第十二話 血の気の多い冷血漢
チームの家の内装は、外とは全く違ったデザインだった。
玄関を開けて直ぐのところに、何かを受付するためのカウンターが置かれており、その左側から細い廊下が伸びていて、そこには順番待ちのように椅子が並んでいる。
廊下を進んだ先には扉が一つ。中に入った先の居間には妙に豪華なベッドが置かれており、その横には何故か――居間なのに“風呂”が設置されている。
風呂の中には泡だらけのお湯が沸かされていた。
「ま、そこに。座れや」
言われるがままに、レットとタナカは豪華なベッドに並んで座る。
しかし当のテツヲは部屋の中央で棒立ちしたままだった。
レットは、大凡チームの家とは思えない奇妙な間取りに対して不信感を抱き始めた。
(この家の内装、なんか“おかしい”ぞ……デザインは普通だけど。全然、普通の家じゃない。どうなってるんだ? さっきの廊下の椅子は何かの順番待ちみたいだったし。ベッドに泡風呂って――――――――あっ……)
「あの……この家ってその……オレ、行ったことないというか。そもそも行ける年齢じゃないんでそこまで詳しくないんですけどォ――」
「レットは、察しが。ええな。ここの内装は、俺の行きつけの。ソープの店を。参考にしたんや」
そう言って、テツヲはゴスロリのドレスを脱いでインベントリーに仕舞う。
「テツヲさん。私の記憶が正しければ、チームの家というものは『チームメンバーが皆で使う家』であったような気がするのですが……」
(タナカさん。混乱してすげえ当たり前の指摘してるよォ……)
しかし、タナカの指摘にもテツヲは動じている様子はなく――
「まあ、“いらっしゃいませ”やな。ゆっくりしてけや」
そう言って、テツヲは下着一枚の状態で“丁寧な姿勢で正座”をして、レットとタナカに向き直る。
ベッドに座っていたレットにとって、居間に広がっているその光景は、異様であり様々な意味で恐ろしかった。
(やばい。怖い。プレイが始まりそう。帰りたいよォォォォォォ……)
怯えるレットの眼前に、見慣れないウィンドウが表示される。
「チームの勧誘を、二人に。飛ばしたで。入ってくれ。頼んま」
「〔タナカさん。どうする?〕」
「〔もう、どうしようもありませんね。予ねてより、覚悟を決めていたことですし……〕」
短い時間でタナカと“囁き”話し合って、仕方無しにその勧誘をレットが承諾する。
すると突然――
《よろしくお願いしますっ! 私の名前はアイですっ。精一杯頑張るよ!》
《オ~ケー。よろしくねぇ~アイちゃん! これがオレのチームなんだ! 気に入ってくれた?》
レットの耳に聞いたことのないような非常に甘ったるい女性の声と、やや高い男性の声が聞こえてくる。
(なるほどね。これがチームの会話ってことか……)
会話モード“Team”。
それはその名の通り、チーム同士ならどんなに距離が離れていても意思疎通ができる会話モードだった。
「ん。どやら、“アイツ”が新しいメンバー。誘ったようやな」
(“アイツ”って、誰だろう?)
「よくわからないんですけど。オレ。メンバーの人にチーム会話で自己紹介した方が良いんですよね?」
「――いや。ちょっと、何もせんで。様子見。しててや」
レットには、テツヲの言葉の意味がいまいち理解できなかった。
しかし何れにせよ、自分から会話に割り込める自信があるわけでもない。
テツヲの言葉に従って、レットはそのまま様子見をすることにした。
《ところでアイちゃんはさぁ。犬とか好きかい?》
《好き好き~。あ、でもぉ。“猫”もだ~い好きだよぉ!》
《そっか、犬といえば。ブルドッグって犬種いるじゃん? あれってさあ。可愛いよなあ》
《うん♪ 可愛いよね♪ アイもブルドッグ大好き♪》
《それでさ。――――――――君の顔、ブルドッグに似てるよな?》
(――ん?)
