第10話 〜苦戦〜
残酷な描写が入ります。
苦手な方はお気を付けください。
良人は事務所長の隼人と3−3騎士隊の遠藤と共に2体の異形と対峙していた。敵は魚頭型1、猿型1である。作戦としては隼人が魚頭を抑え、その間に猿型を撃破、事後3人で魚頭の異形を撃破するといったものであった。猿型の異形より魚頭型の異形の方が強いためこの作戦となっていた。だがその作戦は上手くいっていなかった。原因はおそらく良人と遠藤にある。良人は今回が初の実戦であり、経験が少ない。遠藤はある程度実戦経験はあるが、本来の所属が良人とは異なっている。そのため、今まで一緒に訓練を受けていたメンバーで組んでいた勇二らのように上手く連携が取れないでいた。
良人は異形に斬り掛かろうと距離を詰める。だが「バカ!射線に入るな!」と遠藤が叫ぶ。その言葉に良人は動きを止める。異形はその隙きを見逃さず良人に殴り掛かる。横薙ぎに大きく振るわれる前脚をかわしきれず、良人は剣で防ぐが身体を大きく吹き飛ばされる。「ぐあ」良人は地面に転がる。転がる良人に異形は走り寄る。遠藤が石塊を飛ばし異形の接近を妨げる。石塊をぶつけられた異形は不満げに遠藤の方に向き直る。「早く立ち上がれ!」遠藤に言われ剣を支えにし立ち上がる。「痛っつ!」身体中が痛い。肋骨をやられたかもしれない。痛みを堪えつつ異形へと剣を向ける。「良人、あいつの気を引け!」遠藤に言われた良人は木の力を込める。だがその力を発するよりも早く異形は遠藤に攻撃を仕掛ける。異形は遠藤に接近すると両前脚の拳(この異形の場合拳というより足だが)を合わせ、上から振り下ろす。遠藤はそれをかわし素早く背中に回り込みその背後から斬りつける。だが異形は地面に伏せ遠藤の斬撃かわす。四つん這いのまま遠藤の足に噛み付こうとする。遠藤は高く跳躍してその攻撃をかわす。遠藤が射線から外れたのを確認した良人は力を解き放つ。「くらえ!!」2本の太い木の槍が異形に襲い掛かる。異形は身体を起こし太い前脚をX字に組み合わせ身体を庇う。槍が異形に直撃した。だが槍は前脚に突き刺さったのみで致命傷にはならなかったようだ。異形は突き刺さった槍をへし折り攻撃をしてきた良人に対し甲高い雄叫びを上げながら駆け寄る。「ぎぃいいいいいぃーーー」自分への注意が逸れた遠藤は多量の石礫を異形に放つ。異形は良人に接近しながらも跳躍してその石礫を避け良人へと前脚を突き出す。良人は異形の前脚を横に逸れてかわし異形の横腹を斬りつけようとする。だが異形は身体を捻じり、後脚の拳部分で良人を蹴り飛ばし(パンチ?)た。腹部にもろに攻撃をくらった良人は吹き飛ばされた。身体をすぐに起こすが良人は胃の中身を吐き出してしまう。「オエー...」その隙きを突き異形は良人に追撃を仕掛ける。遠藤がカバーに入ろうとするが間に合わず、横薙ぎに振るわれた異形の前脚に良人は吹き飛ばされる。
吹き飛ばされた良人は地面に転がり起き上がる様子はない。(クソッ、死んだか)遠藤は心配するが確かめる時間はない。それ以上良人が攻撃されないよう石塊を異形にぶつけ注意をこちらに惹く。遠藤の思惑通り異形の注意はこちらに移ったようだ。遠藤は焦る。この異形との戦いの苦戦している理由は確かに遠藤と良人の連携不足もある。だがそれだけではなく純粋にこの猿型の異形は他の猿型よりも強い。今までここまで強力な猿型の異形は見たこともない。正直遠藤1人でこの異形を相手にするのは荷が重かった。(クソっ、時間を稼いで他の人達の援護を待つしかないか)ちらりと隼人の様子を伺う。魚頭の異形を1人で相手にしており、比較的善戦してるようだが決定打を打てないでいるようだ。(しばらく援護は期待出来そうに無いか)一瞬逸した注意を異形の方へ戻す。するとつい先程まで10m程の距離があった異形がすぐ目の前にいた。(しまった!!)遠藤が注意を逸していたほんの一瞬の隙きをついて距離を詰めていたのだ。遠藤は慌てて剣を振るうが間に合わず異形のタックルをくらい吹き飛ばされる。(まずいまずいまずい)なんとか着地をした遠藤に異形は猛スピードでに駆け寄る。時間を稼ぐため石礫を数個放つが、異形はまたも腕をX字にクロスさせそれを防ぐ。スピードを緩めることなく異形は遠藤へとすぐ目の前へと近付く。遠藤は慌てて横に飛び異形の攻撃をかわす。横に避けた遠藤は体制を立て直し異形へと剣を向け、両手で剣を握り直す。だが上手く握れない。不審に思い異形から自分の手元に目を移す。
ない!
左腕の肘から先がなく、多量の血が流れ出ていた。それを認識した途端強烈な灼熱感が遠藤を襲う。「うあーー!!腕が、俺の腕が!」遠藤はパニックに襲われ、剣をを取り落とす。そんな遠藤の混乱をよそに異形は遠藤へと近付く。この獲物はもう抵抗出来ないと考えたのか凶悪な口でグチャグチャと音をたて何かを咀嚼しながらゆっくりと遠藤の方へと歩みを進める。それに気付いた遠藤は「来るな!こっちに来るなバケモノ!!」戦意を完全に失った遠藤はそう叫びながら後退る。足元のくぼみに足を引っ掛け遠藤は尻もちをつく。それでも目の前の異形から距離を取ろうと尻もちをついたままズルズルと後ろにさがる。だが異形は遠藤との距離を詰め、遠藤のすぐ目の前に立ち塞がる。そしてその異様な口を歪ませる。
まるでご馳走を目の前にして笑ってるかのように




