第一話 新天地へ
「〔クリアさん……その格好。何とかならないんですか?〕」
(まあ、いつもの格好の方が目立つけどさぁ……)
木造の船倉の中、周囲のプレイヤーに聞こえないよう直接“囁いて”からレットは同行者の格好を見つめる。
「〔いいんだよ別に俺は。正体がバレても一人で逃げたり返り討ちにするなり、いくらでもやりようがある〕」
レットの同行者――クリアは普段の格好の上から、身を隠す目的で唐草模様の緑色のフードを被っていた。
「〔そんなことよか、自分のことを心配しろって! 名前非表示にしたり身を隠したりだなんて――俺“だけ”ならやる必要ないんだからさ!〕」
「〔オレはバッチリですよ! わざわざ新しい装備品まで作って貰っちゃって、ネコニャンさんには本当に感謝してます〕」
レットはそう囁いてから、自身を覆っているフードを軽くまくって新調した装備品をクリアに見せつける。
「〔それは良かった。しかし、直接感謝するのは、もう少し――――後になるだろうな〕」
大きな欠伸をしながらクリアがレットにそう囁いて、船倉の端っこに座っている――先程合流したばかりのネコニャンを見つめる。
その視線の先では――
「うにうにぃ~……。酔ってる酔ってる酔ってるにゃり~……」
「あの……大丈夫ですか? ひょっとして、出発される前から船酔いをされているのでは?」
――大きなフードを被った微妙に小さい男――ケパトゥルス族のタナカが、ベロンベロンに泥酔しているネコニャンを介抱していた。
「そいやぁ~、あなたとの自己紹介がむぁだだったですにゃ~。自分の名前はNekonyannyanですにゃ~。17歳女子高生です! にゃ!」
「は……はぁ。ご丁寧にありがとうございます。随分、お若いんですね。自分の名前はタナカマコトと申します。冴えない中年ですが、よろしくお願いいたします」
「んうぇ~ぃ。よきにはからえ、よきにぃ~」
(オッサンらしさを欠片も隠せていないのに、なんで堂々と嘘をついているんだあの人は…………。タナカさんも真面目に応対しようとしなくて良いのに……)
「〔クリアさん。ネコニャンさんは、色々大丈夫なんです?〕」
「〔心配するな。ネコニャンさんが“仕事上がりに飲むだけ飲んでログインしてくる”のは、よくあることなんだ。放っておけばそのうち元に戻るよ。ま、飲み過ぎなのはよくないから。後でちょっとお灸を据えないといけないけどな〕」
そこで改めて、ここに至るまでの経緯をレットは思い返した。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
レットとクリアは、迫り来るPKの魔の手から辛くも逃げ延びて、ポルスカとオーメルドの境に到着していた。
「今オレ達が居る【ルソニフ地方】からの移動……ですか?」
「ああ、そうだ。追いかけて来たPK共は何とか逃げることができたが、このままここに居ても追われ続けるだけだからな。とっとと二人で大陸ごと船で移動してしまおう。今の俺達のチームが拠点として活動している国はフォルゲンス共和国じゃないし――幸い、お前はちゃんと『蒸気船の許可証』を手に入れているしな」
「蒸気船――か……わかりました」
レットの表情が一瞬暗くなる。
クリアは一瞬だけ首を傾げたが、そのまま話を続けた。
「タイミングも良い。チームのリーダーがそろそろ監獄から釈放されるし、チームのメンバーも¥同じ場所に集合するらしいからな。レットは一度メンバー達としっかり顔合わせをしておくべきだろう」
「へぇ~。集合するって、ひょっとして【定例会議】とかするんですか?」
レットは目を輝かせる。
その脳内で少年が妄想していたのは、『長机を囲む“底知れぬ強者達の会議”』であった。
(うわ~なんか、バトル漫画っぽくてちょっとカッコいいかも!)
