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VRMMOセンキ  作者: あなたのお母様
第三章 青空へ向かって
127/151

最終話 少年の新たな旅立ち

 それから、何日も何日もその少年は石碑の前に座っていた。

そんな少年のことを心配して、チームのメンバー達が顔を出すことが何度かあった。


少年は、彼らとタナカの思い出を話した。

時には、一緒に笑って。時にはタナカの物真似をしたりして――その都度居なくなってしまった友達のことを思い返して――涙を流して。




はたして、クリアの予想していた通りに――




少しずつ、ほんの少しずつ。

心にわだかまりを残しつつも――少年は段々と、笑顔を取り戻していった。















そうして、とある日のこと。


(…………オレがこの世界の中で、やるべきことがようやく決まった)


墓石の前に座っていたレットは、意を決してゆっくりと立ち上がる。


「………………――タナカさん。これから毎日ここに来て、ずっとずっとこうしていたかったけど。――オレ、もう行かなきゃ。でも…………また必ず、タナカさんに会いに戻ってくるからね――」


レットが目を擦ってから、墓石を見つめる。


















「――オレさ。今日、この世界の中で――あの娘に会いに行くんだ」









※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ 









 これは、数日前のこと。

チームの家に呼び出されたレットは、クリアからその朗報を聞かされることとなる。


「デモンが、ゲームにログインするんですか!」


「機会は“一度だけ”。話せるのも、僅かな時間だけだがな。ロックも、粋な計らいをしてくれるものだ。何もわからないままお別れっていうのも、寂しいもんだしな」


「オレは嬉しいけど。でも、そんな要望良く通りましたね。ロックさん――ロクゴ―さんは、どうなったんですか?」


「結局、退職にはならなかったらしい。事情を知る者として、運営会社のお偉いさんから“昇進という名目で事後処理係を押し付けられた”んだとさ。だから、相変わらず警察と運営の間で板挟みになっているよ。しかし、だからこそ今回の“超特別措置”が通ったってわけだな」


「あの娘は今、現実で何を?」


「流石に、教えてはもらえなかったよ。あの娘のそれまで置かれていた状況を鑑みれば、当然のことではある。だから、今回の“お別れ”もあの娘が『自分の個人情報を絶対に漏らさない』という条件付きだときっちり言われた。監視もちゃんと付くらしい。――ひょっとすると、こんな超特別措置が通ったのは、“あの娘の個人情報が絶対に外に出ないという確信”があるからなのかもしれない」


「それは、つまり――――――」


レットはクリアの言葉の真意を思案する。


「――まだ、あの娘の記憶は戻っていないってことですよね」


「断言はできないが、その可能性は高いな。加えて、あの娘が“まだゲームにログインする余裕がある”ってことは、未だに身元の調査をしている最中だから――とも考えられるな。……ベルシーの推理は、本当に当たっているのかもしれない。あの娘が監禁されていた住所にあった建物は――“身元を明らかにできるような特定個人の住宅じゃなかった”のかも。廃墟か……倉庫か……」


「そっか、ベルシーがそんなことを……」


クリアがインベントリーから破れた羊皮紙の欠片を取り出して、じっと見つめる。


「……アイツは居なくなる前に、あの娘の今後のことについても推察していたよ。もしも今後あの娘の身辺調査が始まったら、その結果次第で『“安全な”親戚の元で生活をするか、里親がつくか、養護施設に送られる』らしい。いずれにせよ、今までよりも遥かに幸せな生活だろう」


「それじゃあ――あの娘とは、当分会えなくなるんですね……」


「――そういうことだな。日時と場所を伝えておくから、お前は悔いの無いように準備をしておいてくれ」






※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ 





 レットが背後を振り返ると、遥か遠くには巨大なハイダニアの王城が映っており、その手前には先程小川を渡るときに通った橋が小さく見える。

ゲーム内の時間帯は朝。青空に登りつつある太陽と遠くから聞こえてくる鳥のさえずりが、レットに雨季の終わりを告げていた。


この日、レットはメレムの平原を歩いていた。


今の彼にはクリアしなければいけないクエストがあるわけでも、欲しいアイテムがあったわけでもない。


それでも少年には目的があった。


自分にしか果たせない役割があった。


だから振り返ることなく、少年は一人で平原を進んで行く。


(そろそろ、目的地かな?)











