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小さな珈琲店の悪魔  作者: 悠
日常編
5/14

第5話「神の復活」


お昼を過ぎた頃にはお店の客足も落ち着いてきた。

ミーナが来てから以前よりお客さんも増えた気がする。素晴らしいことだ。


「ミーナ、休憩してても良いよ」


「はーい」


お客さんが増えた分お店の利益も上がり、出せるメニューも増え、心なしかカイトも嬉しそうだ。


なんか...やっと珈琲店って感じが出てきたな。

今まではずっと依頼の報酬金で賄ってたし。


「ユウタくん。お知り合いの方が見えてるよ?」


厨房でコーヒー豆の手入れをしているときだった。


誰だろうと思いつつ店内に戻ると、そこには見覚えのある女性が立っていた。


「久しぶりだな、ユウタ」


おいおいマジか。なんであなたがここにいるんだ...


「お...お久しぶりです...師匠...」



第5話「神の復活」


「たまたまここのギルドに用事があってな。そのついでに、可愛い愛弟子の顔を見てやろうと思って寄ったんだ」


この人はルミエルさん。俺の師匠だ。


俺が能力者エレメント・マスターになったとき、彼女が剣術や能力の扱いを教えてくれた。


今思い出しても、あの修行はなかなかハードだった。


「元気そうでなによりだな。カンナたちは?」


「私はここにいるよルミー」


「お〜、また一段と可愛くなったんじゃないか?カンナ」

師匠はカンナにベタ惚れだ。


「ルミーさん。お久しぶりです」


「カイトぉ!お前も可愛くなったなぁ〜!」

いや、カイトにそれはおかしいぞ。


「ん?このお嬢ちゃんは?」

師匠は1人取り残されたミーナに気づいた。


「この子はバイトのミーナ」


「ほほ〜?バイトねぇ...可愛いな」

おっさんかこの人は。


「見た感じ、能力者スキル・マスターには見えないけど、まさか依頼とかに連れてったりしてないだろうな?」


俺の心臓がドキッと鳴った。いやまあ。ミーナも一応魔導学校に通う生徒だし?経験と言うことで...


その瞬間、師匠のチョップが俺の脳天に響いた。

これがかなり痛い。


「バカヤロウ。一般の女の子を危険なところに連れて行くんじゃない。何かあったらどうする」


「ごもっともです...」

隣でミーナがあたふたしているのが横目でわかる。


「それで、ギルドに用事と言うのは?」

俺は無理やり話題を変更した。これ以上師匠のチョップを味わいたくない。


「あぁ、お前らにも伝えようと思っててな」

師匠はコーヒーを一口飲んで答えた。


「神が復活した」


「神...」


神とは、遥か昔この世界を創造した者らしい。

一国の王よりも、世界政府よりも偉く、全世界の人々に崇められた存在。

数百年以上前に消失したと言う話があったらしいのだが、俺が産まれる前の話だから伝説だと思っていたが...


「あまり広めるなよ?この話は世界政府と各国のお偉いさんしか知らないからな」


まぁ、神が復活したからと言って、別に世界が滅ぶわけでもないので特段気にする必要はないだろう。

実際、神は何を望んでいるのだろう。世界の平和?


「そういえば、姉ちゃんと連絡は取ってるのか?」今度は師匠から話題を変えてきた。


「あ〜ときどき手紙を貰います」

俺には遠く離れた村に姉がいた。唯一の家族だ。


「バカヤロウ。姉ちゃんもきっと心配してるぞ?お前がまた無理してないかって。たまにでいいから、手紙でも出してやったらどうだ」

本日二度目のチョップが炸裂した。


そう言っても、今更姉ちゃんに何て言えばいいんだ。勝手に家を出て行った俺を姉ちゃんは怒っているだろうか。


「懐かしいな、もう10年経つのか?お前ら姉弟に出会ってから」


10年か。長いようであっという間だった。


「2人でずっと泣いててな〜」


おいやめろぉ!人の過去をほじくるんじゃない!


あの辛かった過去も、今では懐かしく感じる。

それもこれも、この人に助けられたからだ。


「それじゃあ、私はそろそろ行くよ」


「もう帰るんですか?」


「あぁ、まだ色々やることがあってな」

そういうと師匠は帰り際、ミーナに何かを渡して帰って行った。


「ルミエルさん。とても優しい方でしたね」

女の子にはな。男には厳しいぞ。



母が死んでから10年経ったが、俺は一度も忘れた事はない。


母さんを殺した奴への復讐心を。




第5話 完

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