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木の棒のエターナルノート  作者: 木の棒
第2エター 異世界で中途半端な魔族始めました
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第19話

「ただいま」

「おかえりなさいませ! わぁ! すごい荷物ですね」


 ポーメンから北の丘の教会に戻った僕は、インキュバスを使って頂いた物を2階に運んだ。

 筋力のないインキュバスだと一度に運べず、リリスにも手伝ってもらった。


 リリスは旅袋の中を1つ1つ確認していく。

 旅袋の中にはロウソク、布、薬草などが入っていた。

 そしてリリスを喜ばせたのは、調理道具だ。

 簡単な鉄製の調理道具がいくつか入っていたのだ。

 これにはリリスが大興奮。目を輝かせながら「これでガイア様にもっと美味しい料理を作ってあげられます!」と飛び跳ねていた。


 しかしリリスの感動はこれで止まらない。

 僕が希望した調味料を見つけると、まるで宝石を見つけたかのように大はしゃぎ。

 塩と砂糖は旅袋一杯に。

 胡椒もほんの少しだけど入っていた。


 その日の晩御飯はすでに準備されていたけど、早速頂いた調味料をかけて食べた。


「う、美味い!!!」


 今までにない旨味だ!

 これは調味料をもらってきたのは本当に良かった。


 晩御飯の後、リリスと一緒に水浴びに出かけた。

 川でお互い一糸纏わぬ姿で水浴びをする。

 いつもようにイチャイチャしながら楽しく水浴びをしていたら、リリスが思い出したかのように言ってきたのだ。


「そういえば、今日は迷宮を探して森の中を探索してみたのですが」

「おお~どうだった?」


 僕はリリスの胸の迷宮を探索中です。


「それほど遠くない場所から、溢れる魔力を感じました。もしかしたら本当に近くに迷宮があるかもしれません」

「おお~それは良いぞ」


 リリスの胸は良いぞ。

 この柔らかさが堪らない。

 大きさもまた一段と大きくなったか? 形も良くて見た目も素晴らしい。


「ガイア様から魔体を授けて頂いて、空を飛ぶのも上手くなりましたし、長時間空を飛べるようにもなりました。おかげでかなり広範囲を探索出来ました」

「おお~素晴らしいぞ!」

「はい!」


 今夜はリリスのこの素晴らしい身体を余すことなく、広範囲に攻めていこうと思う。





 熱い熱い夜が過ぎて、明け方に眠れば、起きたら太陽はほぼ真上。

 昼です。

 リリスは先に目覚めてお昼ご飯を用意してくれていた。

 ありがたく頂くと、いよいよ移動だ。


 さて、ここで僕はついにリリスに秘密を見せることにした。

 僕が何者なのか。

 その答えは僕も分からない。異世界人だと言うのは簡単だけど、そう言ったところで、それが何か意味を持つわけではない。

 大切なのは、この世界で僕という存在がどんな力を持っているかだ。


「リリス」

「はい」

「今から僕の能力をリリスに見せるけど、たぶんすごく驚くと思う」

「……はい」

「もしかしたら、僕のことを怖いと思うかもしれない」

「……」

「もし、どうしても僕のことを受け入れられなかったら、素直に言ってね。それは仕方のないことだと思っているから」

「……」


 リリスは真っ直ぐ僕を見つめていた。

 その瞳を見て僕は確信した。

 大丈夫。

 リリスは僕を拒絶することはない。


「いくよ」


 僕がインキュバス以外の魔族にもなれること。

 ハンマの他にも3体の魔体を出せること。

 そして、それらの魔族を獲得してきた経緯を話した。




「驚いただろ?」

「……はい、とても驚きました。でもとっても素敵な能力です」

「素敵かな?」