歩くレットの耳に――北側から、とても美しい歌声が聞こえてくる。









それはレットにとって聞き覚えのある歌声で、どうやら隣のフィールドから聞こえてくるようである。

そして誰かが踊っているかのような、風のざわめきも聞こえてきた。


レットは息を呑んで、歌声の聞こえる方向を見つめる。

フィールドの境界線の上にはまばらながら草木が深く生い茂り、その奥には霧が張っているようで、レットのいる位置からでは何が起きているのかいまいちわからない。

フィールドとフィールドの間にゲームシステムとして敷かれている青色の境界線。

そこに設置されている草木の間から、隣のフィールドの様子を確認してみようとレットが駆け寄った瞬間――






――突然音が止まり、レットは首を傾げて立ち止まった。






直後、何者かが突然草むらから“真っ白な何か”が飛び出してきた。



「う――わッ!」


驚いてレットの口から間抜けな声が出る。

その人物は、まるで草食動物に襲い掛かるライオンのようにレットに勢いよく飛び掛かった。

飛び掛かられた当のレットは、バランスを崩して柔らかい草原の中に倒れ込む。






「………………懐かしい――――レットのにおい――――――――私の大好きな……………………お日様のにおい!」


気が付けばレットはデモンに強く抱き着かれて、身体の匂いを嗅がれていた。


「ぐぐぐぐくくくく、苦しい! いや、苦しくはないけど――」


仰向けに倒れこんでいるレットの上に馬乗りになったデモンが、一回上半身だけを(もた)げて再びレットを一瞥する。


それから、再びレットに強く抱き着いてから――今度はレットの身体をくすぐり始めた。




「あ――あっはっはっはっは! ちょ……ちょっとデモン……くすぐったい! くすぐったいってば!」


笑い声をあげつつレットが慌てて離れようとすると、デモンはくすぐるのを止めて再び寝転んでいるレットに対して抱き着いた。

彼女の見た目は再び、変わっていた。

装備していたのは、“戦闘”や“ゲーム”を全く想起させないような、白いドレスのような形状のワンピースだった。


「装備品――また、替えたんだね」


「GMの人が…………用意してくれたの。私の今の……『現実の格好と全く同じにした方が、安心してもらえるから良い』って」


それを聞いてレットは、目の前に居る少女が現実でどんな扱いをされているのかを知って心底安堵する。


『ロックも、粋な計らいをするものだ』


――という、クリアの言葉が思い返された。


「……とっても、良く似合っているよ。本当に、どこかの国のお姫様みたい」


「………………嬉しい。――――――――――――――ん」


呟いてから、デモンはレットの胸に再び顔を埋めて動かなくなる。


「……………………ん~………………」


それはまるで、日向ぼっこをしてそのままうたた寝をしてしまった子どものようだった。

レットはしばらくの間、そんな彼女の頭を右手で優しく撫でていた。

しかし、突然。デモンは顔を上げてレットを見つめる。


「レット――チームの皆は……どこに居るの?」


レットはデモンを振り払わないように、その身体を抱きかかえたままゆっくりと立ち上がる。


「……………………………………」


「……レット?」


「……………………チームの皆はね――」








※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ 







「デモンに会いに行くのは――“オレだけ”!?」


家具が一切置かれていないチームの家の居間の中で、レットは驚きつつクリアに問いかける。


「俺達はあの娘に対して別れの挨拶をしないことにしたんだ。全員で見送ると、あの娘も別れるのが辛くなるかもしれない。あの娘は現実での人生を、ずっと失い続けてきた。いい加減、ゲームを去らなきゃいけない時なんだ。だから、全員で集まって後ろ髪を引くようなことをしちゃあいけない」


「言っていることは、わからなくはないけど……でも、せっかくの大切なお別れの機会なのに……」


悩む様子のレットに対して――


「そういえばレット、テツヲさんから貰っていた伝言があってな――」


――クリアは意味深な笑みを浮かべる。











「――『このチームは、本日付けで解散とする!』」


「ええええええええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?」


「理由は言わずもがな! ロックとベルシーはチームから脱退したし。監獄にぶち込まれたテツヲさんも当分は戻ってこれない! アクティブに動けるようなチームメンバーが何人も居なくなってしまったし、前から新人も入ってこなくなってきていたし、システム的に存続させるのも難しくなってきた。――丁度良い機会だろ?」


クリアの言葉に、レットは肩を落とす。


「そっか……無くなっちゃうんですね。このチーム」


「悲しい顔をするなよ。テツヲさんが作ったチームが解散するのはよくある事なんだぜ? リーダーが戻ってきてしばらくしたら、“再立ち上げ”されるかもしれない。それに――丁度良い。チームの家も撤去されるから、あの娘が帰る場所は“この世界の中のどこにも存在しなくなる”。――そうしてこのまま、俺達は何も言わず散り散りになってあの娘の前から去っていく――それで良いのさ。何より――俺たちが集まれば感づかれるかもしれない。“もうデモンに会いに行けない人”のことをな……」


