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プロローグ。
美しい音楽の溢れる輝かしい世界――ユシュタール。
吟遊詩人達がシューラの音色にのせて歌い紡ぐ、ある奇跡の物語を、人々は特別に愛している。
世界が『果て』より崩壊を始めた時、その身を挺して守り続けた皇帝。
その献身的な姿に御心を打たれ、創世神ユシュタルは一人の娘を遣わされた。
娘の歌声は人々を癒し、奏でる楽の音は希望を与えた。
皇帝と娘は愛を育み、その愛で以って世界を救ったのだ。
これはその奇跡の物語――世界を支えた偉大なる皇帝と、世界を救った尊き妃の愛に満ちた穏やかな日々……に美化される前の本当の話。