「素敵です! ガイア様の能力は、きっと唯一無二の能力です。それはガイア様が大いなる運命を授かった御方だからです。私はガイア様にお仕え出来ることを誇りに思います」


 ハンマからゴブリン、オーク、インキュバスの3体の魔体を出して荷物を持ってもらいながら、森の中を歩いている。

 リリスのダークプリーストも荷物を持ってくれて、4体の魔体を荷物持ちとして使うという贅沢な使い方だ。


 リリスは僕を怖がったり、拒絶したりすることなく、むしろさらに僕を尊敬してくれたようだ。

 荷物は魔体が持っているから、僕とリリスは腕を絡ませていちゃいちゃしながら歩いている。

 まるでデートのお散歩だな。


「ガイア様の能力をさらに強化するために、魔体持ちの魔族を見つける必要がありますね。男性なら倒して、女性なら捕えていきましょう」

「ん? どうして女性は捕えるの?」

「インキュバスの種族を得たのは私と結ばれた時なのですから、女性の魔族から種族を得るのは同じようにすることが必要なのか、確認するためです」


 あれ? 僕が他の魔族の女性とエッチするのはいいの?


「う~ん、でもリリス以外とはしたくないしな~」

「……ガイア様!」


 熱いキスが飛んできました。

 さらに好感度アップだね!


「ありがとうございます。ですが、ガイア様はいずれ大いなることを成す御方。私ごときが独占してよいわけありません。私のことも忘れずに愛して頂ければ、私はそれだけで幸せです。何があろうと、私はお側に一生お仕えします」

「う、うん。ありがとう、リリス」


 今度は僕から熱いキスを送った。

 しばらくその場で濃厚なキスを過ごす。

 その間、合計5体の魔体は遠い空を眺めながら待っていたとか。




 リリスが感じる『魔力が溢れている場所』を目指して進む。

 僕がインキュバスになって飛べば移動は速いんだけど、荷物があるからそうはいかない。

 急ぐ旅でもないし、ゆっくり行けばいい。


 リリスは僕を、いずれ大いなることを成す御方、なんて言ってくれるけど、実際には大いなることを成すどころか、何をすればいいのかまったく分からない状態だ。

 そもそも、僕はこの世界の人間じゃない。

 可能であるなら元の世界に戻りたい……というのが当初の考えではあったけど、こうしてハンマの特異な能力と、リリスという最高に可愛いサキュバスと一緒になった今となっては、元の世界に戻りたいという気持ちは薄れてきた。

 心残りは両親に何も伝えられないまま、あっちの世界で僕が消えたことになってしまうということだな。


 ……帰れるのだろうか?

 ゲームみたいにラスボスがいて、そいつを倒したら元の世界に帰れるのか?

 僕がこの世界に来た意味。

 あの青白い老人なら知っているのかな。


 ……ハーレムか?

 異世界といえばハーレムだ。

 リリスからは許可も頂いた。むしろ積極的に応援してくれる勢いだ。

 インキュバスとサキュバスで攻めたら、どんな魔族の女性だって落ちるのではないか?

 メロメロにして、僕とリリス無しでは生きられないような身体に!


 ま、妄想はこの辺にしておこう。

 僕が魔族の種族を獲得する条件に、女性の魔族とはエッチするのかどうか、リリスが言う通りまずは確認する必要がある。

 次に出会う魔族が、どんな種族なのか楽しみだな。


「こっちです」


 僕はどこからか魔力が溢れているなんて感じることは出来ない。

 リリスの感じるままに、進んでいくだけだ。


 いま向かっている先に本当に迷宮があった場合、その迷宮に入っても大丈夫なのか? という不安もある。

 僕もリリスも迷宮に入ったことはないし、また知識もない。

 入った瞬間、ラストダンジョン並みの強さの魔物がいて、一瞬で殺されてしまうなんてこともあり得る。


 迷宮に入ったらすぐに出られるのか? 入口と出口は同じなのか?

