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レベル塵(ナノ)  作者: 堕罪 勝愚
アヤメ
7/8

 部署に着くと、いつもどおり隊員はゲームや内職をしていた。捜査班は首が回らないほど忙しそうにしていたので、ギャップを感じてしまう。

 俺とアヤメは所長室へと入り、先程の報告と俺達の抱負を話す。


「捜査班はパラサイトエイルの発見に力を入れています。しかし、それだけに力を入れすぎて、パラサイトの感染経路などを調べられていないとのこと。彼らは捜査をしたいようなのですが、人でも時間も足りないことで、それが出来ていない。そこで、討伐班である私と赤坂が協力したい次第であります」


 総説明した時、所長は考え込んでしまった。所長というのはいつでも寛大に対処してくれる方だ。その人がこんなに悩んでいるのだから難しいものなのだろう。


「捜査協力は全く構わない。話が変わるが、対エ部の班分けを建物まで分けてしまったことが裏目になったと感じていてね」


 今まで班を分けていることが疑問だったが、それには意味があるのだと初めて知った。


「どういう意図で分けているんですか?」


「討伐班の人数が減少した際に捜査班や化学班から帳尻合わせをする事を懸念したんだよ」


 確かに、うちの班は仕事がないときは暇なのに、エイルが現れると猫の手どころか子供の手ですら借りたい。そんな状態で同じ部屋に配備したら確実に彼らに銃を持たせてしまうだろう。


「しかし、どうしたものか…。確かにウチの部署は暇だが、パラサイトエイルが発生したら忙しくなる。それをどう対処したら良いのか…」


 あくまで懸念の問題だ。しかし、人員を充分に配置せず、犠牲者を出してしまってからでは非難される。どれだけ善意で動いていても、民衆はそれをわかろうとしない。


「私、いい案を思いつきました!」


 アヤメは手を上げて言葉する。


「なんだ?」


 期待の薄い表情で所長は問いかけ直す。


「新しい班を作ればいいんです。名前は…判りませんが、特殊工作班とか?」


「ああ、それはいいかもしれない。対エ部で新しい班として捜査をしたり討伐したりすれば誰も文句を言わない」


 そんなに期待をしなかった為、いい意見が出てきた際の喜びが大きかったようで、所長は身を乗り出していた。


「そうだな、討伐班を細分化した班ということで申請をしてみよう」


 アヤメは飛び上がって喜んだ。


「アヤメ、未だ班が出来ないから今日は工場に行けないと思うよ」


 俺は彼女に聞こえる程度の声量で言うと項垂れるようにソファーに落っこちた。

 仮説を立てみよう。アヤメは大人びていたり、子供っぽく見えたりとするのはその日の気分や、会話をしている相手に依って変えているのだろう。

 所長はカタカタとタイピングを終え、笑顔を向けてくる。


「未だ班は作られていないけど、捜査をしてもいいよ」


 するとアヤメは再び飛び上がった。


「ナオさん! 早く!」


 俺は彼女に手を引かれ、足を進める。


――


 今朝にエイルが発生した場所は雑居ビルで、耐震基準を満ちていなかった為、こうして工事をしていたらしい。

 工事現場に行くと黄色いテープが全体を覆っていたが、捜査は誰もしておらず、警備員がその場に立って侵入を拒んでいた。俺とアヤメは警察手帳を見せ、中へと入る。


「改めてさぁ、対エって警察なんだね。よくドラマとかで警察手帳を見せて現場へと入るけど、一度やってみたかったんだ」


 彼女は俺の顔を覗き込む。俺はそれに対してそうだねと相槌を打つ。


「ありがとね」


 そしていきなりお礼をしてきた。付け加えるように無理やり連れてきてと言う。


「気にしなくていいよ」


 返答をして、現場で彼らが乗ってきたであろう軽自動車へと近づく。


「これで作業員は移動していたのか」


 俺は中を覗くと、鞄が入っていた。もしも卵で感染しているのならば、食べ物による侵入か、孵化してからの寄生の2種類が考えられる。俺は前者を考え、彼らの鞄を探ることにした。確か調べたところによると、卵は2から3センチの球体だという。目視で充分判るだろうと踏んだ。その間、アヤメは在るき回り、捜査というより探索をしていた。

