しょうもないことー定期テストー
定期テストの、問題冊子が配られた後の時間が嫌いだ。
緊張感が漂う中、既に諦めて大欠伸している者も、余裕綽々という顔で得意げに座っている者もいる。
他の教室からも声は聞こえない。僅かに開かれた窓から、爽やかな風と共に園児の笑い声と小鳥の囀りが耳に流れ込む。
いつも騒がしい学校が静まり返る違和感とピリつく空気に、心臓が波打つ。
この雰囲気が、私は嫌いなのだ。
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と、カッコつけて言ってみはしたが、既に諦めて大欠伸してる奴らの一員が私である。最も「奴ら」などと言っても諦めて大欠伸している奴など私以外には誰一人いないが。
もう諦めているんだから違和感だとか雰囲気だとかが嫌いもくそもないのだ。
加えて、園児の楽しげな笑い声ではなくけたたましい絶叫、小鳥の囀りではなくカラスの乱闘である。
非常に煩い。
さて、こんな大切なテストの日にも、私は色々とやらかしている。
家庭科のテスト後。友人数名と屯し、「ここわかんなかったよね〜」という話をしていた。
話題に上がっていた問題は、「大根・にんじん・玉ねぎ・ジャガイモ・たけのこ」の中から根菜を三つ選ぶというもので、私は殆ど選択肢を見ずに楽勝だぜ、と「にんじん」「玉ねぎ」「ジャガイモ」を選択した。「根」という字が付いている最も簡単な野菜、大根を見逃したのだ。
しかし、この時点で私はまだ自らの過ちに気づいていなかった。何の根拠も無く「玉ねぎは根菜である」という確固たる自信を持ち、したり顔で「自分は合ってますよ、確実に」と友人達にアピールしていた。
側から見れば救いようの無い馬鹿であるが、その救いようの無い馬鹿が私であるためなんとも言えない。
その時友人達は「ジャガイモと玉ねぎ、どちらが根菜か」と議論していた。私はどちらも選択していたにも関わらず、「玉ねぎは根菜なのか」という言葉だけ聞いて「玉ねぎは根菜であると教えてあげなければ」と謎の使命感に駆られた。
そして胸を張り、したり顔で
「玉ねぎは‥‥‥根菜だよ?」
と、当たり前のように髪を掻き上げながら言った。窓から入ってきた風が掻き上げた髪を攫っていった。もう漫画のワンシーンである。
根拠すらも無い完全な誤情報だったが、めちゃくちゃにカッコつけて髪を掻き上げ発した言葉へのあまりの自信に、周りは正解だと信じて疑わなかった。「へえ、そうなんだ!」とキラキラの眼差しを向けられ、私はニヤニヤしながらカッコつけてポーズをキメた。
しかし、テキストを見ていた一人の友人が、「あれ、玉ねぎって、葉茎菜類って書いてあるよ?」と不思議そうに言い放ったのだ。
無論、彼女に悪意は全く無い。だが、その場はシンと静まり返った。その通り、玉ねぎは葉茎菜類だったのだ。
カッコつけながら堂々と誤情報を発信した私。それを信じた友人達。
気まずい空気が流れた。
その後面白くも無い冗談を言って場の雰囲気を何とか変えたが、爽やかな日差しも虚しく私の胸中は曇天だった。
これを書きながら、『コンな問題も解けなかったんだ、根だけに』と考えてしまった自分は、本当に救いようが無いと思う。