「そっか……もしも、気づかれたら……“あの娘に全てを話さなければいけなくなる”……」


「その通りだ。これから新しい人生を進んで行く彼女に、必要以上に負い目を感じさせたくないだろ? お前や俺だけじゃない――“あの人”だって同じ立場ならきっとそう考えるはずだ。もしも知ることがあったとしても、それは“今”じゃない。だから、今回お前に同伴する者は誰も居ない。その場に姿を隠して立つのも、ただ監視するだけの“GMとしてのロクゴー”だけだ。その旨は、チームのメンバーほぼ全員にきちんと伝えてある」


そのクリアの言葉と同時に、居間のドアが勢い良く開いた。










「にゃにゃ~ん! デモンさんがゲームを引退する日が決まったって聞きましたにゃ! 今回は、悔いのないよ~うに、最後のゆーきゅーも使ったし~。夜なべして、“お別れ会で朗読するための別れの手紙”もちゃ~んと書いてきたんですにゃ!」









「――そう。その旨は、連絡できるメンバーにはきちんと伝えてある。…………………………ネコニャンさん以外にはな。…………………………すっかり忘れていた」


「うぉおおおおぉおおい! 何やってんだこの人ォ!?」








※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ 






「ロックさんは監視の役割を終えて、チームを抜けちゃったんだ。リーダーはいつも通り、監獄にぶち込まれちゃったからいつ戻ってくるかわからない。リュクスさんは、誰かを探しにどこかに出かけていったし。ワサビさんは、オレが聞いたことのないような凄まじいレイドに挑戦しに行ったみたい。クリアさんは――まあ、あの人はいつも通り滅茶苦茶やってる。そんなこんなでチームは解散することになっちゃった! だから、オレが戻る場所もなーし!」


抱き合った状態のまま、デモンがぽつりと呟く。


「じゃあ――にぃは? にぃは、どこに行ったの?」


「ベルシーは――――――ちょっとだけ、オレと喧嘩しちゃったんだ。でも――いつか必ず戻ってくるってオレは信じている」


「じゃあ……ネコニャは? “フェアリーの女の人”にも、挨拶だってできてない……。それに、タナカも………………いない。タナカに会えないのが――――――、一番寂しい」




※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ 











「え゛ー。自分、お別れに行けないんですかにゃ~? ………………ぐぇーっ」


呻きながら、ネコニャンが床にうつ伏せに寝そべって動かなくなる。


「ネコニャンさん。寝込むなら外でやってくださいよ。俺達の家は、あと少しでこの土地の所有権ごと無くなっちゃうんですからね」


「貯めてた有休も全部使っちゃったし……これで当分、ゲームとは――自分の人生の楽しみとは――当分お別れですかにゃ……」


「……………………あのォ。クリアさん。ケッコさんは、どこに行ったんです?」


その質問に答えたのは、床で“液状化”し、虎の皮でできた敷物のように平べったくなりつつあるネコニャンだった。


「ケッコさんは夕日の丘に居たけど、様子が変でしたにゃ。別に聞いていたわけじゃないんですけど。あの人、昨日タナカさんのお墓の前でなにかをブツブツと呟いていましたにゃ――」








―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――










 タナカさん。

私、仕事クビになっちゃった。

家賃ももう、払えなくなって今の場所には住めなくなるから、ゲームも機材ごと全部売り払うことにしたわ。

これから私、行く宛ても無いし路頭に迷うことになる。

ひょっとしたら、どっかであっさり野垂れ死んじゃうかもしれない。

でも、これは自分の人生のツケを払っているだけだし、自分の行いに悔いは無いわ。


そんなことは、今はもうどうでも良くて――








――あなたのお話、全部クリアさんから聞かせてもらったわ。







 少年とも、話をしたけど――タナカさん。あなたの生き方って本当に立派だったと思うの。

だって、私には到底真似できないから。

せいぜい後ろ向きにならないように、自分の意思で一歩踏み出すのが精一杯。


……ベルシーはあなたのことを“無駄死に”って言っていたみたいだけれど。


でもね――無表情なりにも楽しそうにしていたあの娘を、ずっと遠巻きに見ていた私からすれば、あなたのやったことって、決して無駄じゃなかったんだなって――少なくとも私はそう思っている。