 リュックサックの中には共通してタブレットケースが入っていたが、それらは皆大きさも形も違い、中に入っている錠剤も異なっていた。


「何だこれ…」


 気になった俺は、ジップ付きの袋へと入れる。彼女は3時間ほどあさりまくって収穫なしとのこと。


――


 その後、署に戻り、勤務時間が過ぎてから俺とアヤメは帰宅した。家に帰ると、風呂にお湯を張る。アヤメはその間夕食を作ってくれているようだ。

 俺は2点3点気になった事をパソコンで調べている。その中で最も気になったのは卵の大きさである。俺が手に入れた錠剤はカプセルもあれば粉を固めたようなやつが有ったので、もしかしたら卵の小型に成功したのかも知れない。と同時に、卵が孵化するために必要な栄養素なのかもしれないとも思った。ただ、その考察には、「何故彼らが自らを削る真似をするのか」と言う疑問が生まれる欠点が在る。知らなくてはならないのは孵化の条件と体を乗っ取るまでの期間だ。それは認知された場合、俺の考察は有力な情報となるだろう。ただ、俺は頭が固い為、この考察の信憑性がゼロに等しい。


「ナオさん。ご飯できたよ」


 テーブルに皿を置いていくアヤメを横目に、俺は答える。


「ありがとう。でもごめん、少し待ってね」


 するとスマートフォンで付けていたタイマーが反応し、音を鳴らす。


「あ、お風呂!」


 俺は膝の上にあるノートパソコンをテレビの前にある小さい折りたたみテーブルの上に起き直す。


「私が行ってくるよ。その間、ナオさんは仕事をしていてね」


 俺は再びお礼を言い、調べ直した。しかし、ネットには正しい情報など乗っておらず、今日はその作業を中断した。

 彼女の作った料理は一皿に収められたタコライス。玉ネギとトマトとと挽肉があった為、それらを個別に調理し、ご飯の上に乗せたのだろう。彼女は5分程でそれらの調理を済ませた。


「いただきます」


 俺は手を合わせて挨拶をしてから食を始める。彼女は手を組み合わせて目をつむり3秒ほどしてから頬張る。


「美味しい!」


「ありがとう」


 外に出ると子供っぽい彼女であるが、家の中ではそんなにはしゃがない為、大人っぽく思える。


「ところで、何をしていたの?」


 アヤメは飲み込んでから質問をしてきた。


「パラサイトエイルの寄生方法を調べていたんだ。例えば、潜伏期間とかね」


「なるほど」


 再び、ご飯を口に運ぶアヤメ。


「何かわかった?」


 少し咀嚼しながら質問をし直す彼女に、俺は飲み込んでから答える。


「何もわからなかった。アヤメは何か知っている?」


「判らないけど、正直私達はでてきたエイルを倒すだけだから、起源(origin)とか知らなくていいと思うんだよね」


 俺は食の手を止めた。


「君から調べたいっていい出したんだろう?」


 彼女は首を横に振って、訂正する。


「そうじゃないの。確かに、そういう成長とかを知るのは大事だと思うよ。でも、私が調べたかったのは、パラサイトエイルを故意に発生させようとしている人や団体なんだよ」


 俺が不機嫌そうにしてしまったせいで、彼女が変な期待を使わせてしまったようだ。俺はそのことも含めて謝罪する。アヤメにどういう意図で伝わったのか判らないが、彼女は一言、こちらこそと言う。

