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おうち改革

独り立ちして、過去で言うところの2ヶ月ほどが経過した。


地図は何度も書き直し、色々と書き込みもして、かなり広範囲に渡ってこの辺りを把握できてきている。

他の集落と被らないように検討を重ねた末に、拠点を移し、新居周辺にも色々と移植して環境を整えつつある。


拠点1は数年かけて設えただけあって、捨てがたい利便性はあったが、元の仲間の群れにあまりにも近すぎた。

そこで、各所に作った中継地でキャンプしつつ足を延ばして、片道2泊程で往来できる程度の距離のところに、良い物件を見つけたのだ。


まず、洞窟だが、奥行きがありすぎてもいけない。

奥に何が潜んで居るかわからないからだ。


あと、動物の生活痕がないかどうか。

特に、人類。

最初は熊なんかの冬眠跡がないかと気にしていたが、この世界の動物には、どうやら冬眠という習性はないらしい。

というか、冬自体がない。


目下、物件のリフォーム中だ。


良さげな洞窟を見つけたら、先ずは、燻す。

針葉樹の生葉を大量に火にくべて燻蒸し、虫や小動物を追い出すのだ。

このとき、樹皮や蔓なんかも洞窟に放り込んで一緒に燻しておくと、後で役立つ。


煙が引いたら、編んだ蔓で簾を作り、入り口を塞ぐ。

私の場合は、比較的精巧な内側に、荒くて雑な外戸の二重戸だ。

こうしておくと、一見、そこに洞窟があるようには見えない。

周辺は瓦礫場にして、足跡をたどれないようにした。

人工物は戸外には置かないし、畑や焚火なんかは、面倒でも少し離れた場所に設置して、徹底的にねぐらを隠蔽する方針だ。


近くにいい感じの沢があるため、水には困らない。

水洗便所を作ろうかとも思ったが、将来、もっと下流で活動したくなった時に後悔しそうだったので、やめた。

手頃な流水があるというのは非常に便利だ。

1回目の人生では、いつからか、ヘチマや銀杏を浸けておける綺麗な小川が全然見つけられなくなってしまった。

とりあえず、手当たり次第に樹皮や草を晒してみたところ、干して叩けばいい感じの繊維が採れるものがいくつか見つかった。

時間だけはやたらとあるので、繊維を撚って紐を作るところから始め、少しずつ細く撚る事ができるよう頑張った。

糸さえ出来ればこっちのものだ。

機織りとなると敷居が高いが、私には棒針編みがある。


とりあえず、ゴワゴワチクチクはするものの、これで私の文明レベルは一気に跳ね上がった。

衣服らしい衣服を、やっと手にいれる事ができたのだ。

それだけでなく、太めの紐で草鞋やブーツを編んだり、軍手がわりにミトン型の手袋を編んだり。

袋や、網なんかもできる。


殊に網は、結構有難い発明(?)だった。


なにせ少女1人では、なかなか狩猟は難しい。

だが網があれば、小動物や鳥、魚を捕るトラップを仕掛けられるのだ。



火起こしも、レンズに頼らずに済むよう、キリモミ型の発火を練習しまくった。

漠然としか知らなかったのだが、要は摩擦熱発火させれば良いわけだ。

言うだけなら容易いが、点火に成功するには試行錯誤で1ヶ月以上かかってしまった。

まず、何に着火するのかがわかっていなかった。

てっきり擦過点から小さな炎が上がり、それを火口に移すものだと思っていたのだが、そこからして間違っていた。

頑張って擦り続けていると、木屑がだんだん黒く焦げて煙を出し始めるのだが、全然炎になってはくれなかったのだ。

もしやと思って、煙を出している黒い木屑を火口に注ぎ込んでみた。

火口は、燃えやすそうな草の穂や、ほぐした紐なんかの塊だ。

息を吹き掛けてみると煙が大きくなったので、数度繰り返すうちに、ついに燃え上がってくれた。

要は、着火するのは「木」ではなく「木屑が焼けてできた炭」だったのだ。

そこのところを理解できたら、後は早かった。

オマケに1回目の人生における年の功で、火鉢や風呂釜を扱っていた経験上、炭を灰に埋めておけば火種を保存できる事も知っていた。


こんな事も、もっと早くやっておきたかったし、出来れば群れの仲間にも伝えておきたかったけれども、これだけ手が込んだ作業となると、遊びのうちに偶然……と見せかけるにはちょっと苦しい。

あまりに不可思議な事をやり過ぎると、気味悪がられて排斥される恐れもあった。


だが、ここでなら色々試せる。


そして私がいなくなっても、いつか誰かがここを見つけて、模倣し、文化を広めてくれることだろう。












アウトドア、大好きです。

実用では、キリモミ式ではなく弓キリ式が早くて楽です。

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