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[短編集] 猫な上司と部下の日常  作者: まめ苔鳥
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猫な上司とこだわり

「しっぽの毛並みが納得いかない」

「…はぁ」

神奈にはいつもと大した差がないように見えるが、本人(本猫?)的には納得がいかないらしい。


呪詛返しの失敗で猫化してしまった先輩は、最近言動がどんどん猫っぽくなってきている。

部下としては『このまま本当の猫になってしまうのでは?』と心配しているのだが、本人曰く『どうせなら猫ライフを楽しんでみようかと』と、至って前向きな気持ちらしい。


(まぁ、本人が気にしてないなら別にいいけど)


上司が猫という異様な状況に慣れてきてしまったあたり、神奈も相当焼きが回っている。

簡単な事務サポートさえすれば実戦任務には差し支えがないのも一因だろう。


「そう言えば、熊五郎が神奈のこと褒めてたよ」

「…熊代さんが?」


先輩はヒゲの手入れを終え、アーモンド型の瞳を細めた。

ヒゲの手入れは上手くいったらしく、満足気だ。


熊代 大五郎

通称:熊五郎。先輩と同期で、武闘派退魔師として部内外で名を知られている。

厳つい名前の通り、見た目も性格も大らかでごつい。


神奈も先輩と親しい退魔師である熊代とは顔馴染みであるが、最近は任務で一緒になる事もなく、褒められる理由に見当がつかなかった。


「上司が猫になったのに、神奈は文句も言わずに良くやってるって」

「…はぁ」


本日二度目の気の抜けた返事が出てしまった。


(…先輩、軽く貶されてるような…?)


しかし本人は全く気にしてないらしく、つやつやのグレーの毛並みをした胸を張って『部下が褒められて僕も鼻が高いよ』などと言っている。

熊代も悪意から言った事ではないからだろう。

これが悪意を持った言葉だったら、先輩なら靴の中に輪ゴムをたくさん入れる嫌がらせくらいやっている。


「本当に神奈は良くやってくれてるよ」


ご自慢の肉球ハンドでワシャワシャと神奈の頭を撫でる。

…髪がボサボサになった


「ありがとう…ございます?」


ボサボサになった髪を撫で付けながら嬉しいような、喜んでいいのか微妙な気持ちで返事を返す。


「…そこで、だ」

「?」


「良くやってくれてる神奈に、購買部の限定こだわりわらび餅を買いに行く任務を…」


おやつくらい自分で買いに行ってください


先輩の首根っこを引っつかむと、がま口財布と一緒にポイッと廊下に放り出した。

ドアの向こうから『ケチー!』とか言ってるのが聞こえるが、聞かなかった事にする。



猫ライフを楽しむのは良いけど、自分で出来ることは自分でやりましょう。

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