 俺は空気が沈まないように吉野可のことについていろいろと訊いてみた。


――


 後日の朝、彼女は昨日と同じく朝食と、お弁当を作り、車で出勤をする。その際はコンビニに寄り、吉野可が表紙を飾る雑誌を購入し手から職場に行く。化学班へ行くまでの間は筋トレをしたり、音楽を聞いたりしていて、アヤメはパソコンの動画配信サイトを見ていた。

 化学班は遺伝子工学の研究所にあるようで、距離が此処から離れていると訊く。スマートフォンのカーナビアプリで道を調べながらそこへと向かう。車で30分かかったその場所は何もかもが広く大きく感じられた。100台以上の車が停められそうな来客用駐車場にバックで入れ、車から降りる。

 入場口に行くとタブレット端末が置いてあり、そこへは来場した理由を記すページとなっていて、それらの質問に全て答える。


「こんにちは。討伐班の方ですよね?」


 入り口には白衣に眼鏡を掛けた男性がいて、如何にも研究員である外見であると思える。


「私は化学班の高岡ともうします。所長でもなんでもありません。ただの平社員です。ただ、公務員ですので社員という表現はおかしいですよね?」


 彼は笑いながら案内してくれた。


「本日は、武器の開発やエイルのことについての質問をなさると伺いました。質問があればお教え下さい。今すぐ答えられるものでしたら答えます故」


 俺は一瞬アヤメを見つめ、質問をした。


「パラサイトエイルが体内に侵入する方法はわかっていますか?」


「わかっているか否かということでしたら、答えはイエスです。しかしながら、詳しい内容を答えることは、未だ出来ません」


「と言うと、企業秘密とかですかね?」


「いいえ、これから画像を見せて説明をしようと考えていたのですよ」


 彼がそう言うと、カラオケボックスのような広さの部屋の扉を開いた。


「こちらです」


 彼が言う部屋にはデスクとパソコンが1セット有り、周りには大型のコンピューターが積み上げられていた。そしてパソコンにはピンク色の球体が映っていた。高岡さんはマウスを左クリックすると、右向きの三角形が出てきて動画の様に再生される。すると、球体がゆっくりと崩れ、蝶の幼虫のような生物が蛇行して出てきた。その幼虫と思しき生物は卵を食し始めた。すると彼は動画を停止する。


「これがパラサイトエイルの孵化です。恐らく蝶々の幼虫の染色体を取り入れると考えられます」


 そのまま動画を進めていくと、餌であるとかんがえられるマウスが現れ、そのマウスにエイルは乗っかる。


「蚤の様に体外寄生をして、血を吸います。しかし、このマウスを殺すことはありません。あくまで肉体に維持程度で、成長の為ではありません」


 彼は動画を停めた。


「我々が理解できたのはこの程度です。どうしてエイルが人間の脳に寄生するのか、潜伏期間はどのくらいなのかは定かではありません。ただ、捜査班のおかげで1つだけわかったことが有ります。エイルに体を乗っ取られた人は例外なく1週間前に風邪を引いている。そのことから、パラサイトが蛹になり、羽化するためには温度が必要であると仮説づけられています」


