終わりの始まり
ピ、ピ、ピ、ピ、、、
しんと静まり返る心電図の音
もう半分にも開かない目を開けながら千恵子は地上により低く飛ぶ鳥を静かに眺めていた。
「今日はあめがふりそうだねぇ」
しぼりだすような声でボソッとつぶやく
夫は去年旅立った、子供たちももういい年でなかなかに忙しく無理して会いにこなくていいと思ってる。少し寂しく、しかし私はやり遂げたのだと自慢に思う自分もいる。
だが少し寂しい、それは一人このまま息を引き取ってしまうのではということではない。
今まで私の知識経験が受け継がれずなくなってしまう憂いであった。
今の日本には便利な機械がある、便利なものに溢れていて私の出番など無いに等しいのだ。
昔はよく近所のみんなで助け合い、お互いの知恵で困難を乗り越えてきたものだ、今はぐー○ル先生とやらが教えてくれるらしい。どんな質問にも答えれてどんなものも見せれる、さらに世界とつながり色々な人と交流もできる。わたしなんかにゃ宝の持ち腐れだな、この村からでたこともないし知識は何百年も受け継がれてきた眉唾なことばかり、それでも私は自分がやってきたことがまちがってなかった、人の為につかうことをしたかった、村では私が最後の村娘だった、みんな都会に出ていき息子夫婦も都会に出ていき最後にのこった私がここで息を引き取れば知識が途切れてしまうかもしれない。
ここ最近どうやら調子が悪く悲観的になってるかもしれない
「さてさて、そろそろながくはないかもしれないの」
みんな元気にしてるならそれでいい。
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真っ白な部屋、部屋にポツンと大きな椅子がある、私は無機質な雲の上のようなところで寝転んでいるようだ、意識がはっきりしていた。
「私は死んだのか」
周囲の異様な光景にわたしでも瞬時に悟った。
「そうだ、貴様は人間としての人生をまっとうしたのだ。誠にご苦労であった、多くの人々に笑顔と知識を与え人生を豊かにしてきた君に称賛を与えよう」
「ありがとうございます。」
なんのことかわからなかった。私は私の生きたいように生きたのだ、死んだ夫とも当時では珍しく恋愛結婚だったし息子にも孫にも恵まれた。普通の私にはとんでもない賛辞だ。
「それでだな、千恵子よ君に一つお願いがあるのだかよいか」
「、、、ええ」
怪訝そうな顔をしてしまったそれはそうだ、相手はなにものかもわからない、神様かもしれないが悪魔かもしれないのだ。
「自己紹介もせず申し訳ない私の名前はノーム・エクストラム無数の大地を司る神である、本来転生の女神が担当するのだが何分急用なもので私がここにきたわけだ」
「本来死んだ人間は魂となり、、、」
「あーしっとるしっとる早く成仏させてくれ」
「それがそうはいかんのじゃ、わしの管轄しておる世界が今終わろうとしておる、是非そこへ転生してみんなにお主の知恵を貸してやってほしいのじゃ」
「お断りします。わたしはもう十分生きた、恋も仕事も子育ても、やり残したことはもうないんじゃよ」
「お前の夫は本当にお前に感謝しておったぞ、会社がうまくいったのも子育てもしっかりやって仕事も大変優秀だったそうであったそうではないか」
「昔のことです。」
「なら赤子からその知識をそのままやりなおせるとしたらどうする?」
「赤子からですか?」
「そう、赤子からその知識を有しさらには送る土地への対応力もつけよう風邪もひかんし寿命以外で死ぬことはない。好きなだけ貴様の好きな人助けをするといい」
「それと貴様の夫はいっておったぞ、わしと結婚せねばあやつはもっといい生活を遅れた、幸せにしてほしかったわけじゃなく幸せにしてやりたかったと」
「、、、わかりましたその話うけます。」
うつむき顔を隠すようにそうつぶやいた
「そうか、例を言う」
「送る世界のことじゃが魔法と剣の世界でのそこで皆を導いていってやってほしい、なに多くは望まん。周りの人を笑顔にしていくだけでいい」
「わかりました。」
「それでこれをお前に渡そう」
スッとノームがボロボロの袋を渡してきた
「これは今までお前の生きてきた知識じゃ、忘れたこともあろう、必要なものもあろうそんなときはこの中に考えててをいれるのじゃお主が経験した事、物ならばそこからとりだせるであろう、新しい世界で得た経験もそこにいれることができるぞ」
「おーすごい便利な道具ですね!」
「いくら老衰しかせぬとはいっても無理してはならぬぞ村人に怪しまれては本末転倒なのでな、では送るぞ」
「はい、おねがいします」
じい様ありがとう、私はもう少しがんばってきます
千恵子は青白い光に包まれうっすらときえていった
「よろしくたのむぞ」




