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VRMMOセンキ  作者: あなたのお母様
第三章 青空へ向かって
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第三十一話 悪辣なる者達により切り開かれし活路

 かくして、チーム会話を経てレットはクリアからデモンの持っていた花の意味を改めて知らされることとなった。


《それでレット――攻略はどのくらい進んだんだ? 上手く行けそうか?》


《結局、きつかったのは序盤だけでした。ネコニャンさんと、ワサビさんのアドバイスのおかげでボスを召喚するキーアイテムの収集がついさっき終わった所です。アニムスも集め終わったし、今は移動中で――後はボスと戦うだけです》


《……もう間もなく『ゲーム』が始まるってことか。レットもタナカさんも、【暗黒の影花】について気づいたことがあったら何でも発言してくれ》


《クリアさんあの――実は……さっきから――タナカさんの体調がどんどん悪くなってきていて……》


先頭を歩くタナカの呼吸は荒く、その肩が激しく上下していた。

タナカはその状態で、トヴとイートロに怪しまれない範囲でアイテムの情報を何度か手元の羊皮紙にメモしている。


少し間をおいてから、クリアの返事が返ってきた。


《――そうか……無理もないな。事件が始まってからタナカさんは、ほとんど出ずっぱりになっている。睡眠不足による疲労だけじゃない。気を張った状態が長期に渡って続いている。雪山の時でも気を張って俺に睡眠を譲ってくれていたからな。タナカさん――――――まだ行けそうかい?》


《………………大丈夫です。ご心配には及びません……。今無理をしなければ――――いつ無理をするのか………………》












《レッ――……。……………………ナカ》


チームの会話で聞こえるはずのないその人物の小さな声に、レットは動揺した。


《デモン!? い、一体どうしたの!?》


《………………二人とも………………ずるい。私に何も言わないで………………………………私の為に戦ってくれている――――――――なんて…………………》


いつものデモンとは明らかに“沈黙の質”が違った。

その弱々しい口調が――レットの脳裏に、消えかけの蝋燭の火を想起させた。


《必ず――――――戻ってきて。それまで私…………》


嫌な予感があった。

レットの中にあった『続きを聞きたい』という感情に対して『これ以上無理に喋らないでほしい』という想いが湧き始める。


《が――――――――が――“頑張る”から》


《デモンさん。……ご心配には及びませんよ》


タナカが穏やかな声でデモンを宥める。

動揺する素振りを一切見せなかった。


《デモンさんは、レットさんとワタクシが必ずお助けします!》


《そうだよ! 心配しないで! 必ず戻ってくるから!》


《わ…………………………私……。二人に…………………………色んな物を――――――――貰ってきた。――――け…………ど、私は――――――――――何も渡せて……ない。レットには…………誕生日プレゼントだっ――――――て。なのに………………………………二人にはいつも……私に…………》


レットは、彼女を勇気づけてあげたいと思った。

彼女を、励ましてあげたいと思った。

だから――


《何言っているのさ! ……プレゼントなら“もう貰ってる”よ!》


――少年は、チームの会話で叫んだ。


《デモンには“新しい戦い方”を教えてもらったじゃないか! それだけじゃない! デモンとずっと一緒に居て……大切なものを気づけたんだ。このゲームの中での……オレの戦う目的を……この世界の中での自分の在り方を見つけられたんだ!》


《在り……かた……》


《そうさ! 『目の前で困っている人を助けたい』っていう想いを――戦いの理由を――見つけることが出来たんだ! それが――オレにとっての……デモンからの一番の特別な贈り物なんだよ! だから……だから待っていて! その想いで……必ず――オレは君を救ってみせるから!》





《……二人と……も………………………………………いつ………も………………………本当に――――――――――》










《ちょっと。ちょっとぉ! ………………た……大変ですにゃ!! 起きたばかりのデモンさんが、気を……失ったみたいに………………動かなくなったにゃ!! ――ワサビさん!》


《い、意識がありませんっ!! デモンさん? デモンさんっ! しっかりしてください!!》


ワサビとネコニャン。

普段穏やかな二人の切羽詰まった声に併せて、チーム会話からメンバーの混乱の様相が伝わってくる。


(だ、駄目だ……駄目だ……まずいぞ。このままじゃ………………………………………………)


レットはかつてない焦りを感じた。



しかし――






(ち――――――“違う”ッ! オレがここで慌てて取り乱して一体何ができるんだ! 今オレがやるべきことは慌てる事なんかじゃない! 一秒でも早く――急いでこのルートを踏破して『ゲーム』を開始すること――ただそれだけ!!)