「……いや、うちのチームには会議ができるほどの協調性は無い。全員で同じことをしようとするとごちゃごちゃになって意思統一ができなくなるから、“実質無法地帯が基本”なんだ」
「それもうチームである意味がねえじゃねえか!」
「今回集まるのは、復帰するリーダーが『チームの権限を定める前に監獄にぶち込まれてしまったから』でな。つまりウチのチームは新しく立ち上がってから、“チームとしての最低限の初期設定すらろくにできていない状態”が続いていて、それを解消するために一度集合するわけだ」
「本当に大丈夫なんだろうなそのチーム!?」
レットのツッコミに、クリアはいつも通り大きな声で笑った。
(なんか、またこの人が信用できなくなってきちゃったよォ……。そういえば、オレがチームに未だに誘われていない理由も、『勧誘の権限を持っているリーダーが監獄にぶち込まれていたから』だったっけか……)
「何にせよだ。考え無しにああいう記事を出してもらっておいて何だけど、記事の写真のままの格好をして歩き回るのは危ない。だから、お前にはこれからちょっとした“変装”をしてもらう」
そうレットに質問して、クリアはアイテムのインベントリーを開く。
「最初にレット、右腕の装備品を見せてくれ――お前の好きな色は何色だ?」
「――もしかして、カラーリングで装備の色を変えてくれるんです?」
「ああ、そうだ」
“カラーリング”。文字通りゲーム内に流通している様々な資源から取り出された色素を塗りつけることで、装備品の色を変更するシステムである。
「あの、ありがたいっちゃ――ありがたいんですけど。この装備品はこの前パーティで組んだタナカさんから奪ってしまった装備なんです。だから、勝手に色を塗ったりするのはちょっと良くないかなって……」
「心配するなよ。もうその装備品はお前のものさ」
クリアがそう言ってから、背後に向かって軽く手を上げる。
その先にあった茂みが突然動き始めて、何者かがゆっくりとそこから体を出した。
「お久しぶりです。レットさん」
「あ、ああ! タナカさん。お久しぶりです!」
そこから出てきたのは、緑色の奇妙な生き物。
頭は禿散らかしており半裸で醜く太っている。身長は半端に小さく顔面は恐竜の骨格のような奇妙な形。
目の部分が空洞になっていて、眼球が見えなかった。
(一瞬だけど、またモンスターかと思ったよ……)
「実はレットとオーメルドの戦乱ではぐれた後、タナカさんとしばらく二人で行動していたのさ。フレンド登録もしてある。レットと同じく、俺達のチームに入ることになった。これからは、この三人で海を越えてチームの拠点である【ハイダニア王国】に向かう」
「レットさんに“何かが起きたのか”ということは、記事を読んで私も知っています。“何があったのか”は知りませんが……私は気にはしませんし、詮索するつもりもございませんので……」
「あ……ありがとうございますタナカさん……。でも、タナカさんはオレ達と行動なんかして大丈夫なんです? それに、クリアさんのチームってまだオレ全然知らないけど、多分絶対“ヤバい”ですよね?」
そう言ってレットは心配そうにタナカの顔を覗き込むが、当のタナカは一切動じていないようだった。
「レットさん。気になさらないでください。“爪弾きにされる”のは慣れっこです。今更PKに襲われる回数が増えたところで、どうということはありません。チームに関しても、どこのチームの参加も断られてしまった私としては文字通り、渡りに舟ですよ」
(ケパトゥルス族の人って、普段から世知辛い思いをしているんだなあ……)
「――だそうだレット。加入している俺から見てもヤバいチームだから、オススメはしないって言ったんだけどな……。とりあえずタナカさんには、危なくなったら真っ先に一人だけ逃げてもらって他人のフリをしてもらおうな!」
「――オレは巻き添え確定ですか」
「“他に選択肢がない”からな。レットはチームの支援と庇護の元、ある程度強くなってPKから自衛できるようにならないと、ゲームを続けることが困難になると思うぞ?」