 未だにね。

私は、世の中がクソだと思っている。

人間って生き物は、基本的に心が弱くて悪くて、屑な奴らばっかだって思って生きている。

世界にはおかしなことが平気でたくさんまかり通っていて――だから私の目には、世の中の全部が腐っているように見える。

“私の目の方が腐っている”だけかもしれないけれど、少なくとも私には、右を見ても左を見てもロクデナシばかり――泥だらけのように見える。


 でもね、タナカさん。

あなたの生き方を知って――そんな地獄みたいに見える世の中でも、人の善さと優しさを信じて、強く生きてみたいなって思えたのよ。

どんなことがあっても、自分の人生そのものを自分が投げ捨てちゃだめなんだって思うようになれたの。

世の中が滅茶苦茶になっていても、どんなに今が落ち目でも、例え明日死ぬとしても、それだけは絶対にやっちゃダメなんだって。


それはとっても難しくて、苦しいことなのかもしれないけれど。


でも――だからこそ、絶対に逃げちゃダメなんだと思うの。


自分の生きている国や社会が壊れていったとしても、それでそのまま自分の人生が終わるわけじゃないんだから、可能性が残っている限り、一人の人間として――大人として、強く生きていかないといけない。


周囲の環境がおかしなことになっていても、それに引っ張られて、自分の心まで腐っちゃう必要なんて……欠片もないし、そんな生き方ずっとしていても、自分が苦しいだけだから。



 だから私。

もう、都合の悪いことから目を反らしたり――捨て鉢になったりしないで、これからは希望を持って生きていきたいと思う。


 これが、私があなたとずっと過ごしていてようやく気づけたこと。

あなたの生きざまを見て、私が自分で見つけた教訓。


おかげで、私はもう大丈夫。

――本当にありがとうね。タナカさん。






―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――






「何を言っていたかはさっぱりわからなかったですにゃ。自分はず~っと様子を見ていたけど。なぜか“使いかけの汽車の往復券”を握ったまま夕日を見つめて~、丘を吹き抜ける熱~い風と一緒に、ログアウトしていっちゃいましたにゃ。毎日ログインしていたはずなのに、夜になってもずっと戻ってくる気配がないしー。現実(リアル)が忙しくなって、課金を止めちゃったのかもしれませんにゃ」


ネコニャンの言葉に、クリアがぽつりと呟く。


「まさか――あのケッコさんが、ゲームを引退する日が来るなんてな………………」


「クリアさんがそこまで感慨深げに呟くだなんて意外ですにゃ。あの人のことだし、そのうちひょっこり戻ってきそうですけどにゃ~。――あ、そうだ。レットさんには、ケッコさんから伝言を貰ってたんですにゃ」


レットがネコニャンから、封をされた手紙を受け取る。

その間も、クリアは考え事をしているのか自分の後頭部を撫でながら呟いた。


「………………とにかく、レットが一人でデモンに会いに行くとして――残された懸念事項は、やっぱり……その――――タナカさんのことだろうな。聞かれて困ることがあるかもしれないが、お前には何とか――誤魔化してもらうしかない」


不安そうにクリアがレットを見つめる。

しかし、レットはクリアに対して力強く頷いた。


「…………大丈夫です。オレ、取り乱したりしませんよ。オレは、自分自身の為に――あの娘の為に――ずっと戦ってきました。だから最後まで、自分がするべきことをするまでです」


そう言いつつ、レットはケッコからの手紙を開く――



※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ 




「“フェアリーの女の人”は、ゲームから居なくなっちゃったんだ。ネコニャンさんは――仕事が忙しいからって、ここには来れなくて。それで、タナカさんは――」


レットは天を見上げて、大きく深呼吸してから――抱きしめているデモンを見つめた。












「タナカさんは――“どうしても、やらないといけないことがある”って――、一人で旅に出たんだ!」


「………………旅に?」


「そう! とっても立派な人じゃないと辿り着けないような――――――凄い場所に、一人で出かけに行ったんだよ。オレがどれだけ時間と労力をかけても、いけないような“遠い場所”。他の人には決してこなせない――――“大切な目的”を果たすために!」


レットは真摯な表情でデモンを見つめる。

そんなレットを見つめてから、デモンは目を瞑り再びレットの胸に顔を埋めた。


「………………私には、よくわからない。でも――――――タナカなら、きっと目的を果たせると思う」


「――そうだね」


「……レット――やっぱり私………………」


デモンがゆっくりと目を開けて、レットを見上げる。


「…………やっぱり………………“寂しい”………………また、すぐに――レットに――――皆に会いに、この世界に来ても良い?」


その言葉を受けて、レットは再びデモンの頭を右手で優しく撫でる。






※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ 






レットがケッコからの手紙を読み終える。

ネコニャンは床に座り込んだまま、インベントリーから大量のパーティグッズを取り出して黙々と積み上げていた。


「はぁあ~。こんなに用意したのに、残念ですにゃ。“別れの会”をちゃんとやりたかったですにゃ~」


「“別れ”の会ねぇ……。俺は、色んな意味でやるべきじゃないと思いますよネコニャンさん。そうだ! レット、知っているか? オンラインゲームには、実は昔からこんな“ジンクス”がある。プレイヤーが、ゲームを引退する時に――」