《え? ――えぇ?》
《言ったよなァ! お前言ったよな、確かによォ!! ブルドッグが可愛いってよォ~! じゃあお前の顔がブルドックに似てるっていうのは褒め言葉だよな~オイ!!》
“何かがおかしい”。
会話の雲行きが怪しくなってきている――そうレットは思った。
《え……ひ。ひどい……ひどいよぉ……。なんでいきなりそんなこと言うのお?》
《テメエの普段の素行を見直してみろや“大型新人”! このチームでもちやほやされると思ってたのか? 誰も彼もが、お前みたいなメスを手放しに持ち上げると思ったら大間違いだ。さっさと消え失せろやブース!》
チーム会話で突然放たれた暴言に、一瞬何が起きたのかと耳を疑うレット。
《何でよぉ! 何でそんなこと言う――――――――》
そこで突然女性の声が聞こえなくなる。
《ギャハハハハ! 言うだけ言ってチームから追い出してやったぜザマーミロっての! 他のチームで貢がれてたからって、いい気になってんじゃねえっつーの!》
「〔タナカさん――なんなんだろこれ。何が起きたんだ!?〕」
「〔会話から察するに、女性プレイヤーさんの方が『冷かしで誘われ、てチームから除名された』のではないでしょうか……〕」
「終わったみたいやな。こんな感じで、ここの会話はチーム全員に聞こえっから。こっから先。覚悟して発言した方が。ええで。つっても、クソみたいな会話が多いから。基本的に皆。“チーム会話”におらんことの方が。多いがな」
「あのォ……。今追い出された人って、どうなるんです?」
レットの不安げな視線を受けたが、テツヲは特に表情を変えることなく直立不動のままボキボキと首を鳴らすだけであった。
「――ほったらかしやな。ああいうきゃぴきゃぴした女がおると、チーム全体が。ろくでもないことになる。このチームの参加条件はいい加減、やけど。俺はああいう女を、チームメンバーとして。認めるつもりは、ないで」
直後に、何者かが部屋の中に入ってくる。
その男性の種族はキャットで、巨大な魔道書を背負っていた。
(こ、この人もチームのメンバーか。魔導書ってことは、メイジかな?)
オッドアイで片目が赤、片目が緑。ヘアモデルのようなショートヘアをしている。
鼻の上に傷が横一線で入っており、レットよりも背が低い。
赤色と黒色が混ざり合ったローブの装飾はとにかく派手で、まるでヴィジュアル系のバンドメンバーのような容姿だった。
「ああ? なんだテメエらは⁉」
その人物の声を聞いたレットは、このキャットの男が『先ほどまでチームで女性と会話をしていた人物』であることに気づく。
「この二人は、新メンバーや。お前がさっき誘った女とは違って。“マジのやつ”や。冷かしじゃ、ないで。クリアから、話聞いてたやろ」
入ってきた男にタナカが歩み寄って、自己紹介をする。
「よろしくお願いいたします。私タナカマコトと申します」
「え……えっと。オレの名は……「――テメエらに名乗る名前なんざねえよ」
「――――――へ?」
今までに類を見ない乱暴な返事を受けて、思わずレットが間抜けな声を上げる。
そんなレットの訝しげな表情を察してか、テツヲが咄嗟に補足した。
「しゃあない。代わりに。俺が説明、するわ。コイツはBershee・iyanglun。職業、ブラッドナイトや」
(ブラッドナイトって、近接攻撃が主体なんじゃなかったっけ? 何で魔道書なんて持ってるんだこの人!?」
「ちなみに、こいつは。鎌や剣じゃなくて、あえて魔道書を持ちたがる。変な奴や。“クソ雑魚ビルド”や」
「いいんだよリーダー。別によォ~~、オレは我流を極めるのが好きなんだっつの。他人にとやかく言われたくないぜ」