(ま……しょうがないよな。あの記事が出回ったのだって、オレがクリアさんにお願いをしたからだし。――もちろん“あの娘”が元気でいてくれるなんて保障はないけど……)
自分の置かれている状況に納得してから、レットはクリアに対して頷いた。
「……わかりました。要はオレが強くなればいいんすよね? クリアさんがレクチャーしてくれれば問題ないと思います!」
「ああ、対人戦闘のノウハウは任せろ。向こうの大陸に到着してから教えるさ。レットにとっても丁度良い機会だとは思う。じゃあ改めて、その腕装備を塗るぞ。――いいんだよね? タナカさん」
「はい。実はその装備は私が合成の――鍛冶のスキルで稚拙ながら試しに作ってみた安物なのです。新しい装備品は既に買ってしまいましたし使う予定も無いので、受け取ってください。自分の手で作った装備品を人に使って貰うというのも、なかなかどうして嬉しい物です。使い潰すなり売り払うなり、好きにしてください」
「それならオレお言葉に甘えていただきます! 長く使わせていただきますんで!!」
レットはタナカに返事をしてから、“装備品を好きな色に塗ってもらえるというイベント”に僅かに心を躍らせて目を輝かせた。
「えーっ……とじゃあ、オレの好きな色は……黒! いや……赤かな! 赤でお願いしますクリアさん!」
「よし、わかった!」
そう言ってクリアはレットの右手装備にスプレーのような物を取り出して緑色の塗料を吹き付ける。
レットの装備品は瞬く間にカメムシのような緑色になった。
「あの……クリアさん。“オレの好きな色を聞く必要って――ありました!?”」
「特にない! ……ワハハハハハ! 勘弁してくれ! 緑の塗料は安いんだよ。“ケパトゥルスグリーン”だ。タナカさんから強奪した装備ってことで丁度良いだろ! ――他の部位には、この装備をつけると良い」
そう言ってからクリアは、インベントリーから銀色のくすんだ防具一式を取り出して、目の前にあった切り株の上に並べる。
「【ミスリルプレートメイルシリーズ】だ! 右腕以外の基本部位は全部ある。耳とか指とかのアクセサリー類は持ってきていないけど」
「マぁジっすか! ありがとうございます!」
「つっても安物なんだけどな。ネコニャンさんが作って、“もてあましていた物”の余りだ。今、俺が持っている低レベル用の装備品がこれしかないんだ」
「うーん……安物の余り物かぁ。――なんか見た目も地味ですよねこの装備……。軽くて動きやすそうだけど、可も無く不可も無くみたいな色と見た目で――雑兵みたいだなあ……」
「余り物の方が気兼ねなく受け取れるだろ? その代わり、金のことは気にしなくていい。ハイダニア王国についたら、自分で塗料を買って、好きな色に塗るなり、自分で好きな装備に新調するなりしろ」
「――わかりました」
(今の装備品の貧弱さは目も当てられないし。クリアさんの言う通り、いつまでも同じ格好でいるのは危ない。この際文句は言っていられないよな!)
――装備品に手を伸ばしたレットを、クリアが制する。
そのままクリアが装備品を拾い上げて、レットの体に“直接”装着しはじめた。
「おほ~。直接装着して新調することもできるんですね!」
「いいだろ? こういうの。インベントリーから装備しても良いんだけど、このやり方ならちょっとした変身ヒーロー気分を味わえる。よし、ヘッドギアつけて――これで全部だ!」
クリアがレットの背中を強く叩く。
レットの体が揺れて、ガチャガチャと小さく金属がぶつかり合う音が鳴った。
「おっとと……そういえば、タナカさんは装備品を新調しなくていいんです?」
「はい。今まで一人でずーっと地道にやっていたので、お金は貯まっているんです。レベルも取り戻しましたし、つけている装備品もランクアップして“これから先装備する分”まで準備はできているので」
(この人は本当にたくましいな……)
今までタナカが受けてきたであろう境遇を察して、レットは内心で同情する。
(……前に組んだパーティでも強かったし、酷い扱いを受けて居る分。普段から努力してるんだなあ)
