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花と君と  作者: ぷるめりあ
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「兄ちゃん、今日学校どうだったの?」

入学式も終わり、帰宅後に開口一番にそんな母親くさいことを聞いてきたのは、妹のひろみだ。

「ん、特になにも..普通だよ」

そう言葉少なに答えて、自室へと向かう。入学初日早々に、大きなイベントもなにも無いだろう。

ひろみも大した答えは期待していなかったのか、「そっかー」と言ったきり、興味をTVへと移していた。

普通。本当にそうとしか言えない一日だった。グーグルで普通、学生生活、過ごし方で検索したら出てくるんじゃないかってぐらいには普通。

入学式後のHRなんて、どこの学校でもやることは大体同じなのではないか。

自己紹介と係決めと、もろもろの書類配布..

初日の時点でスクールカーストの頂点を狙う人達は勝負の火蓋が切って落とされ、今後の生活に少しでもアドバンテージを得んとyoutubeやらtiktokやらで今はやりのネタを仕入れ鮮度が落ちないうちに自家製のスパイスを加え加熱調理を施し大やけどを負うんだろうけど、それは自分には縁のない話だった。無難に自己紹介を終え、係決めでは栽培係に立候補した。

理由は単純で、中学のときにやっていたから。

中学1年のとき、係決めのじゃんけんに負け続けてしまった僕は、残っていた栽培係になった。

週一回、割り振られた時間に花壇の花に水をあげなければならないその係を最初は、めんどくさいなと思っていたけれど、早朝に誰もいない学校を独り占めできる優越感、それと自分が懇切丁寧に面倒を見れば見るほど、それに応えるように成長する花を見たときの達成感とで栽培係も悪くないなと思うようになった。ものは見方、なのかもしれないけれどせっかくの一度きりの人生。嫌いなものより好きなものを増やしていく方が楽しいだろう。

幸い、と言うべきなのかどうか栽培係は毎年人気がないので、僕はそれから三年間を栽培係として過ごすこととなった。

高校でも栽培係への立候補者はいなかったので、自分が真っ先に立候補したというわけだ。

また今年もあの静かな、自分だけの時間を過ごせるのかな

そう思うと少しだけ、心が湧き上がるような気持ちがした。

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