※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ 




「――デモン。知っているかな? オンラインゲームっていうのはさ。辞める人が派手に引退の宣言をしたり、別れの会とかを盛大に開くと、す~ぐ戻ってきちゃうんだって。逆に、別れの挨拶をしないでいきなりいなくなっていった人はず~っと戻ってこない。そういうジンクスがあるんだって、クリアさんが言っていたんだ」


「どこかで――聞いたことはある」


「でも、そうやっていきなり居なくなってしまった人でも、何年か経ってからひょっこり同じゲームで出会えたりするんだって。それはきっと――――『大切な思い出』が心の中にあるからなんだと思う」


「大切な――思い出?」


「そう――思い出! オレも会えなくなるのは悲しいことだと思うけど――やっぱりデモンには、この世界の中で手に入れた『思い出』を糧にして、新しい現実の世界で――自分の人生を生きてほしいかな! もちろん、選ぶのはデモンだけど!」


デモンは、悲しみを堪えるかのように目を瞑って胸に顔を埋める。

そんなデモンを見つめて、レットは不意に言葉を紡いだ。


「………………デモンは前。オレに、質問をしたよね。『世の中に居る人達は――――悪い人と善い人。どっちが多くて正しい? ……どっちが、人の本当の姿だと思う?』って」


「そう――私……確かにレットに聞いた」


「あの時オレは“わからない”って答えたけど――今は、違う答えが言える気がするんだ」


デモンが目を開けて、レットを見上げて首を傾げる。


「ひょっとすると、世界の中で悪い人の方が多いように見えることがあるのかもしれない。世の中全部が、冷たいように見えてしまうこともあるのかもしれない。でも、それはやっぱり物事の“一面”なんだよ。きっと人って――――人生で誰と出会って――――誰と知り合えたかで、世の中の見え方や、生きている世界そのもの変わっていくんだと思う。それを理解したうえで――やっぱりオレ。世の中には“善い人が沢山いてくれる”って信じたい。そして、それが“オレが見る本当の世界の姿なんだ”って――信じて生きていこうって決めたんだ」


そこで、レットはおもむろにデモンを撫でる“右手”をじっと見つめた。


「だからきっと――オレはこれからどんな理不尽なことがあっても、めげずに進んで行けるんだと思う。だって――人からしてもらった、『心の底からの善い行い』とか、『優しい思いやりの気持ち』って、いつまで経っても大きく心に残ってくれるはずだから……」


デモンがレットを聞いて、ゆっくりと頷く。


「……分かった。私も、頑張る。皆に優しくしてもらった思い出があるから――新しい世界で……頑張ってみる。すぐにレットに会いに行きたいなんて――――言わない」


それから、不安げな様子でレットを見つめる。


「でも――私が現実で頑張って、幸せになれた時に――またこの世界に戻ってきて良い? レットと……また遊んで良い? その時に、レットは――この世界にずっと居てくれる?」


レットがデモンに頷く。


「オレは、ゲームを続けるつもり。もちろん、四六時中ってわけにはいかないけどね。この世界の中じゃ、多分オレはどうやったってヒーローにはなれないし。ゲームはどこまで行ってもゲームで――“楽しむのが一番”だし! 何より、現実が一番大事だってことを見失っちゃいけないって今になってよくわかったから……」


デモンの頭から右手を離して、レットは握りこぶしを作る。


「だけど、“新しい目的”も出来たし。もう少しだけ――この世界を見て回るつもりなんだ。いつか、オレも現実に還る時が来るのかもしれないけど。でも――それは今じゃない」


