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VRMMOセンキ  作者: あなたのお母様
第一章 “英雄”との出会い
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エピローグ 邪悪なプレイヤー?

 亜麻色の髪色の少女が蘇生によって起き上がったのは、彼女が獣に襲われてから数分後のことである。

彼女は周囲を見回すと“自分を見殺しにしてから蘇生させた”男を睨み付けた。

男はそんな少女に対して、やれ『ここら周辺は危険だ』だの『初心者が一人で彷徨く場所じゃあない』だの、だらだらとレクチャーを始める。

少女はそれを途中で遮って、男に対して質問をぶつけた。


「あなたの長ったらしい講釈なんて、どうでも良いですけど。……何故、あなたはわたくしを助けないで見殺しにしたのかしら?」


苛立ちを感じさせるその言葉を受けて、男は二本の松明を仕舞い込んで改めて話を始める。


「理由は三つある。一つは――見ていて楽しそうだったから!」


少女はその言葉を聞いて、明確な怒りを顕わにした。


「二つ目の理由は――あんたのためにならないと思ったからだ。あんたの周辺にいるプレイヤーは、控えめに言ってロクでもない連中だろうな」


この言葉についに少女は怒りを爆発――させるようなことはしなかった。

少女は、酷く動揺していたようだった。


「驚くようなことじゃ無い。見ればわかる。そんな煌びやかな防具は、一介の初心者が装備できるような品じゃ無い。ゲームを長く遊んでいる男から『プレゼント』されたんだろう? なのにそいつらは与えるものだけ与えて、大切なことを何も教えちゃいない――――君は、まるで檻に閉じ込められた着せ替え人形みたいだ」


男の言葉に少女は雷に撃たれたかのように息を呑む。


「そんな……(あたくし)が“着せ替え人形”だなんて……そんなことは……わたくしの友人達に好き勝手なことを……あなたのような人に……言われる筋合いは……」


「そんな扱いをされるのが嫌だから、君は今日こんな危ない場所まで一人でのこのこやって来て、知識不足で結果的に戦闘不能になった――違うか?」


少女は小声でぶつぶつと呟き始めたが、男は気にせず話を続ける。


「三つ目の理由は、俺が単純にイカレているってことだな。俺には人助けを率先してやれる度胸なんて、これっぽっちも持っていないんだ」


「――――――それは、結局のところあなたこそが“一番ロクでも無い人”ってことでよろしいのかしら?」


「ああそうとも。俺には“誰かを助けようと決意する力なんて最初から無い”からな」


そこで男の言葉は止まる。

少女が、煌びやかな装飾がされた片手持ちの棍棒で男に殴りかかった為である。


「ど……動揺して損してしまいましたわ。見殺しにしておいて、上から目線で主義主張を押しつけて……私の友人まで侮辱して、あなたみたいなネジの外れた極悪人――許せません!!」


男は少女の発言に異を唱えるようなことはしなかった。

ただ――


「ああ、そうか! そんなに俺が悪者に見えたか! よーし……よし、かかってこーい!」


――と言って、どこか嬉しそうに槍を取り出した。


それから暫くの間、男は少女が振り回す棍棒を“正面から”堂々と何度も受け止めていた。

そして、戦いの終わり方は実に地味なものだった。

バランスを崩した軸足に男が軽く槍を当てて、少女はその場にあっさりと転倒する。


「まだまだ修行が足りん! いい目をしているが、俺を倒すならもっともっと経験を積まないと駄目だな! ああ、でも――無理はしないこと! 長時間ゲームを続けると体に悪いし何より――」


「ああ! もう! もう! もうッ! 屈辱……! 屈辱ですわ! あなたのような人に、ここまで虚仮にされてええええええええええええええ……! 許せません!!」


「あっ……ちょっと待ってくれよ! 話はまだ途中――」


少女は男の言葉を遮って、森の中に消えていった。

男は走って追いかけようとしたが、少女が消えた方角の遙か遠くに高い城壁が見えることを確認して、足を止めた。


「そっちに行くなら大丈夫か――。それにしても……屑に…………極悪人か。……いつから俺は、こんな風になったんだろうな」


無表情で独り言ちて、男はそのまま少女が消えていった先――フォルゲンス共和国を目指して森を進んでいく。


男はふと足を止める。

そして、まるで誰かに見つめられているかのように周囲を振り返る。







彼が馬に乗って来たときと違って、日が落ち切った夜の森の中は空気が淀みきっていた。







男に向かって吹き込んでくる風は――どこにも無かった。

【龍雫の欠片】

 通常のフィールド、及びダンジョンで使えるこのゲームの一般的な蘇生アイテム。

しかし、値段に関してはお世辞にも一般的とは言えず蘇生を行える職業のアイデンティティーを守るためか、合成に必要な素材も含めて非常に高価。

数個購入すれば、あっという間にゴールドが無くなってしまう。

見知ったばかりの人間に対して使うようなプレイヤーなどそうそういるものではない。

もし、居るとすれば余程のお人好しか――余程の狂人か、そのどちらからだろう。



「だからクリアさんにお金は貸せないって……前にも言ったじゃないですかにゃ! 現実でもゲームでも持ち合わせが少ないって、一体どういうことなんですかにゃ!?」












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