レットは歯を喰いしばって平生を保つ。

膝に手を当てたまま、顔を上げたタナカと目を合わせて頷く。


[いや~いよいよボスだな!]


レット達のチームの会話が、パーティの会話で遮られる。


[最初はどうなるかと思ったけどよ。要領さえ掴んじまえば、結構何とかなるもんだな!]


[う……うん! 準備完了だよ! さっさと皆で倒しちゃおう!!]


[やけに気合入ってるな~。よし! それじゃあ手に入れたキーアイテムで、ボスを召喚するぜ!]


《クリアさん! [K-2]の湖の前に到着しました! ――これからボスと戦闘を始めます!!》


チームに報告を入れた直後、レット達の目の前に灰の塊のような表皮を持つ機械式の巨人が現れた。





―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――




レットとのやり取りを終えた直後、咄嗟に立ち上がった俺はデモンの居る部屋に入ろうとして……そのまま座り込んだ。

恐怖で、震えが止まらない。

しかし、それでも――


(――違うな。これは俺がやるべきことじゃない……! もう“時間が無い”。ここがラストチャンスだ! ――何かを見落としている気がする。今までの冒険で……レットがあの娘と過ごしたことで手に入れることが出来た情報――それを全て纏めてみるんだ。デモンを現実で救出する策を見つけるのはもう今しかない! 何か……あと少しで思いつけそうなんだ。……何か一つ。何か……後一つでも情報があれば――――――待てよ?)







《ケッコさん。ちょっと待ってください!》


俺はデモンの居る部屋に入るか迷っているケッコさんを慌てて制する。

持っていた羽ペンが自然と手から零れ落ちた。






《…………………………ベルシー。レットも言っていたがお前――『結果的に役に立つ』もんだな。――レットもタナカさんも戦いながらで良い! 話だけ聞いておいてくれ!!》


《――あぁ? どういう意味だよ》


《お前のお陰で、デモンがレットと今のやり取りをした――そして、気づいたんだ。デモンは雪山を登り終えた後に“大切な人から『大切なアイテム』を貰った”と言っていた。俺の推理ではあの娘の親族は、彼女にゲームプレイヤーとして期待をしていた。だからこそ剣を与えて、一緒に山を登って、彼女のキャラクターを鍛えたのだと考えていた。だから『大切なアイテム』と聞いて、俺は彼女の家族がデモンに対して、“ゲームを遊ぶ上で直接的なアドバンテージになりうるアイテムを与えた”んだと考えていた》


俺の言葉にリュクスが深く頷く。


《その通りだ。だからこそ、吾輩と貴公は彼女の家を調査し、貴重な物品の所在を特定しようと試みたのだ》


《だが――もしも、そこで俺達が『大切なアイテム』の“意味そのもの”を勘違いしていたとしたら?》


ケッコさんが首を傾げながら俺に質問する。


《つまり――“大切”の意味自体が違うってこと?》


《そういうことです。ゲーム内のアドバンテージではなく。親族が彼女に対して大切な“特別な思い出や、概念や、メッセージ”を与えた可能性だ! もしかすると、デモンの家で見つけたあの異質なキーアイテムである【暗黒の影花】こそが――――彼女の家族が渡した“彼女にとっての大切な物品”なのかもしれない……》


ケッコさんが自分でwikiを取り出して【暗黒の影花】の項目を調べ始める。


《あの少年とあの娘のやり取りに倣って例えるなら――“心にこの花を持て”とか。“この花を心に抱いて戦え!”とかそういう感じになるの? もしくは――“きれいな花みたいに扱って欲しい”とか? ――何か、いまいちしっくりこないわね……。そもそもあの娘の家族って、話を聞く限りかなりのロクデナシだと思うんだけど……》


《その通りです。――デモンの家族はおそらくかなりのロクデナシ。つまり、レットがデモンとやり取りして得た物とは真逆の性質、“マイナスの感情”が込められている可能性がある》


えげつない連中の考えることはいまいち俺はわからない。

だからこそ――


《ベルシー……お前はどう思う?》


――俺はベルシ―に問いかける。


ここでコイツに質問をしたのには理由がある。

ベルシーとは長い付き合いだが、発想力や創造力という意味で頭が良いと思ったことは一度もない。

だから、天才的な推理をしてもらいたくて考えを聞いたわけではない。






“ただただ考え方がえげつない”のだ。




事実、ベルシーは既に自信ありげな笑みを浮かべていた。


《何となくだがよ――オレにはわかった気がするぜ。あの餓鬼の親――ロクデナシ以下のカスだな。もう一度そのキーアイテムの説明文を確認してみろ》





『【暗黒の影花】。無印中期の【XX年XX月XX日の大規模アップデートで多数追加されたレイド】のうちの一つである【傀儡の姫君】という名のレイドをクリアするとパーティメンバーの全員が入手できる。