レットはデモンの両肩に手を当てて、僅かに腰を落として目線を合わせる。


「――とにかくさ。オレのことを忘れないでいてくれたら――デモンが現実で本当に幸せになれた時。オレ達この世界の中で、きっとまた会えるよ――約束する!」


デモンはレットはしばらく見つめて、それから頷いた。


「わかった――レットがそう言ってくれるのなら……私……もう――寂しくない」


二人は距離を開けて、お互いの顔を見つめる。


「もう……時間だから……そろそろ私――行かなきゃ」


「……そっか。じゃあ、これでお別れだね」


「レット――」


「……………………なに?」













「あ……………………あ―――」


少女が呟いてから、ゆっくりと――ゆっくりと自らの表情を緩めていく。






































「―――“ありがとう”」








それはゲームのエモートによるものではなかった。

たった一度だけ、少女がこの世界で少年に初めて見せた――――“本物の笑顔”だった。

感謝の言葉と共に、ログアウトが開始される。

少女の身体が、光の粒子となってこの世界から消えていく。


「…………………………」


レットはそれからしばらくの間、薄目でデモンが立っていた居た空間を見つめていた。


それからゆっくりと、右手を伸ばす。

蛍のような光の小さな粒の一つを右手で撫でる。

光の粒は舞い上がり、青空に向かって消えていく。

少年は天を見上げて、目を瞑って大きく息を吸う。




書置きとしてケッコの残した“最後の言葉”が、少年の中で思い返された。











『――少年へ。


優しいあなたは、皆や私がお別れを言わないで離れていくことに異を唱えているかもしれない。


でも、これで"良い"のよ。


特に他のメンバーと違って、私みたいな吹き溜まりに居る爪弾き者はあの娘の記憶の片隅にすら残る道理もない。


私のような存在はいずれ“忘れ去られて良いもの”なの。

そう考えると、タナカさんがあなたの隣に居られなかったことだけが、とっても残念だけど。


やっぱり、あの娘のこの世界の『最後の記憶』は――“自分の傍にずっとずっと居てくれた人との大切な思い出”であるべきなのよ。


有終の美を飾る。一番美しい思い出であるべきなの。


あの娘は、これから前を向いて自分と向き合って、現実を進んで行くことになる。


今までのあの娘の置かれていた状況を鑑みれば、これはとっても幸せなことよ。

だけどもちろん、辛いことだってあると思う。


そんな時でも、この世界の中で皆とあなたがあの娘に残した美しい思い出は、あの娘の傍にずっとず~っと居てくれる。

きっと、いつまでもあの娘を励ましてくれるはず。









だから、あの娘と悔いの無いお別れが出来るように――――祈っているわよ。少年♪』




太陽の熱を僅かに帯びた、涼しくも暖かい心地よい風がどこからともなく吹いてきて――目を瞑る少年の頬を優しく撫でた。











――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――










「――どうしても、行くのか?」


草臥れた様子のクリアがハイダニアとメレム平原の境界線に立って、地面に座り込んでいるレットを背中を見つめる。


「まさか、お前がここまで意地を張るとは思っていなかったよ。調べた限り、怪しげな情報も新しく入ってはきていないから――俺もこのゲームが“安全になった”ってことは信じるつもりではある」


浮かない表情でクリアがレットの背中から視線を逸らす。


「だけど……あんな怖い思いをしたんだぞ? 俺はもう、お前はゲームを引退しても良いんじゃないかとも思っていたんだが………………まさか“一人で旅を始める”だなんて……」


「許してくださいクリアさん。もう――心に決めたことなんです!」


装備品のチェックを粗方終えたレットは、立ち上がって首元のスカーフと頭のバンダナを結び直す。


「しかも、俺との“護衛者の専属契約も切る”と来た! 旅の同行まで――断ると来た!」


「それは“当たり前”ですよ。ハイダニアに来たのはクリアさんのチームに入れてもらうためだったわけだし。これ以上オレのために四六時中、一緒に居てもらうわけにはいきませんよ。クリアさんだって――大切な現実(リアル)があるんだから!」


レットの主張を受けて、クリアが地面を見つめる。


「確かに――――――そうかも……………………しれないが………………」


「よし――準備オッケー!」


最後にレットがインベントリーからアイテムを取り出して、背負うように装備する。

立ち上がって、眼前に広がるメレムの平原を見つめるレット。

その背中を見つめて、クリアが呟いた。







「タナカさんの持っていた小さな盾の“持ち主を探す旅”――か」


レットは自らの背中に、小さな盾を背負っていた。


「どうしても、止めるつもりはないんだな?」


「――はい。オレが“自分自身で決めたこと”です。タナカさんはそんなことをする必要はないって言っていたけど――オレ自身が、この盾の持ち主に会ってみたいと思ったし……。タナカさんの死に……オレ自身が、きちんとした形で向き合いたいと思ったから……」


