mほどまで離れられる。僕との距離は関係ないようだ。

 僕が魔族化している時に出す魔体は、ハンマと同じく20mである。

 ちなみにダークプリーストがリリスから離れられる距離は3mほどと短い。

 さらにダークヒールの射程距離は、ダークプリーストから15mほどだ。


 リリスには、ゴブリンへのダークヒールをお願いした。

 もちろんオークやインキュバスが傷ついたら、そっちにもダークヒールをかけて欲しいけど、敵を受け持つのはゴブリンだと伝えてある。

 そしてダークヒールをかけるタイミングはリリスに任せることにした。


 僕がゴブリンの情報を確認して、もっとも効率の良いタイミングでリリスにダークヒールをかけてもらっても、それはリリスの成長に繋がらない。

 もちろん情報が見えることを活用しない手はない。

 最初のうちは適正なタイミングを教えてアドバイスは送るけど、どれくらい傷ついたらダークヒールをかけるべきなのか、リリス自身が判断できるようになるべきだ。

 今後、激しい戦い……はなるべく避けようと思うけど、もしそんな展開になったら、僕も冷静でいられるとは思えないからね。

 僕は僕のことで手一杯になるだろうから、回復はリリスを信頼しよう。



「はい! 頑張ります! ガイア様のためにダークヒールを使いこなしてみせます!」


 リリスを信頼する。

 迷宮を出て小屋に戻ったところで、回復はリリスを信頼して任せたよと言ったのだ。

 その言葉にリリスは感動して、本当に嬉しそうだった。


 明日はいよいよ迷宮の中にあるゴブリンの里に向かおうと思う。

 強敵が待っているかもしれないけど、リリスと2人ならきっと勝てるはずだ。


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