実装当初から他レイドで手に入るキーアイテムと同様、用途は不明だった。


当該レイドの実装当初は、その高すぎる難易度と事前解析により判明していた”得られる報酬のあまりの少なさ”から、同時期に多数実装された他レイドと比較しても、率先して挑戦しようとしていた団体がほとんど居ない有様であり、所得団体数は全サーバーの中で大凡一桁程度だったとも言われている。


この花を渡してくる“NPCの少女”には当時名前が付いておらず、当時の難易度と報酬の見直し、そして急遽行われたシナリオの大幅修正のあおりを受け、エールゲルム上からその姿が完全に消え去ってしまったという独自の過去を持っている。

その結果、奇妙な話だが“現状では入手できず使用用途が未だに無いキーアイテム”となってしまった。


本作では用途の無くなってしまったキーアイテムは過去にもいくつか存在しており、それらのアイテムの例に倣って、【暗黒の影花】にも今後別の用途が追加されるものと思われる』






《確かに“意味を与える”っていうのならこれ以上ない最適なアイテムだよな。家族からすれば手の込んだ嫌がらせだな。【傀儡の姫君】っていうレイド名に、『名前もつけられないままゲームから完全に消滅したっていうNPCの少女』。つまり、あの餓鬼に対して“あえて”【暗黒の影花】を渡しておくことで『テメエの価値などその程度。自分にとってのただの操り人形。誰も知らねえし。どうでも良い』って意味を込めたんじゃねえのか? その上で、家族はこのアイテムを“あの餓鬼にとって大切な物”だとずっと“言い聞かせていた”ってこったな》


よほど衝撃を受けたのか、ケッコさんがベルシーの推理を聞いて絶句した。


《そ……そんな………………酷すぎるッ……いくらなんでも――そんなこと!!》


レットの怒りの声が俺の耳に聞こえてくる。


《……確かに俺も、前々からデモンをゲームに引き入れた人間はイカレてるとは思っていたがな。――【My princess】という皮肉のような名前を付けて“あんな装備と戦い方”をやらせている人間なんて元から普通じゃない。しかし、まさかこれほどとは……》


俺の言葉を遮るように、ベルシーが居間に躊躇なく唾を吐く。


《――――――つくづく“良いセンス”してるじゃねえか。そういう、嫌がらせみたいなことを家族があの餓鬼に日常的にしていたとするのなら、しっくりくる推理だと思わねえか? 他に候補が無いのなら、あの餓鬼が渡された“大切なアイテム”っつーのはマジで――この【暗黒の影花】なのかもしれねえな》


それはつまり、デモンと家族の“つながりを意味するアイテム”であるということだ。

深い考察をするのに値するかもしれない。


《しかし、その仮説には綻びがあると思わんかね? 【暗黒の影花】は、易々と手に入るような物品アイテムではない》


《確かに――そうね。私も同時期に実装された他のレイドに昔挑んだことがあるけど、どこも当時はそれなりの強さのプレイヤーを大人数集めないと突破できない難易度だったわ。……しかも、【傀儡の姫君】というレイドの報酬は事前に明らかになっていたんでしょ? 効率重視で統率の取れた廃人集団なら、それこそ“ロクでもない扱いのあの娘”の為だけにあの娘と一緒にこのレイドに挑む意味は薄いんじゃない? わざわざ野良でメンバーを集めるのだって大変なはずよ。しかも――実装から30分そこらでメンテナンスが入って【暗黒の影花】は入手できなくなっている。そうなると、気になるわね――他にこのアイテムを手に入れようとしたプレイヤーって、一体どんな人達だったのか……》


(【傀儡の姫君】という挑む価値の少ないレイドに、“あえて初日に挑んだ理由”――か)