「そうか――お前がどうしてもやると決めたことだ。俺は何も言わないし……言えないさ。しかし……そうなるとお前とは――いよいよ“ここでお別れ”ってことになるな」


レットが振り返って、クリアに頭を深く下げる。








「クリアさん――今まで本当に……お世話になりました!」


「………………辛気臭い空気は好きじゃない。俺は、長ったらしい別れの挨拶は言わないさ。……………………あばよ――――――――レット」


それだけ言って、浮かない表情のクリアが後ろ手に手を振って早々にレットから離れていく。

去っていくクリアの背中を、レットはしばらくの間見つめていた。
















 平原を歩き始めた直後に、レットは僅かに後悔した。


(やっぱり、無茶なことを言っちゃったかな)


無理な冒険を始めてしまったという自覚があった。

クリアの不興を買ってもおかしくないと思った。

彼に対して、きちんと感謝の言葉を伝えられないまま別れてしまったことを悔いていた。


(オレ――――意地張って、嫌われちゃったかもな。それもしょうがないよな……。クリアさんには無茶言って……何時間も話し合って……ほとんど喧嘩別れみたいになっちゃったし……)


メレム平原を進みながら、レットは最後に一度だけ振り返る。

何度も見て来た、ハイダニアの王城が見えた。




『戻るべき場所はもう、どこにも無い』


その事実を自覚して、少年は再び落ち込んだ。


足を止めてはいけないことが分かっていても、どうしても足が動かない。

周囲に誰も居なくなってしまって、“隣に立っていた人”は最早誰も居ない。

本当の意味で独りぼっちになってしまったことを自覚して――だんだんと寂寥感ばかりが大きくなっていく。


(駄目だ。駄目だ……オレが自分でやるって決めた事なんだ……足を止めちゃ………………)


それでも、今まで感じた事の無いような心細さに少年は思わず涙を零しそうになってしまう。



地面を見つめて――





























「〔あ、そうそう! そういえば。お前がこれから向かう新地方についての説明なんだが――〕」











――まさにそのタイミングで、何事も無かったようにクリアがアドバイスを飛ばしてきたため、レットは思わず吹き出してずっこけた。


「〔くくくくく、クリアさん!? さっきのやり取りって、“二度と会わない”的なお別れだったんじゃないんですか!?〕」


「〔――なわけないだろ! この世界は“ゲーム”なんだぞ? 遠出したくらいで今生の別れになるわけがない。元メンバー達は“別れる”って認識すらないから誰も来なかった。俺も『別れるつもりなんて最初からないから、別れの挨拶をしなかった』ってこと! ホラ――まんまと騙されたろ?〕」


レットの耳に、大きな笑い声が聞こえてくる。


「〔そ……そんな――〕」


言葉に詰まって、レットは涙を流す。

しかし――それはもう悲しみの涙ではなかった。


「〔――安心しろよ。そして心配するな。いつでもどこでも、困ったり、本当にヤバいと思ったらすぐに俺に連絡をしろ。俺の可能な限りの範囲で協力もするし、駆けつけるさ! “頼れる兄貴分”――俺は結局、その程度しか役には立てなかったが、逆に言えばどんなことがあっても今後その役目だけはやり遂げるつもりでいる〕」


(この人は――――――本当にもう……“意地が悪い”んだから………………)


「〔レット――お前が持つことを決めたその盾はとっても小さい。だから、背中に装備しておくことは容易だろう。だけどな――お前にとって、その盾が“重く感じる時が来るかもしれない”。もし、それが手に余るようならその時は俺を頼れ。“半分だけ”持ってやる。――“半分だけ”な?〕」


少年は立ち上がり、流れていた涙を咄嗟に拭って答える。


「〔……わかりました。何かあったら、教えてもらった通りに……オレ、いつでも必ず連絡します!〕」


「〔約束だぞ! “良い冒険を楽しめ!” そして、どうにもならなくなったときは仲間(オレ)達の出番だ。確かにずっとソロで旅をするのも良いかもしれないが、『時には協力しあってこその、オンラインゲーム』――だろ!〕」


