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Ⅰ
本当はとっくの昔に気づいていたのかもしれない。
彼女と僕が釣り合っていないことも、彼女には他に好きな人がいるということも。
けれど、2人で過ごしたあの時間を忘れきれなくて、「もしかしたら」という薄い望みを捨てきれなくて
諦めよう、もう忘れようと何回自分に言い聞かせたかも、もう覚えていない。
辛かった。苦しかった。でも、それと同時に嬉しくもあった。
こんなごちゃ混ぜな感情なんて初めてで..胸の奥がギュッと締め付けられるようで..
でもそんな日々も、もうお終い。もう僕は、彼女への恋心とはお別れしなくちゃいけない。
だから、せめて今日で最後のこの想いをずっとずっと胸に刻み込もうと、僕は一人、帰り道を歩く.