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黄泉の森の魔女 作者:もちもちみたらし
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4話

黄泉の森の魔女

それは、危険な魔物が蔓延る黄泉の森に暮らす奇特な存在。常人には入り込めない黄泉の森において、希少な植生や魔物の素材を採取できる唯一の存在。

黄泉の森は、黄泉の森の魔女に対してのみその牙を収める。
只人が森に一歩足を踏まえれれば、一瞬にしてその者は命を落とすだろう、と言われているーー。

「まあ要するに相性なのよね、黄泉の森の中央にある生命の大樹に気に入られれば安全に暮らしていけるわよ」
「はあ、生命の大樹と言われましても」
「大丈夫。生きてここまでたどり着けたってことはそれなりに好かれてるわよ。魔物が襲ってこないってことは護ってもらえてたってことだしね」

どうやら気づかぬうちに護られていたらしい。生命の大樹には今度菓子折をもってご挨拶に行かねば。いや、樹に菓子ってどうなのだろうか。

「それで本題なんだけど、あたしそろそろここ出て行こうかと思ってたとこなのよね。何しろ退屈なんだもの。それで、あんたも生命の大樹に気に入られたっぽいし黄泉の森の魔女、譲ってあげる」

いや、そんな簡単に譲るだのなんだの言われても。魔女って何すればいいんですか?薬草とか煎じるのかしら。

「魔女っていっても大したことしなくていいのよ。裏庭に育ててある植物の手入れと収穫をして、そこにあるマジックボックスに入れておけば見合うだけのお金がもらえるの。欲しいものがあればそこのカタログから選んで必要数メモしてマジックボックスの中に入れておけばそのうち補給されるし、生活はしていけるわよ?」

ほらそこ、と指さされた先を見れば冷蔵庫サイズの箱があった。送るのも受け取るのも兼用してるとか便利すぎる…!アンティークな内装に似合わない無骨なデザインだが、その機能は折り紙つきのようだ。

「あとは黄泉の森の魔女の称号を渡すから、おいおい魔法も覚えていけるでしょ。大抵の願いは魔法で叶えられるわよ、多分ね」
「えっ、私も魔法とか使えるんですか!魔力とかあるんですか?」
「魔力?魔法は使えるか使えないか、それだけよ。使えない魔法は使えないし、使える魔法は使える。世界がそれを許すかどうか、それだけよ」

なんだか分かるようで分からない話だった。そういうものだと飲み込んでしまった方がいいのかもしれない。というかこの魔女、どんどん適当になっていってないか?

「まあなんとかなるわよ。あんたが慣れるまではあたしもいてあげるから」
「ありがとうございます。あの、そういえば貴女のお名前は?」

そう言うと彼女は何か飲み込めないものを飲んだような妙な顔をした。

「魔女は名前を明かしちゃいけないのよ。名前は縛るものだから。貴女も名前は言わなくていいわ。……でも、そうね、あたしのことはベティと呼んでちょうだい。貴女はこれから黄泉の森の魔女と名乗りなさい。あたしもそう呼ぶから」

そう言う彼女がなんだか寂しそうに見えたのは、気のせいだろうか。
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