そう言ってから、男――ベルシーはレットの装備品をじろじろと見つめ始める。
「うわ、なんだコイツ。これ上から被せてるわけじゃねーのかよ。今時ミスプレとかガチのNoobじゃねーか」
聞きなれない単語に首を傾げるレットに対して、ベルシーは信じられないといった表情で補足する。
「……Noobっていうのは初心者っていう意味だよ。お前そんなことも知らねえのか? ちょっと、名前見せてみろよ」
好き勝手言われ続けて怯むレット。
嫌な予感がしていたが、しかし断るわけにもいかない。
渋々、男に対して自分の名前を表示する。
「なんだァこの名前!? Daaku Retto!? ――ネームセンスゼロじゃねえか! つーか“だあくれっと”って! “だあくれっと”ってなんだよギャハハハー‼︎ 全部ローマ字打ちかよ! ギャハハハ‼︎ 劣化の劣に徒労の徒で劣徒ってか? センス無さすぎにもほどがあるだろ!」
(――何だコイツ)
レットは苛立ち、内心で毒づいた。
「オイ? テメエ、今なんか言ったか?」
「……何も言ってないです」
「んでこっちは……おいおい、ケパトゥルス族かよテメエ!? いつ見ても外見キモすぎんだろ! クリアはまたロクデモねえ連中を連れてきやがったな。こんな連中じゃ、何の金儲けの役にも立ちそうにねえ」
(く……この!)
レットは思わず強く首のスカーフを抑えながら――
「い…………いい加減にしろよ! な……何なんだよ、初対面で人を小ばかにしてさッ!」
――ベルシーに対して怒りの声を上げた。
「ああん? やんのかテメエ! なら早速タイマン乗ってやんよ!! とりあえずオラァッ!」
ベルシーがいまいち煮え切らないレットに対して、“いきなり拳を繰り出した”。
その暴力には、何の躊躇も感じられなかった。
前動作なしに放たれた文字通りの“暴挙”にレットは唖然としてしまい、驚いているその顔面にそのまま拳がめり込む。
「べうッ!!」
レットの体は吹き飛ばされて――部屋に設置されている風呂の中に飛び込み水飛沫が上がった。
「はい雑魚おつ。ワンパンでダウン。gg」
「ぐ……こ……こんのォ! い、いきなり殴ることないだろ! 何なんだよいきなり。頭おかしいんじゃないのか!?」
「〔レットさん。抑えてください!〕」
少ないHPで何とか立ち上がって、ベルシーに飛び掛ろうとするレットをタナカが制する。
「テツヲさん! ベルシーさんを止めてください。知り合ってすぐに喧嘩をするなんて……よくないです!」
「心配せんでええ。この家は。“メンバー以外入れんし。音も聞こえん”。邪魔は入らんで。“死ぬまで争えや”」
「なっ……」
喧嘩を止めるどころか逆に煽り始めるチームリーダーの発言に衝撃を受けたのか、唖然とした表情のままタナカは絶句した。
「新入りの癖に偉そうによ! おい、テメエの場所《住所》教えろやコラ! ――リアルでもボッコボコにしてやるぜ!」
「お、いつものしょーもない。決め台詞やな。面白いことに。なってきたで」
「リ……リアルの住所!? そんなの教えられるわけ――」
「――なにやってんですかにゃ……」
レットの言葉を遮るように部屋に入ってきたのはネコニャンだった。
「あ~あ~。この状況は……。はいはい――“そういうこと”ですかにゃ。とにかく、みんな落ち着いてくださいにゃ」
場を制するために周囲を宥めるネコニャンを尚も無視して、ベルシーがレットに歩み寄ってくる。
「おい。どけよテメエ。ソイツに“わからせてやる”ぜ!」
「――いやもう。それ以上やるならもう……ワサビさんにチクりますにゃよ」
その言葉を聞いてベルシーはピタリと動かなくなり――