「後はまあ、レットのその首の水色のスカーフなんだが――」
「………………………………」
そのクリアの言葉でレットは黙りこくる。
「――好きにしろ。それはもうお前の装備だ」
「……ありがとうございます」
「今度はきちんと、言われたとおりに【お気に入りタグ】つけてるな?」
「受け取ったときから、完璧についてます。何度も何度も確認しました。外すつもりもありません」
所謂、“お気に入り設定”。
ゴールド以外でのPKの旨味は低く、レアリティの高い装備は滅多に奪われない本作だが、どうしても奪われたくないアイテムというものはどんなプレイヤーにも必ずといって良いほど存在する。
そういったアイテムは“国のNPC”にゴールドを支払うことで、PKから奪われないように設定することができるのである。
「〔まあ――何も自分から俺に倒されて“試しに奪われないか”まで確認する必要は無かったとは思ったけどな〕」
「〔……すみません。心配だったんで、どうしても確認したかったんです。もう二度と、あんな思いしたくないから……〕」
「〔それも結果オーライだと思うけどな。そのスカーフが奪われたからこそ、辿り着いた結末があって――今のお前があるんだし〕」
「――よし!今日はもういい感じの時間だから、今日は全員ここでログアウトだ。明日の“こっちの早朝時間”にログインして、そこから三人でアロウルの寒村に移動しよう。その時間帯のオーメルドの天候は“濃霧”だしな」
「オレは……別に徹夜なんてどってことないんですよ。だから、このまま移動しませんか?」
「――――――レットは色々あったから、無理はするな。今日はもう休んでおけ」
「クリアさんの言うとおりです。疲れて体を壊してしまっては、元も子もないですからね。健康は失ったら、二度と返ってはきませんから」
(うげ……意外とがっつり注意されたな……。た〜まに深夜にログインしてるのがバレたら、怒られるかもな……これぇ……)
二人の大人の説教にレットは内心で辟易した。
「ああそうだレット。ログアウトする前に、“身を隠す一人用のマント”も貸しておこう。こっちは素材が高いから、船を降りたら返してくれ。――何色がいい?」
クリアの提案にレットは再び目を輝かせる。
「身を隠すってことは――フード付きですよね? ならぶっちぎりで“黒”です! これはもう絶対に譲れませんよっ!」
(ん? 冷静に考えれば、“高価な借り物”に、オレ好みの色なんてわざわざ塗って貰えるわけがないような――)
「よし、任せろ!」
そう言って、クリアはぶよぶよとした獣の皮でできたベージュのマントを取り出して、レットに投げ渡した。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
(――で、翌日同じ時間にログインした三人はそのままオーメルドを無事に通過して。アロウルで泥酔していたネコニャンさんをクリアさんが“拾って”、四人でそのまま“大陸間移動用の蒸気船に乗ることになった”――と)
今日までの回想を終えたレットが、再び船倉にいる仲間達を見つめる。
「んも゛ぉ。お仕事きっつすぎですにゃ~。10時間超えの不安定労働者を敬えいたまえい、ですにゃ…………はぁ~……」
「は――そう………………ですね…………」
(愚痴られてるタナカさんの元気が、どんどん無くなってきてるよ……)
「〔同じチームのメンバーとはいえ、とんだ野良猫を拾ったな。いや、野良猫というよりありゃあ……捨て猫か〕」
そうレットに囁いてから、再びクリアが大きな欠伸をする。
(捨て猫というか……“捨て鉢になっている猫”というか…………)
「〔でもォ……クリアさん。ネコニャンさんを勝手に拉致するようなことしちゃって良かったんですかね?〕」
「〔呑んだくれていたネコニャンさんは釣り人ための装備品で身を固めていた。察するに、チームの拠点に集合するために船で移動しつつ、釣りもするつもりだったんだろ。“船釣り”は釣り人にとって基本の基だからな〕」
(なるほどね……。ああいう風に他のメンバー達もオレ達と同じ目的地にほうぼうから集まってくるわけか……)