そこで――


《ちょこっと“自慢”したかったんじゃないでしょうかー?》


――唐突にワサビさんが会話に割り込んできた。


《あ――えと、私も“ちょこっとだけ”そういう難しいレイドに挑戦する団体に参加していていたことがあったんですけどー》


《ワサビさん……それって――本当に“ちょこっとだけ”なんですかにゃ? ワサビさんが参加する団体とか絶対団体行動必須の廃人集団ですにゃ……》


《∑(しぐまっ!) と、とにかく『初日に自慢したい!』っていう理由で、挑戦者の少ないレイドにあえて挑戦しようとするリーダーさんが居たんですー!》


なるほど。“自慢の為”ということか。


《自慢の為にレイドに挑んだ人間が居て、結果的に【暗黒の影花】をパーティに居たデモンが手に入れた。つまり、『デモンがそれなりの強さのプレイヤーの団体にかなりの確率で属していたということになる』な。実際、彼女が装備していた防具や武器、アイテム等を見ると、それなりの強さの団体コミュニティに属していたというのは間違いないとは思うが……。なあ、リュクス。その観点から調査はしたのか?》


レイドや強いモンスターに挑むような廃人集団は必ず“ゲーム内外で自分から募集を行っている”はずだ。

何の痕跡も残らないわけがない。


《――抜かりなく行った。いくつか団体を特定したが、それらの団体や野良の募集に、彼女が参加していたという痕跡は全くない……。路地裏の落書き《外部掲示板》で、何らかの痕跡が見つかると踏んでいたのだが……》


《妙な話。やな》


部屋の隅で棒立ちしていたテツヲさんが呟く。


《廃人は。妬みの感情から。必要以上に。恨みを買いやすいもんやろ。デモンの名前は。見つからんのか? 俺なんて。廃人でもないのに。四六時中名前を。晒されとるで》


《…………テツヲさんは素行がアレだから、晒されるのは“必要以上”でも何でもないですにゃ》


しかし――テツヲさんの言う通りだ。


『そういうコミュニティに属している』というだけで廃人集団に属しているメンバーのリストが意味も無く掲示板に晒されることはよくある話だ。

デモンの本名が『廃人集団』として掲示板の端に晒されていてもおかしくはない。


《じゃあ……つまり、こういうこと? 『あの娘は一般的な廃人プレイヤーの団体にも属していなかったのにマイナーなレイドにあえて挑戦――クリアしていた。そして身内からキーアイテムを“とても大切なもの”として貰っていた』》


《一体どこの連中と協力してたんだよ? ――まるで、何もないところからとってつけたように沸いた神出鬼没の謎集団だな。わけわからねえ連中がいるもんだぜ! 結局、手詰まりってヤツじゃねーの?》














『とってつけたように沸いた神出鬼没の謎集団』










ベルシーのその言葉が俺の頭の中で反響する。

自分の中で思い返されたのは、あの日の“闘いの夜”。






※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※



『そんな……そんなことが……。今になって……今頃になって増援だ! ……後ろから来る‼︎』


『ふざけんじゃねえよ! どんだけいるんだ――ありえねえだろ!』


※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ 











(――とってつけたように沸いた“神出鬼没の謎集団”……?)




―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――





 激戦の最中、レットはそれでも僅かな隙間時間を見出して、デモンの為に思考を割き続ける。


《――まるで、何もないところからとってつけたように沸いた神出鬼没の謎集団だな。わけわからねえ連中がいるもんだぜ!》









『わけがわからない連中』







そのベルシー言葉がレットの頭の中で反響する。

思い返される一つ目の情景は――雨の日に、クリから“とある集団”について教わったあの日。


※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※





『ただでさえ顔で特定されやすいゲームだからな。個々の違いが分からないように名前をぐちゃぐちゃにしておくわけだ。例えるなら“俺が倒したレットという名前の奴の種族はヒューマンで、髪色は黒の少年だった”って覚え方ができないから、名前が変わっても記憶に残りづらいんだ。“なんかよくわからん名前のよくわからんプレイヤー”になる』




※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ 







二つ目の情景は――少女と話し合って、自らのフラッシュバックに苛まれた山の頂。








※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※



『間違いない………………私………………昔に――……ここに来た。よく――よくわからない人達と………………――一緒に何度も戦っていた。広場の中央にドラゴンが居て……――それを………………囲んでいる。名前が……わからない……見ているはずなのに、覚えていないの…………』



※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※





(――“わけがわからない連中”?)