「……………………チッ。くっだらねえわマジで。ここでオレが戦っても拳だけで勝てちまうし余裕だしよォ。今日はまあ、この辺にしておいてやるよ。その代わり、オレに二度と刃向かうんじゃねえぞ」
――そう捨て台詞を放って、部屋から出て行った。
「いい感じや。これから。仲良くやれそうやな。俺も一旦飯を食うで。今夜は。カレーや」
どこをどう見たら仲良く見えるのか――とレットが返事をする前に、テツヲもその場からログアウトしてしまう。
「災難でしたにゃ……。二人とも、ついて来てくださいにゃ。この部屋じゃ落ち着きませんからにゃ」
ネコニャンに言われるがままに、タナカとレットは再び移動する。
部屋を出て“待合室状態”となっている椅子の並ぶ廊下を抜けて、入り口から見て右側の扉を開く。
そこにあった部屋は、先程の居間と比べると小さくこぢんまりしていた。
「う――ううっ。……ネコニャンさあああああああああああああああああああん。怖がっだよおおおおおおおおおお」
部屋に入るなり、レットはネコニャンに抱きつく――が、直ぐに離れた。
「……なんかネコニャンさん、キャラの見た目の割にあんまり柔らかく無いんですね。フワフワだと思ったらゴワゴワだこれ。なんか饐えた変な臭いするし……」
レットの非情な指摘を受けて、ネコニャンは猫背の状態からさらに項垂れる。
「なんにゃねん勝手に抱きついて泡ひっつけておいて~……。まあ時間経過で消えるからいいけど……猫の毛並みや臭いに文句言わんでくださいにゃ」
ネコニャンの奇妙な体臭を嗅いで、図らずも冷静になったレットは周囲を見渡す。
部屋はとにかく狭く、合成用のキットや釜やチェスト等、色んな物が乱暴に配置されており足も踏み場も無いほどだった。
「へぇ。あのよくわからない部屋とは別に、ここにもう一つ部屋があったんですね」
「チームメンバーが使う家具を置いてある部屋ですにゃ。いちいち家としての生活空間と混ぜ合わせて家具を配置するのがめんどくさいとか、入口から距離が遠くなるとかの理由で家特有の便利機能はここの一部屋に全部まとめてあるんですにゃ……」
「な、成る程。効率を極めた結果というわけですか……。しかし、先程の居間はチームの方々が生活をされる空間というには、程遠い内装だった気がしますが……」
「まあ。そういうチームですからにゃ……改めてチーム【GOD DEATH】によろしくどうぞですにゃ……。ゲームメニューに自分のチーム名が載ってるはずですにゃ」
ネコニャンの指示でレットがゲームメニューを開く。
そこには確かに【GOD DEATH】と書かれていた。
「あ、あのネコニャンさん。“リーダーの名前が女神”なのに……“チーム名で神が死んでいる”んですけどォ……」
「リーダー曰く、神様ですっていう意味らしいですにゃ。教養も減ったくれもありませんにゃ」
(えぇ……どういうことなの!?)
「私なんと言っていいのやら……。――なんと言って良いのやら……」
「とにかく設定を弄って“チーム名を非表示”にしておくことをお勧めしますにゃ。チーム名を表示しておくと、迫害受けるどころか危険人物扱いされて誰も近寄りたがりませんからにゃ」
「えぇ……。どんだけ評判悪いんですかこのチームゥ……」
「このチームは灰汁の強い悪人、変人、奇人達が集う、エールゲルム全サーバー史上、最悪のチームっていう評判ですからにゃ。外部の掲示板では“エールゲルムの最底辺”とか“ゴミ捨て場”とか“核廃棄物処理施設”とか呼ばれてますにゃ」
(クリア、テメエコラアアアアアアアアアアアアア!! こんなわけわかんねえチームに誘うなアアアアアアアアアアアアアアア!!)
