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幕間 魔王軍の今

静かな広間に四人の影が集まっていた。


「よおミエム、失敗したんだって?ざまぁねぇな?」


「うるさいわよ、あんただって同じようなもんでしょ!?」


「うぅ、そうですよみんな失敗だったんですから、これから魔王様に怒られるんです……」


「大丈夫みんなで怒られれば怖くないよ、不幸だけど大丈夫!」


 と、話していると広間の扉が開き、魔王とその補佐役宰相が入って来た。


「皆静まれ魔王の御前である!」


『はっ!』


 四人は膝間付くが。


(ちっ、偉そうに)


(ぽっと出の癖に何様かしら?)


(でも、魔王様があれを宰相にって……)


(それからだよね?仕事が失敗続きなの)


 そんな四人の念話を知ってか知らずか、宰相が話し始める。


「魔王様に代わりこのワシがお前達に言葉を授ける!」


 これもお決まりだ、最近魔王様は全てをこの宰相に任せている。


「貴様らなぜ任務を失敗した?」


「………お言葉ですか宰相殿、わたくし達にも向き不向きがございます、今回は宰相殿の采配に」


「ワシの決定は魔王様の決定、何か不満があると?」


「くっ、いえ、申し訳ありません」


 どの口が言うのか、わたくし達は魔王様から命を受けたいのに。


「ふぅ、まぁよい、これより人間界に侵攻を始める、お前達も配置につき指示を待て」


「なっ!?御待ちください!人間とは融和の予定では!」


「魔王様は人間を滅ぼす事に決めた、既に宣戦布告は済んでいる、準備が整い次第攻め入る」


「幾らなんでも我らに相談しないなど、越権行為では無いですか!?」


「くどい!魔王様のご意志だ!」


 そう言って宰相は魔王様を連れて出ていく。


「どう思うよ?」


「どうもこうも、おかしいでしょ!魔王様は何年も何年も人間界と友好を築くために尽くしてきたのよ!?その為に魔界を統一して、資金や資源を集めたのに、戦争なんてしたら全部パーに成っちゃう……」


「でも、本当に魔王様が心変わりしてたら?」


「はい、魔族の中にも昔は人間に友好的だったけど、今は人間を嫌ってる人はよく居ますし」


 ミエム達はもはや宰相の指示に従うしかない。


 一方魔王はと言うと。


(な―にが宰相よ、このくそオヤジ!)


 喋る事もできない身体で怒りを胸に秘めていた。


(あーもう、なんで私はこんな奴に騙されたのよ!)


 この宰相、詐欺の能力、事人を騙すのに大変優れた物を持っていた。


(まさか人間の国で和平が出来ると聞いただけで、こんなに自分が舞い上がるなんて……)


 魔王の元にある日一通の手紙が届いた、それは人間の街から是非貿易をしたいと言う手紙、勿論嘘の手紙である。


(まさか魔族が人間のふりして、人間の街で裏切るなんてね)


 指定された本当の人間の街で、待ち構えていた宰相に呪いを掛けられ、自由を奪われた。


(最後の希望はサナリだけ、お願いよ、何とか戦争を止めて!あとできればこのオヤジに天罰を!)


 唯一自分の状況を知っている腹心に、希望を託し自由のきかない身体で宰相の後ろを歩く魔王。その希望が叶えられるのは、そう遠くない未来。


 

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