―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――




《クリアさん。もしかして――――――――――――デモンとその時一緒に居た連中って“業者”なんじゃないですか!?》


レットが、自分の考えと全く同じ“可能性”に辿り着いていたことに俺は驚いた。


《すみません! 言い忘れていたというか、オレが雪山の頂上に居た時……“情報を伝えきれていなかった”ってことをクリアさんの推理でようやく気づけたんです――! デモンが雪山の頂上で、言っていたんです! “よくわからない人がドラゴンを取り囲んでいた”って! 名前を“見ているはずなのに覚えていない”って! クリアさんは大分前にオレに教えてくれましたよね!? 『業者は記憶に残りづらくて“よくわからない名前の、よくわからないプレイヤー”っていう認識をされやすい』って! ひょっとして、デモンは普段から業者と一緒に行動していたのかも―――》


その言葉で、俺の頭の中で一つの閃きが湧いた。


《そうか――――――――――よくわかった。わかったぞレット。お前があの娘と向き合い続けてくれていたおかげだ――ようやく…………解決の糸口が見えてきたかもしれない!》


《本当ですか!?》


《ああ――しかし、今はボス戦中だろ。お前は戦闘に集中しろ。後は“この場に居る俺達で何とかする”》














「――ありえないわ!」


レット達の戦闘の集中の妨げにならないようにか、ケッコさんが即座にこの場で大きな声を上げた。


「業者って、用途のはっきりしない価値のないアイテムの入手って“専門外”でしょ? 大体が“ゲーム内で価値のあるアイテム”を“効率よく手に入れて売る”のが基本じゃない? 現実のお金が一番大切な連中が、あまり報酬の価値の無いような【傀儡の姫君】なんてレイドをたった一度、真っ先に踏破(クリア)するためだけに行動していたなんておかしな話よ! そんな普通じゃない依頼を受ける傭兵みたいな業者なんて私――」


そこまで呟いてケッコさんが息を飲む。


「“見たことがあるはず”です。大金積んで傭兵みたいに“長期間付き従う業者集団”。普通じゃあり得ないような業者を“俺達は一団体だけ知っている”はずだ」


「お――オイ……もしかして――“同じ団体”ってことなのかよ!? 例の連中と、あの餓鬼がかつて雪山で行動していた連中と――【暗黒の影花】をわざわざ初日に取った連中の属していた団体が!?」


「断言は当然無理だが、その可能性は高い。デモンの親族は【傀儡の姫君】を最初に突破したという“実態”が真っ先に欲しかった。だから業者に金を払って他人に見せられる【暗黒の影花】を手に入れた。そして――それを自分と同じく入手して、同伴していたデモンに対して“大切な物”だと伝えていた。デモンの家族はゲロ以下のクソ野郎みたいだが、その最低っぷりで墓穴を掘った可能性がある!」


「でも、だからどうなるわけ!? 関わっているのが“あの業者”だっていうのが分かった所で、何ができるって言うの!?」


















「――調べてもらうんですよ。情報を吸い出して“業者に関する全てを破滅させる達人”にね」


俺は、“レットと共に魔王と対峙した”あの時のことを思い返す――



※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ 






『あ……あのォ……質問をしても良い……ですか?』


『“一つだけ”だ』


『じょ……情報の特定って、最高でどのくらいのことができるんです?』


『自分の力の限界は最高で――そうだな。当該業者と契約している人間に成りすましさえできれば――取引サイトの内部に侵入して、業者に依頼した全顧客の個人情報をスッポ抜くくらいのことはできるよ』





※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ 




「このサーバーに居る狂人。あの【魔王】ならそれが可能だ! 実績もある! 魔王は言っていた。『当該業者と契約している人間に成りすましさえできれば――取引サイトの内部に侵入して、業者に依頼した全顧客の個人情報を抜き取れる』と!」


“出来るのか”と質問を投げかける者は居なかった。

魔王を知っている人間ならわかる話だ――そのくらいのことはあの狂人なら『やりかねない』。

犯罪だと異を唱える者も、少なくともこの居間には居なかった。

何分人命が掛かっている。そんなことは“今更”だった。


「手に入る情報は――デモンの家族のネットリテラシー次第だが……しかし、少なくともあの娘と同伴をしていたということは――その“サーバー”と“キャラクターネーム”の二つは確実に分かるはずだ! 【暗黒の影花】の依頼をした人間の情報を、魔王に調べてもらう価値はあるはずだ! そこで情報を得られれば、後は現実での特定――つまり、現実で活動できる立場に居る“ロックの仕事”になる。居ないようならテツヲさんに揉め事起こすなり自分でGMコールなりやってもらって強制的に呼び出せば良い! 可能性としてはほぼ0に近しいが、このまま黙って『ゲーム』に勝ったところであの娘の人生に未来はない! とにかく――やってみるしかない!」