心の中で、思わずレットは叫んだ。
「そもそもどういう人間なんだとか以前に、“何なんですか”あのリーダー!? どう見たって“ヤのつく人”じゃないですか! というか人なんですかアレェ!?」
「テツヲさんは控えめに言って頭がおかしいですからにゃ。あ、でも心配は要りませんにゃ。大体監獄にぶち込まれてたり運営にキャラクターを削除されていたりするから、うちのチームの中じゃ比較的無害な部類ですにゃ……」
「いやそれ、“有害すぎて一週回って無害になってる”だけじゃないですか! 格好もおかしいですよ! なんでドレスなんて着てるんですかあの人?」
「あのゴシックなドレスはこのゲームのハロウィンイベントの装備品ですにゃ。何度もキャラクター消されるから、いっつも装備可能レベルの低い【季節イベント用の装備品】を取ってきて装備してるんですにゃ。本人曰く『二種類のおしゃれくらいは。紳士の最低限の、たしなみや』ってことで、“下着以外全裸”と“イベント装備”の二種類をつけかえることが多いんですにゃ……」
「全裸かドレスとは……。どちらの選択肢にも、嗜みなどへったくれも無いような気がするのですが。それは大丈夫なのでしょうか……」
「それと、あのベルシーっていう奴は何なんですか!? 初対面の相手に中指立てるとかどうかしてますよ!」
(いや、オレもククレトの洞門でPKに対して中指立てたことあるけどさァ……)
「あれは――うーん。例えるならそうですにゃあ……。クリアさんが“人当たりがいいけど、いい人でも何でもない”って評するなら、あのベルシーは“普通に有害”ってところですかにゃ?」
「ネコニャンさん。ベルシーさんに対して、何のフォローもなさらないのですね……」
「“使えるものは何でも使う主義”だそうで、我が強くて色んなチームで揉めた経歴があって、受け入れ先が他になくてこのチームに流れ着いたんですにゃ。そのくせ、ワサビさんの前では良い顔をしたがるんで、普通に最低な奴なんですにゃ」
(覚悟はしてたけど、こんなのオレの知ってるVRMMOのチームじゃないって……。可愛いケモ耳娘とか、頼りになるアニキ分キャラとかそういうのがいるもんじゃねえのかよォ……)
「嫌だ……帰りたい。もうオレおうちに帰りたいよォ……帰りたい……帰りたい……」
「――何言ってるんですかにゃ? チームメンバーになってしまった以上。ここがレットさんの帰る家ですにゃ」
「………………嫌ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」
【流血の設定、表現】
PVP戦闘に精通するプレイヤーにとっては他プレイヤーの痕跡の一つとなりうる。
その為、オンにすることが多い。
血としてのリアリティは不快感をなくすためか、意図的にいまいちにされており色も黒い。
以前は血の色を自由に変えることができたのだが、『血液を白濁色に設定』して女性プレイヤーを白濁まみれにすることに命を掛けた結果、PKやPVPの頂点に立った――という余りにも業の深い外国人プレイヤーが現れてしまい、別の意味で不快であるということで色をつける機能そのものが無くなってしまった。
「オラオラァ! オレの活躍の為にとっとと血を流しやがれってんだよ!」
【ハイダニア王国住宅街 Nエリア4番地 (座標・F-13)】
レットは周囲との貧富の差に意気消沈してしまったようであるが、その見た目に騙されることなかれ。
このゲームにおいて最も大切なのは家の外見ではなく、“立地”そのものなのである。
ハイダニア王国の北地区の4番地は住宅街の出入り口と一番近い上に、オークションハウスをはじめとする住宅街に設置されている各施設との距離感が全て最良。
全国家の中で立地上最も利便性が良い為、住宅街の新しい丁目が追加されると一瞬で買い取られて破格の値段で転売される宿命にある。無印の頃から、その人気は決して衰えない。
オンラインゲームにおける多くのプレイヤーが求めている物は――プレイ効率と時間なのである。
「私、ハイダニアのNエリアの4番欲しいんだよね。チーム全員でゴールドかき集めてるんだけどこの金額で買えないかな?」
「無理だろなぁ。土地だけでも豪邸の100倍くらいの値段はするんだぜ……」




