民の体操
ガルニシアン帝国
玉座から若き知将ハーストを
睨み付ける皇帝ジェイド
「貴様が反旗を翻すとはなハースト
飼いドラゴンに手を噛まれるとは
この事だな」
ニヤリと醜悪に笑うジェイド
ハーストは怒りに満ちた表情で
剣を構える
「…貴方は民を省みず
多くの地を踏みにじった」
にじり寄るハーストに
フンと鼻を鳴らすジェイド
「我れが貴様の裏切りを予期して
いないと思ったか?
…アロークト出身だったな
今頃はガルニシアンの誇る
鋼の翼が降り立っている事だろう」
鋼の翼は帝国の誇る精鋭部隊
ハーストの顔が青ざめる
「馬鹿なっ抵抗も出来ぬ民の元へ
精鋭部隊などとっ」
身を翻して飛竜を呼び
急ぎ故郷アロークトへ向かうハースト
「…愚かな
駆け付けたとて後の祭りよ」
くしゃりと顔を歪めるジェイド
アロークト
交易も盛んな港町
暫く前に越して来たミレイは
青い海の上の不穏な影を見つめていた
「どうしたんだい?ミレイ先生
いつもの体操始めないのかい?」
広場に集まっていた
近所の爺さん婆さん
子供達
奥様方
魚屋の大将
八百屋の大将
猫のミーコ
亀のドンスケ
「…皆、今日は本番よ
本気でいつもの体操をするわよ!」
ミレイの只ならぬ様子に
胸に親指を当てて
おうっ!と呼応する住民達
ニャーッ!とミーコ
のそのそと亀のドンスケ
「民の体操第一!虹の陣形!」
前衛、中衛、後衛に別れ
前衛で重厚な防御の体勢を取る
魚屋と八百屋の大将
中衛で奥様方がキッチンツールを構え
噂話を展開しながら撹乱
爺さん婆さんが昔取った杵柄で
高位魔法を展開
後衛からミレイが躍り出て
ミーコと共に素早い攻撃を放つ
亀のドンスケはベストポジョンで
スタンバイ
敵を躓かせる
子供達は安全な建物から
胡椒玉パチンコを放つ
鋼の翼の精鋭達は
皇帝の命令とは言え
民達だろう?と完全に舐めていた
舐めくさっていた
結果
亀に躓き
八百屋と魚屋の大将に弾かれ
奥様方の噂話しに傷付き
キッチンツールでしばかれ
爺さん婆さんからまさかの
高位魔法を食らい
猫に引っ掻かれ
ミレイに叩きのめされた
仕上げに胡椒玉を食らった
ところで駆け付けたハーストに
引き渡された
「…皆無事で嬉しいが
鋼の翼の体たらくに
何と言ったら良いのか」
言葉も出ないハースト
意気揚々と勝ち名乗りを上げる
アロークトの民達
「…ミレイ先生行っちゃうの?」
寂しそうな子供達に
「ちょっと帝国で体操教えてくる」
ハーストと共に向かうミレイ
帝国の玉座では
謎の悪寒を感じてるジェイドがいた