「――無理よ」


ケッコさんが悲痛な表情で呟く。


「無理よ無理よ! 今度こそ絶対に無理! “可能性が低い”って、やる前に否定したいわけじゃない! クリアさんの提案は絶対不可能だってことがよくわかったわ! 『“契約”している人間に成りすましさえできれば』って……そもそも誰がその業者と直接やり取りをしたのかなんて、もうわからないじゃない! 魔王にだって成りすましのしようが無いわ! だって――だって――」


まるで――少女が僅かでも助かる可能性を自分で摘み取ってしまうことを躊躇するかのように深呼吸してから、ケッコさんが俺の推理の穴を指摘した。









「業者と契約して指示を出していたあの首謀者達――指示を出せる立場にあった二人組は、あの夜の闘いでゲームからいなくなっちゃったんでしょ!?」


















「もしも――――――――――もしも“業者とやり取りをしていた可能性のある人間”――そいつが、未だにゲームをしていたら?」


俺の言葉でぴくり――と、視界の端で帽子からはみ出たリュクスの片耳が動いたのが見えた。

どうやら、真っ先に気づいたらしい。


「もしもゲームをしていたとしても“所在がわからない”わ! キャラクターの名前を変えて、サーバーを移転した可能性だってあるじゃない! よっぽど“執念深く追い掛け回していないと見つけられっこない!” 今度こそ手詰まりよ!」


頭の中で、ごちゃごちゃになっていた情報がゆっくりと繋がっていく。

今の自分に焦りはもうない。

答えが近づいてきている予感がしていて――だからこそ恐ろしい程に、冷静で居られている。

















「じゃあ――――――――――『追跡と調査しているプレイヤー』が居たとしたら? 以前から“首謀者の片割れ”をずっとずっと調べていて、今――現実でもゲームでも追い立てて、今この瞬間にも”追跡”をしてくれていたとしたら?」


ケッコさんが信じられないといった様子で怪訝な表情をする。


「……………………居るんですよ。そういうことをずーっとやっている“異常なプレイヤー“と、それをさらに“追跡してまで監視して楽しもうとする悪趣味な連中“が。俺に一つだけ――宛てがあります。レット達の島攻略が始まる寸前で、俺が手に入れた情報が“ここで役に立つ!”」


邪悪な笑みは浮かべない。

ここから先は――笑えない程に邪悪な連中の話になるからだ。
















―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――




































ふざけやがって、俺様はこの程度の攻撃で負けやしねえ。



















 

 そうだとも、負けやしねえ。

この程度の攻撃を食らってもどうってことはねえ。

打ち砕くのが無理にせよだ……必ず回避する。

必ず回避して、俺様は活躍するんだ。

再び幸運にして最強の、正義の味方に返り咲けるに違えねえんだ。





正義の味方って何だったか? 何だったんだ?




 俺様は誰だ? 今どうしている? 何をそもそも回避するんだ?

俺様は誰のせいでこんなことになったんだ? 思い出せねえ。いや、思い出したくねえ。


分からねえ。今いる場所がわからねえ。現実がどこなのかわからねえ。……分かりたくねえ。


――声が聞こえていた。そうだ。声が聞こえてきたんだ。


最初に背中から聞こえてきていたのは『電車の発車の時に流れる駅のメロディ』だ。

俺様が聞き覚えのあるメロディだった。現実の俺様の最寄り駅で流れる曲だ。


次に時報の音だ。

『俺様が住んでいる地区の時報のメロディ』が背中から聞こえてくるようになった。


最後にインターホンだ。

『俺様の家のインターホンの音』が背中から小さく何度も聞こえてくるようになった。









そうだ。思い出した。

困った時は歌だ。俺様はいつも歌を歌うんだ。






「俺様は~――」




頭が回らねえ。

なんで自分の声が震えているんだ?




「俺様は~どんな時も……」


そうだ。

どんな時も……どんな時も………………震えが止まらねえ。






「そうさ!! 俺様は~どんな時も――」





















「※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※」


「やめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろォォォォォォオオオォォォォオオオオ!! お前が歌うな!! 俺様の背中で呟くな! 何も思い出したくねえ!! 誰も“俺”を見るな! 来るんじゃねえ! どこにも逃げられねえ!! これ以上背中で歌うのはやめろやめろ止めろ辞めろ病めろヤメロヤメロヤメロオオォォォォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!」








