第二部分
こんにちは
さて、そんなこんなで始まった俺の学園生活。
一応治持隊の一隊員となったわけだが、そもそも治持隊とはなんなのか、それを説明しておこう。
治持隊とは治安維持部隊の略称。発足は今から約30年ほど前の話。
その年、大きな変化が人類に2つ起きた。
1つ目、生まれてくる赤ん坊すべての両手首に奇妙な痣がついて生まれるようになった。種類として右手首に2種類、左手首にも2種類あり、その年から生まれてきた赤ん坊は必ず両手首に痣ができたのだ。
そして、それらの手首に出てくる痣のパターンは4通り。
右手首の痣をA、Bとし。左手首の痣をC、D とすると⓵AC⓶AD⓷BC⓸BD
の4種の赤ん坊が生まれるようになったのだ。
そして、それぞれの赤ん坊が成長していき、自我を持ち始めていくに従い、分かったことがある。
彼らは特殊な力を持っていた。いうなれば魔法というものだろう。
ある者は子供とは思えない速さで走り、ある者は火をおこすことができた。まさにファンタジーの世界である。そういった注目されるような力を持つ者もいれば、体に生える毛の量がとても多い者、体の体温を調節できる者、体を全身鏡にできるといったよく使い道のわからない魔法などもあった。
最近は魔法の希少性、利便性などによるハラスメントや差別もあるが、ここではそれについては話さない。
そしてこれらの魔法の原理はいまだ解明されておらず、各国が必死になって研究を重ねているところである。なぜそれほど必死に研究を重ねるか。それはもちろん魔法の原理がわかることによって魔物たちに対抗するためである。
そう、二つ目の大きな変化は魔物の出現というものだった。
突如現れた魔物の集団。それまで平和を保っていた世界に訪れた突然の異物。
世界各国に現れ世界を壊し始めた。初めの数日は被害が大きかったものの、それからは各国の軍や警察が魔物を対処し始め、被害は減っていった。しかし、魔物に対する国防費は馬鹿にならなかった。
それまで各国は兵器を作り、兵器の開発を進めることで各々の国が牽制しあっていたが、魔物の出現によって、国と国が手を取り合って助け合うことが増えるようになった。それは単純に他国と争う余裕がなくなったからなのだが。
そして日本では、魔物、人間、両者が起こす問題を取り締まる治持隊が発足した。
イメージとしては警察と自衛隊が合体したようなものととらえていいだろう。
そして、ものすごく簡潔に伝えると治持隊は国を守るための部隊であり、進たちはその治持隊員を養成するための学校に入隊したのであった。
普段は進と忠文はA棟、華奈と悠香はB棟にて授業を受けている。授業のある棟と寮は男女分かれているが、どちらも男女禁制というわけではないので四人は今までと同じように4人でいることが多かった。
「ねえみんな...」いつも通り四人で昼の休憩をしていると忠文が少し不安そうな顔をしながら話を切り出した。
「どうしたのよそんな浮かない顔して」
「いや~、あのね、いっつも僕たち4人でいるじゃん?」
「どうしたの?そうだけど...ってもしかして五人目がいたりする!!?」
いや、そんなこと昼間に言わないだろ。と心の中で華奈にツッコミを入れた進が忠文の言おうとしていることを代弁する。
「あれだろ、そろそろほかの連中とも仲良くしろってことだろ?」
「いや、あれだよ!3人と一緒にいるのが嫌ってわけじゃなくて!せっかく治持隊の一応は一員になったわけなんだしさ、もうちょっと他のみんなと仲良くしたほうがこの先いろんなとこでいいんじゃないかなって思ってさ。」
忠文の言っていることはもっともである。ここは治持隊を養成する学校、それ故に将来的にも周りの治持隊と関係を持たないことはあり得ない。今は4人で過ごしているが将来的に分かれることはここにいる4人ともが理解していた。
「言ってることは正しいわね。ま、私はもう他にも仲いい子がいるのよね」
えっと全員が驚いて悠香の顔を見たがそれが癪に障ったらしい。
「みんなして何よっ!そんなに私に友達ができないとでも思ってたの!?」
3人は悠香と顔を合わせないように明後日の方向を見る。と、華奈が話を少し戻す。
「まあ私も女子寮のみんなといっぱい仲良くなったよ、男子寮のみんなはみんな打ち解けてるの?」
「僕はバスケやってる友達が結構いて盛り上がったけど...」
と言いながら忠文がこっちを見る。
「いや、なんだよ、あれだ。俺はこれから作ろうと思ってたとこだよ」
「あっれれ~?はっはーん、さては進君はぼっちなのかな?うふふふふ?」
悠香がとんでもなくうざい顔で煽ってきたが進は言い返す言葉がなく煽ろ文句を横に流した。
いやはや困った。なぜなら進は友達作りが大の苦手なのである。
こんばんは、おやすみなさい