「〔はい――ありがとうございます。クリアさん!〕」


もう地面を見つめることはしない。

少年は満面の笑みで天を見上げて、青空に対して“緑色に染まる右手”を掲げる。

掌に太陽の暖かさを感じてから、強く拳を握りしめる。

目を瞑って、握りしめた拳を胸の前で構える。


少年の中で、懐かしい思い出が走馬燈のように蘇ってくる――










―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――









『初めまして。頭の上に出ている“名前”を直接観てくれれば分かるだろうけど、俺の名はClear・All。クリアと呼んでくれ』


『キャットはかわいいんですにゃ! このセクシーな見た目はナウなヤングにバカウケなんですにゃ』


『そもそも糖尿病じゃないし、可愛らしい動物と子ども達が世界にいるかぎり、私まだ死ねないわ。――そういう事で、よろしくね。レット少年!』


『……吾輩の名はLuxe(リュクス)。“Mr.レット”。貴公の轟く自己紹介は先日、聞かせてもらったよ』






『……ワハハハハハ! 勘弁してくれ! 緑の塗料は安いんだよ。“ケパトゥルスグリーン”だ。タナカさんから強奪した装備ってことで丁度良いだろ!』



『いや、助けて下さいにゃ!!!! 一人にしないでくださいにゃあ゛!! 扉を開けて戻ってきてくださいにゃ――――――はよ開けえや!』









『よろしくお願いしますー。ほんわさびですー。ワサビと呼んでくださいー』


『俺の名は。Tetswo(テツヲ)Goddess(ゴッデス)。テツヲはまんまテツヲっていう意味や。んで、ゴッデスっていうのは。アメリカ語で、最上級の神って。意味や』


『ああん? やんのかテメエ! なら早速タイマン乗ってやんよ!! とりあえずオラァ!』









『そう……これぞ“クリア”ですにゃ。“クリア式銀紙”ってヤツですにゃ』


『ふむ。流石。クリアの“弟子”やな。将来が、楽しみや』


『うわああああああああああああああん! わざとじゃないんです本当にごめんなさあああああああああああああああああああああああああい!』








『“皆殺し”や――今から用意すれば。晩飯までには。終わるやろ』


『やったぞレット――――“俺達”はやったんだ!!』


『昔の懐かしい思い出さ。吾輩も同じだ。……君の必死さと純朴さのおかげで思い出すことが出来たのだよ。この世界の中で、互いに手を取り合い助け合うということの大切さをな……』








『にゃ~――にゃ~――――――――――にぃ~。にぃ~!』


『っかしいだろ!! いずれにせよ劣徒より下じゃねえか! 何でコイツが“パパ”でオレが“兄”なんだよ!!』









『――こんなところで、何しているんだ!?』


『こんな辺鄙な厩舎に、一体誰だと思って外を見たら、見知った顔が棒立ちしていたから驚いてちょっかい出したんだよ。――どうしたどうした。表情暗いぞ?』









『心配しないで少年。ちゃんとした大人たちはね。私なんかより遥かに暖かくて優しいの。皆で力を合わせて、きっとあの娘を助け出してくれるわよ』











『……レットは私にとって――暖かい太陽なのよ……。朝になって……夢から覚める時に……私を照らしてくれる優しいお日様みたいな……安心できる……とっても大切な人なの。だから私ね……大切なレットに元気になって欲しくて……私の覚えている歌――ほとんどないけれど……レットの為に歌えてよかった……』


















『『サプラーイズ!!』』



『ほぉ~! “あんてーく”で立派な写真機ですにゃ? 折角だし、皆で集合写真でも撮りましょうにゃ!』



『レット、お前に言い忘れていたことだが――――“誕生日おめでとう”』









『…………話は、聞かせてもらったよ。――他ならぬ我が友人《Daaku・Retto》に危機が迫っている』


『さて…………試練に耐えうる為の、最上級の戦闘準備(テイスティング)を始めよう。要望(オーダー)を聞かせてもらおうか?』






『デモンは。大事なオレのチームメンバーや。黒幕とやらが舐め腐りやがって。レット。『ゲーム』だろうが何だろうが。お前にとって”憎い敵”が出てきたら。容赦せんでええ。派手にぶっ殺して――――――ここに戻ってこいや!!』













































『レットさん――――今まで一緒に、いろんな冒険をしてきましたね。パーティを組んで、大陸を渡ってチームに入って――皆さん実に個性的で、面白可笑しな方々で――それでも本当はとっても、お優しい方々ばかりでした』















『きっと――貴方なら、大丈夫ですよ』









―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――









突然――少年を応援しているかのように、少年の背中に心地よい風が吹きつける。


「よし――――――――――――行こう!!」


もう振り向くこともしなければ、地面を見つめることも無い。

目を開いて、前を見据えた少年が地面を蹴って、力強く駆け出す。

走り出してからも速度を落とすことなく、力強く駆けていく。








走っていく少年がどんどん、どんどんと遠くに離れていく。












そうして、勢いを止めることなく。

少年は自らの身体を吹き抜ける強い追い風と共に――地平線の彼方に消えていった。























挿絵(By みてみん)








――少年の、新たな旅が始まる。











Thank you for reading!(ここまで読んでくれてありがとう!)

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