――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――







「今更ながら――【ゴールデンセルフィストのジョー】を良く発見してくれた!! 俺が手に入れていたのは、まさしくその情報だったわけだ!」


俺の話を聞いて、ケッコさんが唖然とする。


「……クリアさんがあの戦いの日に『何をやらかして窮地を脱したのか』はチームの会話で知っていたわよ。心底、ゾッとしたわ……。でも、それだけじゃなかった――。初めて知ったわ! 【例のアイツ】がまだ憑りついてて、憑りつかれた側も未だにゲームやっていただなんて!?」


「何となくですが、俺には予感がありました。あの夜戦った【ゴールデンセルフィストのジョー】は“自分が正しい”という思い込みが強くて“自分の勝ちを信じて疑わない”。長い間俺が行った最後の攻撃に抗って【例のアイツとぶつかり合う】ような――まさに炎上をし続ける、その典型的タイプ!」


「――なるほどな。クリア。お前が裏で。ずっと調べていた情報は。“それ”だったんやな。【例のアイツ】の行方を。探しまわっていたんか」


「具体的には、【例のアイツ】を追跡(スト―ク)していた連中のたむろしているネット上の場所コミュニティを探していました。新しい専用の掲示板を作っていたみたいで、俺がその場所を見つけたのが先程。まさに“連中”が【例のアイツ】の場所を見つけた直後でした。ずーっと裏で調べていた価値はあった! そう――」


勢いよく指を鳴らす。


「――ぴったりだ! ――【ゴールデンセルフィストのジョー】はこの状況下においてこれ以上無い程の“適役”だ。そしてジョーの背中に張り付いているであろう――【例のアイツ】と魔王の間には力関係パワーバランスがある!」


俺は、かつてレットに自ら伝えた言葉を思い返す。



※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ 






『この多数の通報をたった一人で行った“魔王”は、多数の人間を破滅させた“アイツ”に対して特定の業者を潰す“ついで”で真っ向から衝突し、その毒牙から唯一逃れることができた存在でもある。聞いた話では興信所に依頼して、なんの躊躇も無く“アレ”を現実で訴訟しようとしたらしい。“アレ”が手を引いたおかげで結果は引き分けになったがな』






※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※




「かつて、業者を潰すついでに現実での【例のアイツ】に対して訴訟沙汰にまで行った魔王なら、おそらく今回も何の躊躇無くジョーに会いに行ってくれるはずだ! 魔王はジョーに対して、『【例のアイツ】に対する抑止』を交換条件に、ジョーになりすます! その後、なりすました魔王が業者にコンタクトを取る! そうすることで、魔王が顧客情報を――デモンの関係者の情報を――業者から引き抜いてくれるかもしれない! 業者排除に命を賭ける魔王なら、そのくらいの交換条件は簡単に呑んでくれるはず!」


「オイ、クリア。お前……まさかそこまで見越して【例のアイツ】をあの夜に押し付けたのかよ? “後々役に立つ”って前提で」


「…………………………さぁ、どうだろうな?」


俺はベルシ―に、今度こそ意地の悪い表情で笑った。


「とにかくだ、これらの事情を、魔王のルールに従って嘘偽りなく伝えることができればデモンを救えるかもしれない。……急がなければ。情報によるとジョーの精神は【例のアイツ】に現実でもゲームの中でも24時間張り付かれ続けて壊れ掛かっている。このままじゃ“文字通りの廃人”になりかねない。そして、『ゲーム』に勝てたとしても、黒幕がデモンをゲームにログインさせ続けさせる保障もない。雲隠れされる可能性だってある!」


俺はアイテムのインベントリーから“栞”を取り出してテーブルに軽く叩きつける。


「でも、業者に【暗黒の影花】の注文をした人物の『個人情報の引き抜き』がうまくいくかどうかなんて保証はないじゃない!? 業者が“同じ”とは限らないわ! 情報を得られてもそれが現実で有効に使われるかの保証だってないし、そもそも魔王とやり取りすること自体がリスキーよ!」


「しかし、やるしかないんですよ! この“栞”を持って、魔王に交渉しに行くのはもちろん――」


『――自分だ』


と、言おうとしたまさにその時――












――自分の体が突如どこかに転送されていく。


(こ……これは『護衛者としての召喚転送』!? 馬鹿な!? よりにもよって、この最悪のタイミングで――レット達は一体“誰に襲撃を受けた“んだ!?)


「すみません! どうやら、レット達がプレイヤーとの戦闘を開始したみたいです。――自分が、もしもすぐに戻ってこないようなことがあったら、その時は――」


チームのメンバーに託すように叫んだ直後に、視界が暗転した。










――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――










そうして時間は、クリアがレット達の元に召喚される僅か前に遡る。


[よし! 踏破だ!!]


