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第十八話『料理スキル』

遅くなってすみません!

あと一話で修学旅行編は終わりですかね。今夜、投稿します!


 三日目の予定にさした大きな予定はない。昼飯がバーベキューって事ぐらいだろう。そのバーベキューも思っているバーベキューとは違うので、元から期待はしてない。

 期待をするから後が辛くなるのだ。ならば初めから期待しない方がダメージは少ない。


 もうあと十分もしない辺りで目的地に着くはずだ。辺りは、だんだんと不透明なガラスで覆われた世界から緑に溢れた世界へと変わって行く。車の音が鳥のさえずりへと変わり、溢れかえっていた人間が木へと変わる。

 窓に映るそんな景色をボーッと眺めながら、俺はこくりこくりと首を縦に振るのだった。



 ーー


「━━━━━話は以上!ここのスタッフの方々が一から指導して下さる。本校の顔として恥のないよう注意する事!」


 と、大きな声で学年主任の先生が喋る。相変わらずと言った長々しい口上だが、もうこの三年間でだいぶ慣れたものだ。

 大きく伸びをしながら立ち上がり、「ふわぁ」と欠伸をする。バスの中で寝てないからか、さっきから睡魔がすごい。帰りの新幹線まで意識が持つのやら。


「……眠い」


「蓮っていっつも眠そうですな」


「起きてる時間が違うんだよ。ホント、旅行って生活リズムが崩れる」


 確かに朝六時に起き、ラジオを体操をして体を温め、バランスの取れた朝食をとり、1日をスタートさせるのは素晴らしい事だ。

 しかし、だ。そのスタートダッシュが健康の為だとしても、今までそうやってしてこなかった人間からすれば不健康の一端に値する。俺みたく毎日夜が活動時間とか吐かす奴が、そんな「朝六時から活動スタートです」なんて言われても、生活リズムが逆転してしまい余計に辛くなる。

 まぁ、こうやって俺一人が何を言おうと変わらないのだろうが。結論としては『宿泊行事は終始自由行動』としよう。


「あんたら一応男子なんだから、色々と働きなさいよ」


「出たよ、男子だから働け女子。男子をなんだと思ってんだ」

「奴隷」


「……いや、ちょっと!私の脳内勝手に読まないでよ!」


「合ってるんだ……」


 横槍を突っ込んだ白澤にまたも浅黄が喧嘩腰で突っかかる。ほんっとこの二人に成長の二文字が見られない。

 いや、そうじゃなくて。奴隷って言った?マジ?俺ら奴隷?美少女の内心ってみんなそうなの?男子は奴隷なの?これから可愛い子を見るたびに「コイツ俺のこと安い奴隷だと思ってんな」って思わなきゃダメなの?


「はぁ……まぁ、奴隷の俺らはサッサと働きに行こうぜ。これも社畜への一歩なんだとよ」


「そ、そこまで言ってない!」


「あ、じゃあ拙者は食材取ってくるから蓮は火起こしよろ!」


 柳はそう言うとサッサと食材取りに行ってしまった。その背中が人で見えなくなる頃にふと思い出す。

 あれ?俺もしかして仕事押し付けられた?やはり班行動は社会のお勉強らしい。

 悲しみに浸りながら、俺はトボトボと薪を取りにリア充が渦巻く班の外へ足を踏み入れた。



 ーー


「━━━━ごめん。放っておこうって百回ぐい思ったけど、一応聞いとく。浅黄、お前包丁持ったことないの?」


「ひゃうッ!」


 はい、コイツ料理できない系女子ですね。包丁とノコギリは違います。ギコギコした所で綺麗には切れません。あと玉ねぎは外の皮を剥きましょう。それを食べるのはオススメできません。


「つか、白澤は言えよ。俺らの飯がとんでもない事になる所だったろうが」


「ごめんなさいね。面白かったからつい」


「えっ?これダメなの?」


「お前もかよ、柳ぃ!」


 白澤はちゃんとできている。むしろ上手な方だ。が、しかし若干二名が奇抜な行動をしている。あまりにも手つきがおかしかったので、浅黄しか見れてなかったが、柳も相当ヤバい。なんでピーマンの種がついたままでトレーに乗せられてるの?


「白澤、お前コレ『つい』で済ませれるレベルじゃないよ?」


「なんで私に矢を向けるのかしら?」


「OKわかった。柳、場所代われ」


「ウィッス」


 手を洗い、柳が苦戦した跡が見られるピーマンと包丁を手に取る。もう切られて歪な形のピーマンは仕方ない。後で柳に責任を取ってもらおう。

 種はサッと取って捨てる。残りの綺麗なピーマン達の頭と先っちょを取り除き、種を取りつつ短冊切りに仕上げる。これでピーマンは終わり。

 次に椎茸の石突きを切り落とし、傘に適当な切り口を付けてお終い。

 僅か三分ほどでピーマンと椎茸の二つを終了させた。残るは茄子だが……。


「茄子は私がやるから。あなたはそこのお料理ができない淑女さんのお手伝いをしてあげて」


「またお前らはそうやって厄介事を!」


 茄子を取られたので、強制的にグダッている浅黄の所へ向かわされた。もちろん彼女の進上は変わらない。亀よりも遅く、ナメクジよりも遅い。

 ここに黒垣お料理教室が爆誕したと宣言しよう。生徒は一人。完全無料のブラック教室である。

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