 これに関しては入口と出口は表裏一体で、すぐに出られるそうだ。

 でもあくまでもリリスが聞いていた話なので、確実ではない。

 それに迷宮にもいろんな種類があって、入った場所とは違う場所に出口があったりしてもおかしくない。


「迷宮に入っている魔族がいるといいな」


 迷宮に入ったら即死を免れるためにも、その迷宮に入っている魔族がいるとありがたい。

 その魔族の種族をどうにか獲得して、僕が魔族化して迷宮の情報を手に入れればいい。

 迷宮は魔体を強くすることが出来る場所なのだから、近くに魔体持ちの魔族が住んでいる可能性は高いはずだ。


 そういえばゴブリンの友好派リーダーが、迷宮は枯れて消えてしまうと言っていたな。

 発生から消滅まで、どのくらいの時間があるのか。

 ま~これも迷宮によってまちまちかもしれない。


「こっちから魔力を感じます」

「うん。リリスのおかげで進む方角が定まって助かるよ」

「ありがとうございます。ガイア様のお役に立てて嬉しいです」


 笑顔を向ける度にキス。

 まさに恋人モード!


「リリスと一緒なら辛い移動も楽しい時間に早変わりだね」

「嬉しい……私もです!」


 そんでもってまたキス。

 魔体に見られているけど、魔体は文句言わないので大丈夫。



 こうして楽しい移動が3日続いた。

 夜はテントを敷いて、その中で寝袋に入って寝る。

 寝袋は1人用だけど、リリスと抱き合うように一緒に入って寝ている。

 おかげでちょっと布が千切れそうなほど伸びてしまった。


 そして4日目。

 リリスが感じていた魔力の出所に到着した。

 こんな4日もかかるほど離れているのに、溢れる魔力を感じるなんてすごいな。

 北の丘の教会から飛んで探したそうだけど、どこまで近づいていたんだろうか。


 それにしても……。


「ここ……か」

「はい。あそこから間違いなく魔力が溢れているのを感じます。どうやら魔族の集落のようですね」

「ああ、そうだ」

「柵が壊れている? それに静かすぎます。まるで誰もいないような……」

「ああ、たぶん誰もいないだろうな」

「ガイア様は何かご存知で?」

「……ゴブリンの里だ。ここは僕がゴブリンの種族を得てしばらく滞在した、あのゴブリンの里の集落だよ」

「ここが……なら、あの中はもう」

「うん。オークに襲われた後だろう。オークの生き残りがいるかもしれない。警戒しながら入ろう」

「はい」


 リリスが導いた先にあったのは、懐かしきゴブリンの里だった。

 しかし、外目からも分かるほど里は破壊されていた。

 喰い荒された後、というのが正しいのだろう。


 ぼろぼろの門をくぐり中に入る。

 ゴブリンの死体は見えない。オークに骨まで喰われたのか?


「む!?」

「……野犬のようです。他にも獣が入りこんでいるようですね」


 物音に反応すれば、そこにいたのは好戦的な野犬。

 オークの喰い残しを漁っていたのか……。

 直接恨みがあるわけじゃないけど、それでもやっぱり許せなかった。




 ゴブリンの里の中に入り込んだ獣の駆除が終わった。

 テントや小屋はぼろぼろだ。

 それでも、あの頃寝ていた小屋に愛着もあって、そこを拠点とすることにした。

 小屋の中にテントを敷いておこう。


「あれか」

「はい。あれが迷宮の入口です」


 里の中央広場。

 そこに黒く輝く渦があった。

 高さは僕より少し高いぐらいだ。

 形は一定に定まっていない。

 黒い渦がぐにゃぐにゃと揺れている。

 どんな迷宮なのか、入っても安全なのか、まったく分からない。


 それでも入ろうと思う。

 不思議とすぐに決められた。

 ここがあのゴブリンの里だからか?

 あの迷宮の中に何かある、と勝手に思いこんでしまっているだけかもしれない。


「明日、迷宮に入ろう」

「はい!」


 僕とリリスの迷宮攻略が始まる。


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