ボスを打ち倒し、パーティ会話で叫んだ直後にレットは逡巡する。


(トヴとイートロの目的は達成されたけど。どうやってこの二人と別れよう……これからいよいよオレ達の『ゲーム』が始まるから、何か良い方便を考えなきゃ――)


そこで周囲を見回してレットは絶句する。

トヴとイートロの二人が前のめりに砂浜に倒れ込んでいた。


[こ、これは一体何事ですか!?]


タナカが慌てて近くに居たトヴに駆け寄る。

唖然としていた状態から、我を取り戻してレットはイートロに駆け寄って砂浜に膝を落とす。


[ど、どうしたの!? 二人とも大丈夫?]


[…………………………]


目の前に倒れていたイートロが無言のままむっくりと起き上がり、自分自身の身体をまじまじと見遣る。












「ああ――何も、心配は要らねえ」


レットは自分自身の耳を疑った。

イートロの雰囲気が、まるで別人のように変わっている。

声色はそのままだったが、片言のような言葉遣いが直っており、何かに怯える様なおどおどしさが無くなっていた。


イートロは、驚きで膝立ちの姿勢のまま動けなくなっているレットを見下ろした。


「そうさ。心配は要らねえよ。アンタ達が――」


イートロの言葉はパーティ会話ではない。

気が付けば、レット達のパーティは解散されていた。


イートロはレットを見下ろしたまま、突然インベントリーから一本の大剣を取り出す。

それは、仰々しい金色の装飾がされた光り輝く綺麗な剣だった。




















「――――アンタ達が『ゲーム』に無関係な人間ならな!!」


大剣を片手で掲げた瞬間に、イートロの身体を眩い光と竜巻のような風が包む。

吹き飛ばされて、レットは砂浜に無様に転がった。


突然のことに、レットの思考が追いつかない。

顔を上げて――目の前に顕現した存在を見つめて――レットの“自分でも馬鹿馬鹿しいと思えたほど単純シンプルな感想”が自然とその口からこぼれた。











「なんだよこれ……………………まるで……………………………………神様みたいだ……」


レットには、目の前の存在が『プレイヤーという枠を超越した』かのように見えた。

ケパトゥルスの大男は、頭部も含めた全身を金色の巨大な鎧に包まれて――その体格がさらに、二回りほど大きくなっていた。


目の前の神話に登場する神のような存在は、金色のオーラを放ちながら――背中から六枚の巨大な紫色の羽を生やしていた。

そしてその周囲には、創世をしている最中の神の周りを蠢く生まれたばかりの星々のように――七色の光の弾が飛び交っていた。


“イートロ”が片手を軽く薙ぐと、レットに向かってその光の弾の一つが真っすぐに――凄まじい速度で飛んでいく。


「レッ――トさん………………いけないッ!!」


光弾を咄嗟にタナカが身を挺して、持っていた盾で受け止めようとして――

二人の足元に青い魔方陣のようなエフェクトが広がった。








「――やっぱりな。“そう来る”だろうと思っていたぜ」


イートロの呟きと共に、飛んできた光弾が魔方陣から出た光の壁に激突し――あられもない方向に飛んでいき砂浜に大きな穴を作る。

魔方陣の中に、至って普通の見た目の転送用のゲートが一つ開いて――地面から何者かが顕現した。








「……出番が来てしまった――最悪のタイミングで、“敵と戦う俺の出番”が!」


護衛者として飛び出したクリアが武器を構え――瞬時に状況を把握しようと周囲を見遣り、そして目の前の敵を見て息を飲む。


気が付けば、今まで倒れていたトヴの身体がいつの間にか立ち上がって――“イートロ”の背中に隠れて不安げな表情でこちらを見つめている。

レットは、何故か――イートロの身体に怯えるように隠れているトヴに“デモンの姿”が重なって見えたように錯覚した。


「レット……事情はさっぱり分からないが、要は目の前の“巨大なコイツを倒せばいい”んだな!? なら、あの娘の確実な安全を守るために、とっとと決着をつけるぞ!!」


立ちはだかるクリアを見据えて、黄金の兜で包まれた悲痛な表情の“イートロ”の低い声が砂地と背後の湖に響く。















「その言葉で……ようやく確信した。――とっても……とっても“残念”だぜ。――自分達の『ゲーム』の相手が……………………………………“アンタ達だった”ってことがな!」


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