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抗魔大戦記綴  作者: 語部きゅうり
第1章 〜鎮西事態編〜
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第4話 〜異変(前篇)〜



 一同は食事を終え、隊長、副隊長、事務所長の三名はまだ会議があるため事務室へ入っていった。ほかの4名は食器を片付けしばらく部屋で歓談していた。「雄二たちってまだ16だっけか。いいよな~若くて」そう言ってきたのは藤田智樹。彼は雄二たちと同じ第2騎士団第3騎士隊所属であり、今年の春からこの事務所に出向し体制構築に尽力している。「俺なんかとうとう二十歳になっちまったよ」と自虐している。「いや、そんな変わらなくないですか?」良人が言う。「いやいや、二十歳超えると一気に老いを感じるわ。体とか疲れ取れんもん」「まじっすか~絶対話盛ってますよね」もう一人の隊員が茶化す。彼は第3騎士団第3騎士隊の遠藤幸太郎という。所属が異なる彼がなぜここにいるかというと、この打上小学校近方に設置される防御陣地には雄二たちの部隊だけでなく遠藤の所属する第3騎士団の第3騎士隊が協同で防御することとなっている。そのため、調整や準備のために遠藤が出向してきているのだ。「でもいいなー。藤田さん酒がもう飲めるんですよね。最初の一杯なに飲んだんすか?」遠藤が尋ねる。智樹は「そりゃもちろんビールよ」と返す。雄二が「上手かったですか?」と尋ねる。「正直、くそまずい」なんだー、と3人は落胆する。対魔師団の戦闘を担う対魔騎士団のメンバーは若年層が多い。

 力を授かり「リシーバー」となった者の多くが子供たちであったことに起因する。そのため騎士団長クラスであっても30台前半であることがほとんどである。その一方で政府や海外の抗魔機関との調整を担う外部調整部や会計などを担う財務部など事務スキルが求められる仕事には「リシーバー」ではない大人たちが多く就いている。

 「ビールは不味かったけど梅酒はめっちゃ美味かった。あれは普通にジュースだな」「あ、梅酒は俺も小さい頃飲んだことありますよ。ばあちゃん家に行った時にジュースと間違えて飲んじゃったんすよ。その後親にめちゃくちゃ怒られましたね」と遠藤が笑う。「お前わりー奴だな」と智樹。「いやいや、不可抗力ですってあれは。知らなかったんだから。無罪ですよ」と遠藤が返す。そのような他愛もない話をしてるうちに夜も遅くなっていき四人は寝るために二階の仮眠室へ床に着いた。勇二も昼の偵察で歩き回り疲れたのかすぐに眠りについた。



 ガチャン「全員起きろ!」勢い良くドアが開かれ部屋に入ってきた事務所長の風秋隼人が全員を起こす。勇二がスマホの時計を見ると00:12を示していた。「沿岸部の方の鎮西町に異形が現れたらしい。数は猿型が20、魚頭型が15程らしい。第1騎士団の連中が対処してる。我々も応援に行くぞ」と言い全員に準備を促す。

 一階に降りると既に巧次と叶は準備を終えていた。「全員すぐに平装備Ⅰ種に着替えてくれ。10分以内には出発するぞ」勇二達は急いで装備を着けていく服をジャージから戦闘服に着替え。全身を防護するプロテクターを着けていく。刃渡りおよそ100cm程の両刃の剣を腰に、20cm程のナイフを左肩の前側に付け、ヘルメットはかぶらず手に持ったまま車両へと向かう。

 彼らのプロテクターと剣は退魔師団の開発部が開発した特殊な素材で出来ている。プラスチックのように軽い。そして硬さもプラスチックと大差ない。普通の人が使えば...たが、「リシーバー」がこれに‘力’を注ぎこむ事によって強度や切れ味が格段に上がる。下手な鋼鉄よりもはるかに丈夫な代物となる。また異形に対しての破壊力も格段に上がり通常の兵器では効果を与えられないものに対しても大きな破壊力を与える。

 全員を乗せた車両は異形が発生した地域へ出発する。「到着まで約10分程だ、速やかに命令を下達する。敵は現在まで鎮西町において3つのグループに別れ住民を襲撃している。俺らは第1騎士団第3騎士隊と合流、彼らと協同で町の南東の異形の対処にあたる。1-3騎士隊はこの異形グループを北側から攻撃する。我々は南側から攻めこいつらを殲滅する。移動時の体制は菱形隊形。俺、安村()風秋(隼人)藤田(智樹)が前方、遠藤(幸太郎)黒澤(勇二)冴津(良人)は後方を警戒。黒澤と冴津は今回が初陣となる。基本的には後方からの射撃支援に務め前線には出るな。」と指示を出す。作戦中普段とは異なり名前では無く名字で呼ぶのは巧次の癖である。

了解、と隊員達は返す。「質問は?」巧次が確認をする。黒澤が「住人はどのくらい残っているのでしょうか?」と聞く。巧次は「時間も時間だ。ほとんど避難は出来ていない」と返す。再度他には、と巧次は聞き

全員の質問かない事を確認し、命令の下達を終えた。

 車を運転している叶が「確か涼香ちゃんの家もそっちの方だったよね?」と聞く。「はい、鎮西町までは行きませんでしたが結構近かったと思います。」「彼女結構責任感強いから下手に無理してないといいけど...」と叶は心配する。事務所長の隼人は「彼女には現場には行かず自宅待機、危険が迫っているようならすぐに避難するようメールは送ったんですけど。」と答える。「嫌な予感がする」と叶は呟く。

 車は異形による襲撃を受けている町へ進んでゆく。

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