 俺はポケットから、ジップ付きのポリ袋を取り出し、その中に入ったタブレットケースを渡す。


「これは一体何かわかりますか?」


 彼は中にある錠剤を見た瞬間に、ムコダインと言う。


「これは気道粘液を調節するための薬です。つまり鼻水を出しやすくして鼻詰まりを和らげる効果のあるものです。インフルエンザの患者などに処方されることがあります」


 それを言われた瞬間、俺の粗末な考察は撃破され、新たに考察を生み出す。


「つまり、彼らは皆、同じ時期に熱を出していた」


「そうですね。3人だったと思いますが、それだけの人達が同時に熱を出したのですから、ウイルス性の感染症が疑われたことでしょう」


 高岡さんは俺の考察に付け加える。


「有力になってきましたね。この仮説」


 空間がいきなり沈黙となる。その場に響いた音声はタイピングとマウスを叩く音。その音があるせいで、一層静かに感じられる。


「すみません!」


 彼はいきなり声を上げる、そのためアヤメは喉から甲高い音を出して驚いた。


「す、すみません」


 今度は消え入るように謝罪する。


「何をなさっていたのですか?」


 俺はシュンとした高岡さんに問いかけた。


「実験を指示しました」


 パソコンにはメールを送信した画面が表示されていた。何か大きな実験を試みていたのだろうが、俺に説明しても、科学的なことは判らないので特に深くは聞かなかった。

 俺達は化学班だけでなく、この研究所全体を散策する。遺伝子工学の実験ではエイルを使っているものが多いらしい。俺もエイルの実物を見てみたかったのでそうすることにした。

