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2回目 (恋愛貧乏録)

中世西洋あかんとこライフです

貴族に生まれるという事は、必ずしも幸せとイコールではない。

ただ、それ以外のいわゆる平民の人生が、控えめに言っても家畜レベルであるために、この虚構の栄華でさえもが、まだしも幸運の賜物と言えるのだ。


豪華だが、重くて窮屈で、さらには洗濯もできないドレスや衣装に身を包み、礼節という大義に言い換えられた厳しい階級差別と行動規制でがんじがらめの日々。

せっかくの若い体を自由に動かすことさえ許されず、許しがなければ話をする事さえできない。



とりわけ女性は。



これはちょっと、思っていたのとは違う。

ワタシが願っていたのは、童話のお姫様みたいな、末長く幸せに暮らせるやつだったのに!





あの日、高熱のために混濁し始めた意識の中で、これってもしかして死んじゃうのかも……と思いつつ、どうせなら……と妄想したのは生まれ変わった来世の暮らし。

たいがい長生きしたという自覚はあったので、死に瀕しつつもわりかし余裕で、ファンタジーな妄想に及べたりもしちゃったようだ。


どうせなら、貴族のお姫様がいい。

……でも、おぼろ眉毛の御公家様とかはちょっとワタシの感性には合わないので、やっぱ、フリフリドレスのお伽噺なお姫様でしょ。

王宮のパーティーでは王子様と踊って……、そういえば、お伽噺より悪役令嬢モノの方が身近な読み物だったよなあ……。

お伽噺って、楽しく踊ったりするばかりで、美味しいものを食べたりとか、くつろいだりとか、そういう部分に欠けてる辺りがなんか地雷臭い気がするし。

しかも、その舞台となった中世西洋って、結構汚くて臭かったらしいし。


叙事詩とか物語とかも、日本では綺麗な部分だけ抜粋超訳されてる事が多かったから、後から全訳文を読んでガッカリするのが常だった。

まあね、面白くはあったけど、人物イメージとかはね……。

子供向け読み物で知って憧れた「三銃士」なんて、高潔な銃士の勇気と友情の物語だと思っていたのに、若気の至りな蛮勇と、狡猾さと、痴情と、異常な金銭感覚で狂っていく人間模様のドタバタ喜劇であった。 アラミスに憧れていた純粋なワタシの気持ちを返せ!


とか、変な方向で走馬灯を見てしまったのが災いしたらしい。


転生を司る神は、たぶん、アレでワタシの望みを分析したのだ。

レベルの低いAIが、片寄った検索傾向のある端末で、指向性いまいちな指示によって作製したとんでもない画像のように……。


そこに悪意はなかったのだとは思いたい。

確かにここは、あの時思い描いていたイメージに近い世界ではある。

ただ、来たいと思っていたのは、こんな世界ではなかった。

あかんヤツとして、たまたま連想してしまっていただけだ。

だって、走馬灯だし。

あれって、記憶がフル検索されるんだよね……。

ああ、動画サイトとかで、「本当は◯◯な中世」とか、あんなのばかり視ていなければ良かった……。



そんなワタシが生まれ変わったのは、中世ヨーロッパのあかんとこばかりを凝集したような、華麗かつ不潔な王宮の、王宮住み貴族の娘であった。










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