「〔言っておくが、俺のチームの残りのメンバーの中に、レット好みの女の子なんていないからな!〕」
「〔そんなこと、オレはもう全く気にしてませんってェ!〕」
《お待たせいたしました。当客船はこれよりオーメルドを出港いたします》
係員のNPCの抑揚のない声と共に、ようやく船が動き始める。
出発と共に、木造の船倉から甲板に上がる木製の扉が開かれた。
他のプレイヤー達が、我先にと甲板に上がっていく。
「さぁ~て、船の上は街中と同じように常時パッシブだし。他のプレイヤーに襲われることも当分無くなったわけだ。俺はこの船旅を――――甲板で昼寝しながら過ごすかな。昨日はやらなきゃいけないことがあって、あんまり寝れなかったんでな」
そう言って再び欠伸をして、悠々と船倉に上がっていくクリア。
(せっかくの船旅なんだから、もうちょっとマシな過ごし方がいくらでもありそうだけど……他のメンバーは――)
レットはやり取りしているネコニャンとタナカを見つめる。
「あの、ネコニャンさん。私……もう離れてしまっても大丈夫でしょうか?」
「まぁまぁ~そう急がんでもええがにゃ! 船旅は始まったばかりですにゃ! これから一緒に釣りでもしましょうにゃ、そうしましょうにゃ! うぇーい!」
(――駄目だこりゃ。せっかくの旅立ちなんだから。物語みたいに、“全員で船首に集まって地平線を見つめて『いくぜ! 新大陸に!』って気合を入れるロールプレイ”をやってみたかったんだけどなあ……)
ゲーム内の時間帯は昼前。
船倉の窓から見える空は、曇りが基本のオーメルドの天候で珍しく雲一つない晴天だった。
出航を迎えて、レットはこれからの航海と冒険を想像し、一人期待に胸を膨らませようとして――
『レット君との船旅。私、とっても楽しみにしているわ』
(…………………………)
――フードが脱げないように立ち上がって、汽船の窓にゆっくりと歩み寄る。
そこから小さくなっていくオーメルドの地を――立ち上がるアロウルの寒村の煙突の煙を、しばらくの間――じっと見つめていた。
【ミスリルプレートメイルシリーズ】
散々この装備品を馬鹿にしたレット自身がゲームの理解を深めて後に知ることとなるが、この装備一式には利点が多々あり――
①職人の合成スキルのレベル上げに使われる関係上生産数が多い為、値段が安い。
②軽装と重装の間の装備であるため装備が可能な職業の種類が多い。
③基礎性能が高く、レベルが上がっても長く使える。
④無駄な装飾がなく、装備した際のつけ心地に違和感が無い。
⑤消耗しても装備品の修理代金が安い。
⑥レアリティが低いのでシステム上PKが奪える装備品の対象にランダムで選出されやすい=他のレア装備を守ってくれる。
⑦究極、奪われてもオークションハウスでの現地調達が即可能。
⑧くすんでいるため多少の汚れが気にならない。
⑨上位装備の合成の素材になる。
⑩合成のスキルで溶解するとミスリルのインゴットになるため同レベル帯の装備品と比較して換金率が高い。
⑪各種属性に対して決して強くは無い――が、逆に明確な弱点も無い。
⑫装飾数に反して、塗装可能部分は多いため、つけられる色の種類を細かく指定でき、カラーリングバリエーションの自由度が比較的高い。
⑬安くて流通量が多いので、付呪(装備品に魔法効果をつける)の合成のスキルアップに使いやすい。
――等。
開発者の意図した物では無いかも知れないが、とにかく安定性と機能性に重きを置かれておりプレイヤーからは人気で、“ミスプレ先輩”の呼称で愛されている。
一部の上級者には何故か必要以上にやたらと馬鹿にされるが、余程の強敵に挑まない限りは中級者までなら大体のシチュエーションにも最低限耐えうることができる光るものを持った装備品であるとプレイヤーには称される。(実際、特定の合成スキルで磨くと美しく光る)
わざわざこの装備品を鍛えて様々な効果をつけて使い回す【ミスプレ先輩愛好会】というゲーム内のプレイヤーコミュニティが存在していたりする。
「まあ……このくらいのプレゼントならいいだろ?」




