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第一章 出会いそして少女 5 &謎の意識

今回は切りどころが悪く少し短めです。ごめんなさい


見渡す限りの茶色の岩肌。


大小様々な石が足下にあり、つい引っかかりそうになる。


通称「第一の間」と呼ばれるこの洞窟。


奥には恐ろしいモンスターがいると噂されているが・・・


そんな洞窟に二色の声が響き渡る。


一つは高く女の声。


もう一つは低く男の声。


長い金色の髪を振りまく少女。


それに翻弄?される少年。



「トシヤくんて高校生なの?」


「そうですけど、それが?」


「いや、かわいいなあと思って」


「それってからかってます?」


「からかってないよ。ホントにかわいいなあと思って」



2人がキャピキャピ話しているのを見てユウは少し苛立ちをぶつけた。



「エレナ。そろそろ静かにしないと怒りますよ」


「うっ、ごめんなさい」



ユウに怒られてシュンとした。



「それで、概要については説明したんですか?」


「そういやまだだった」


「全く、あれだけ時間があったのに何をしてたんですか。だから・・・」


「ヤバい、説教モードだ」



エレナは耳をふさいだ。


トシヤはエレナに手を引かれ少し先のほうに行った。



「ああ言われたらしょうがないから今から説明するね。まず目標から、奥に多分いると思うんだけど・・・」



エレナの声が段々小さくなっていく。



「まさかまた」



「てへ、バレちゃった。調べたのはユウくんとウルだからね」



いちいち気にしてられないのでもう受け流すことにした。



「それで、討伐するのは不死竜アンデットドラゴン。属性は闇。作戦は・・・とその前にトシヤくんは魔剣士だよね?」


「た、多分そうですね・・・剣持ってるし・・・」


「それで、まずイシュが大きな盾で不死竜の攻撃を防ぐからその隙に私とトシヤくんが脇から攻撃するっていう単純な作戦。ユウくんは攻撃補助、ウルは回復補助とその他もろもろ・・」


「大体わかったんですけど、俺レベル低いのに大丈夫なんですか?」


「あー・・・、うん大丈夫なんじゃない」



エレナのテキトーさを再確認したところで、開けている場所についた。


どうやらこの先は無さそうだ。


つまり、最深部というわけだ。


辺りを見回しても特に障害になるものは無かった。



「ここは闘いやすそうね」


「そうだな」


「あ、ユウくんとイシュ。あれウルは?」


「さあな、しばらくしたら来るんじゃないか」



突然、けたたましい咆哮が洞窟に響き渡った。


思わず耳をふさぐ4人。


禍々しい黒い鱗に3メートル程の高さの身体、そしてそれ以上の大きさがあり目の前にいるものを威圧する程の翼をもつドラゴンがいた。


言うまでもなく不死竜。


不死竜はこちらに気づくと翼を広げ威嚇してきた。


翼は銀色に輝きトシヤはそれに魅了された。



「さあやるよ。トシヤくん」



無言でうなずくと少し後ろに下がり剣を構えた。


不死竜の口にエネルギーの塊がたまっていく。



「シャイニングブレスがくるよ」



イシュが4人を十分おおえる程の盾を構えた。


構えた直後、白銀に輝くブレスが一糸乱れず放たれた。



「くっ・・・」



イシュの声が漏れた。


ブレスが途切れる直前にエレナは飛び出した。



「行くよ、トシヤくん」



エレナの声と同時に飛び出し、叫びながら不死竜に向かった。


足を切り裂いたが微々たるダメージ。


すかさず距離を取り次の攻撃の準備に備える。



「次くるよ」



エレナの声とともに盾の後ろに身を隠す。


再びブレスが飛んでくる。


何回続けたかわからない、ただ必死だった、あの瞬間までは・・・


不死竜の動きに慣れてきたところで、トシヤは練習していた属性魔法の攻撃を仕掛けようと考えていた。


不死竜が一瞬見せた隙を見逃さなかった。


今自分が出せる最大の攻撃をぶつけた。


しかし、不死竜は身を翻し突っ込んできた。


トシヤも避けることができずこのままだと正面衝突になってしまう。


両者の動きは止まらず激しい音を立ててぶつかった。



「トシヤくん」



エレナの声が聞こえたが意識が朦朧としている。


トシヤはこの時初めて死を認識した。



「このまま死ぬのか・・・」



そして瞼を閉じた。





























































蓮水桜香・・・それは俺の恋人の名前。


彼女は不慮の事故でこの世を旅立った。


今なら彼女気持ちがわかるかもしれない。


なぜなら、今自分も同じ状況に置かれているからだ。


死ぬときは寂しい・・・ものすごく切ない・・・桜香も同じことを考えていたのかな・・・


次々と現実世界の事が浮かんでいく。


走馬灯、まさか見られるとは思っていなかった。


思い残すことはもう・・・



「おい」



俺を呼ぶ声・・・



「おい、起きろ」


「誰だよ」


「誰でもいいだろそんなの。それよりお前はまだ死ぬには早い」


「どういうことだよ」


「まだHPは尽きてない。むしろ満タンだ」



一瞬意味がわからなかった。



「いいか、お前はもう死んだと思ってるけどまだ生きてる。気絶してるだけだ」


「そうなのか?」


「ああ、だから目覚めろ。お前にはまだやるべきことがあるだろ?」



思わず苦笑した。



「そうだな。ここで死んだら後悔すらできない」


「さあ行くんだ、トシヤ」


「おう」



俺は見知らぬ声に唆され生きることに決めた。




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