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お荷物

※ 通勤電車で書いてたら、寝落ちして、書いたものが消えてた……というのを繰り返してしまってました…… ※


ボクを迎え入れてからというもの、ワタシのフットワークはかなりレベルダウンしてしまった。


連れて歩くには幼すぎ、置いて行くにも幼すぎ、ましてや留守番で取り残されて死にかけたという直近のトラウマを抱く子供は厄介だ。


ほぼボッチであった前世では自らの経験はないのだが、乳幼児を抱える家族の大変さは色々と取り沙汰されていたものだ。

当時はリア充な他人事であったが、今になって、その不自由さがわかるようになってきていた。


まず、交易はすっかりご無沙汰になってしまった。


子連れで訪問なんかした日には、どんな誤解をされるかわかったものではない。

それに、あの集落を訪ね事があり、ボクを見知った人がいるかもしれないし。


まだ言葉のないこの世界では、状況説明なんかできない。

相手はその場の直感で行動し、周囲は集団心理で呼応する。

もしも誰かがワタシを子拐いだと思い込んで敵意を向けて来たら、いかに現代の知恵と知識があっても、知能の高い野獣の群れと化した集団を敵に回してはなすすべはない。


リスクは、避けられる限り避けておきたい。


それに、この本拠地に腰を据えてやるべき事も山積みなのだ。

交易をしばらくおやすみにして、こちらに本腰を入れるための、良いきっかけだと思っておこう。



畑や果樹園を整備して実りの良い株を選り分けたり、機織り用の木枠を改良したり。


しばらく手付かずだった土器作りも再開だ。

こねたまま置きっぱなしになっていた粘土が、しばらく寝かせたのが良かったのか、格段に粘りがアップしていた。

まさに、怪我の功名。

とりあえず小さな器をいくつか形成し、洞窟の奥で、じっくりと陰干しすることにした。


かまども、もっと使いやすくしたい。

洞窟の側の斜面を掘って窪みをつくり、粘土と砂を固めたレンガを積み上げて、暖炉状のかまどと、その上に石窯もどきを造り上げた。

火を焚いているウチに、レンガも焼ける事だろう。



「ウーダ、これ、できた」


ボクは、めんどくさい作業をよく手伝ってくれる。

今は石臼の上に置いたモミを叩いて、穀物の脱穀中だ。

ワタシがやると中身ごと潰してしまうので、子供の仕事にちょうど良いのだ。


一人暮らしだと、この辺が面倒臭くて手頃なモノで食事を済ませてしまいがちだが、手と口が増えたとなると話は変わる。

だが、それはデメリットばかりではない。


ボクとともに暮らし始めてから、ワタシの生活はむしろ豊かに変わりつつある。


「ありがとうね、ボク。ほら、これ、食べなさい」


「うん、食べる」


わかっていようがいまいが、お構いなしに話しかけるようにしていたところ、子供だからか、予想以上のペースで言葉を覚えつつあるボクだ。

ワタシもこんなにたくさんしゃべったのは、何年ぶりであろうか。


ボクの存在は、負担どころか、もはやなくてはならないものとなってきていた。

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