 60立方メートルの正方形の部屋には2体のエイルがいて、人間の様に座っていた。もっとエグい外見だと思っていたが、ただ単に複数の生物をかけ合わせているだけだ。


「あれ、実験なのかな?」


 アヤメは疎ましい様子で見つめている。


「ただ飼育している様にしか見えないんだよね」


 隣にはインターホンのような画面があり、そこには設定温度らしきものが表記されていた。そこには10度と書かれている。


「低温だから動けないのかな?」


 彼女は独り言のように話し始める。確かエイルは温度が低い状態だと活動をしづらくなると聞いた。


「もしかしたら、温度による活動の調節をしているのかもしれない」


「あ! あり得る」


 彼女は手をぽんと叩いた。


「生殖活動の観察だぁ、きっと。可さんが言っていたけど、奴らは温度によって子供を生む量が下がるって」


 すると後ろから「私がどうかしたって?」と聞こえ、俺は振り返る。するとノーメイクの吉野可がその場に立っていて、俺は口を開いたまま唖然としていた。


「あ、おひさ」


 アヤメは吉野可に笑顔で挨拶をしてみせる。


「お久しぶり、アヤメ。そちらの方ははじめまして」


 俺はお辞儀をして答える。


「初めまして、大ファンです。可さんが載っている雑誌は全て買い揃えています」


 彼女は笑顔を向けてくれる。


「今、ノーメイクだからがっかりしたでしょう?」


「いえ、滅相もございません。ノーメイクでも美しいです。ノーメイクが美しいです!」


 吉野可様は俺を二度見する。


「こんな熱烈なファンっているんだね。それともあれ? 目の前に私がいるから気を遣っているのかな?」


「気を遣うのは日本人のさがだからね」


 アヤメは付け加えてくる。


「いや、熱烈なファンで合っていますよ。アヤメ、わかっているのにはぐらかすんじゃない」


 可さんは話を区切り、付いて来る様に言葉する。


「そう言えば、あなたの名前は?」


 可さんは俺を見て問いかける。


「山川直樹です。後でツーショットの写真とその写真にサインをお願いしても宜しいでしょうか? SNSへは投稿しませんので」


 すると彼女は少し考えてから承諾してくれた。


「後でね」


 アヤメは不機嫌そうに俺を見つめる。


「ナオさん。可さんは後で高い額を要求するから諦めるなら今のうちだよ」


「写真の1枚や2枚で金なんか取らんわケチくさい!」


 素早く可さんは言い返す様子が微笑ましい。


「話を逸らさないでくれよ。で、直樹」


「はい!」


 可さんからいきなり下の名前で呼ばれたため、声が裏返ってしまう。


「そんな態度だと話しづらいな…」


 彼女は足を止めて俺を強い剣幕で見つめる。


「あんたは、対エの討伐班でしょう? 何の目的で寄生エイルを討伐しているの?」


「目的…」


 俺は詰まってしまうが、すぐに答えが思いつく。


「自分の生計を保ち、国民の安全を守ることです」


 彼女は溜息を吐いた。


「望んでいた通りの答えだが、予想通り幻滅したよ」


「――すみません」


「いや、気にするな。次の質問だ」


 俺は気を引き締めると彼女は二者択一と呟く。


「さっき言ったどっちを取る?」


 俺は質問の意味を考えた。


「つまり、俺が生計を崩すほど金を叩き出せば国民の安全は保証されるということですか?」


「当たらずとも遠からず。事実だけを言うと、君が稼いでいるお金は、国民が買った安全なんだよ」


 彼女は無情に続ける。


「エイルに依る犠牲者が出ることで、君は食い扶持に困らない。つまり、あなたは屍肉を食む蝿にすぎない。つまり、私が訊いているのは、このまま現状維持で腐肉食ネクロファジーを続けるか、国民の安全の為に飢餓に立たされるか。どうする?」


 彼女の言葉は今まで抱いてきた利他心を粉々に砕いた。いくら綺麗事を並べてもやっていることは戦争屋と同じことだ。俺の義侠心のせいでその事実を認められない。どうしてもプライドが綺麗事を作り上げてしまう。


「可さん! いくらなんでもいいすぎだよ」


 アヤメは声を出し、可さんを睨みつける。


「確かにね。過剰にしすぎたよ。直樹、君の物差しは善悪を測ることだと私は感じているよ。要するに買っているんだよ」


 彼女は俺にUSBメモリーを渡した。


「私的なパソコンは持っているか?」


「はい」


 可さんは俺に近づき笑顔で見つめる。


「その顔つき、私の好きな人にそっくりだ」


 耳から熱を感じ、俺は1歩、後ずさった。


「私が君を罵った時の反応で、君が信用できる人間であるか見定めさせてもらったが、想像以上だね」


 可さんはそう言いながら歩き始める。俺はそれに付いていくと彼女は帰る様に言う。


「アヤメが信頼していて、私が信用出来る人間にこれを渡すのが目的だったんだ」


 彼女が歩き去るまで、俺は小さな背中をずっと眺めていた。


「そんなに似ているかな?」


 隣にいるアヤメは首を傾げて俺はじっくり見つめてくる。


「誰に?」


「私も写真でしか見たことが無いんだけど、可さんが好きだったっていう人はもっと目が細くて皺が多かったよ」


 彼女は両手の親指と人差指を四角形につなげ、覗き込む。


「多分、性格的な事を言っているんだと思うよ」


「その人は根暗だって聞いたけどね」


「会って話してみたいよ」


「降霊術で?」


 死んでいるのかよ。俺はそう思いながら少し詰まった心を抑えた。


「で、ナオさん。これからどうする?」


「これから…。一旦、討伐班に戻ろう。そして勤務時間が終わったら家に帰ろうか」


 俺はそう言い、すぐに車を走らせる。

 署に戻り、いつも通りに勤務を終え、家に帰ってアヤメに夕食を作ってもらっている。そして俺は昼に可さんに渡されたメモリーを見て、幻滅と怒りが同時に現れた。


『日本に寄生エイルを持ち込んでいるのは対エだ。化学班は研究や改良を重ね、寄生させやすいエイルを開発している。同時に、寄生後には比較的安全に討伐出来るような体の構造にし、あたかも人を助けている様に思わせる自作自演を行っている』


 そう書かれている文章と同時に1枚の画像が貼られている。クリックして拡大し、その画像を見つめる。

 討伐班の所長、捜査班の所長、化学班の高岡の3人が映ってる写真で、背景に研究室や人がすっぽり入れそうな試験管を覗いているものだった。画質は荒く盗撮したもののように角が黒く削れていたり、一部がぼやけていたりしていた。そしてした画像をクリックすると、ワード画面をスクリーンショットしたようなものが出てきて、3行ほどにこう書かれていた。


『吉野可へ。

 プロジェクトアヤメは成功まで今一歩といったところです。それまで、後押しをお願いしたいと思っております。

 赤坂満花』


 画像の下にはパラサイトの研究について記載されていた。

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