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第一章 出会いそして少女 4

目覚めるとカーテンの隙間から陽が射していた。


トシヤはすぐさま装備を身につけた。


まあたいした装備はないんだが…


部屋を出て1階に降りると、そこには昨日なかったテーブルがあり朝食の用意がしてあった。


席が1人分しかないことからトシヤしか泊まってないことが容易に分かる。


他の人が泊まらない理由も…


それはさておき、セシルが慌ただしく料理を運んでいた。


歩く度にその豊満な胸が揺れて、トシヤはそれに目がいきそうになり慌てて顔を隠しながら席についた。


セシルは相変わらずの妖艶さだ。



「あら、おはようございます。トシヤさま。朝食の準備は出来ておりますのでどうぞ」



どうもと言わんばかりに軽く礼をして、朝食にありついた。



出て行く準備をし終え、1階まで降りてくるとセシルが待っていた。



「トシヤさま。それではいってらっしゃいませ。エレナさまによろしくお伝えください」


「わかりました。こちらこそお世話になりました」



その宿を後にした。



昨日エレナがこの街の中央にある広場に来てと言っていたのでトシヤは向かった。


広場に着くとあの金髪の美少女が見えた。その金髪の美少女はこちらに気づくと手を振ってきた。



「トシヤくん、こっちだよ」


「遅れてすみません」


「いや、まだ時間あるから平気だよ」



そこにはエレナの姿しかなかった。


「他の皆さんは?」


「もう先に行ったよ」


「それなら早く行きましょう」


「待って」



エレナはそう言うとトシヤを手で止めた。



「おはようございます。えーっと…今日で何回目だっけ?まあいいや。みんな元気にやってるかい?毎朝恒例のアインスラジオ。アインスラジオはこのアインスに午前8時をお知らせすると共に始まる愉快でハッピーなラジオだよ!」



トシヤの目線の先、つまり目の前の家の屋根に小柄な少女がいた。


この黄色い声の主を知らせると共にこの街に朝を迎えた。



「私はラジオDJのリンネ。よろしくね」



リンネはエレナにウインクを飛ばしてきた。



「こっち見なくていいからリンネ」


「あー、またそういう風に言う。なんで私にだけ態度が冷たいのよ。大体あんたと初めて会った時から・・・」



またかと言ったような感じであしらうエレナ。


それに対してムキになるリンネ。


周りもいつもの事のように見向きもしない。


トシヤは耳を塞いでいた。


このハイトーンな声を近くで聞いてると耳がおかしくなりそうだ。


バレないように立ち去ろうとした時呼び止められた。



「あー待ってよそこの君。ちょっと聞きたいことがあるんだけど」



トシヤは辺りを見回した。自分でないことを祈りながら。



「君しかいないじゃん」



腰に手を回して抱きついていたリンネがいた。



「な、なんでしょう…?」


「エレナのことどう思う?」


「どう思うって言われましても…」


「はいはいそこまで。行くよトシヤくん」



2人の会話を遮るようにエレナはトシヤの手を引っ張って、その場から逃げるように去った。




「はあはあ…」


「ちょっと待って、逃げすぎですよ」


「リンネはしつこいから、あのままだと永遠質問してくるし、トシヤくんだって困ってたじゃない」


「そりゃそうですけど…」



少し口ごもった。



「まあでも、ラジオをしてって言ったのは私だし」


「そうなんですか?」


「うん。実は私が来た時、このアインスは閑散としていて活気なんてものは無かったの。だから何かしようと思って・・・」



エレナは自身の言葉でノスタルジーを刺激されたのか、瞳が若干潤んでいるように見えた。



「そこで、リンネに会ったの。私はそこで初めて同性のプレイヤーに会った。そしたらたまらずうれしくなっちゃって。リンネもこの街に来たばかりで、リンネもやっぱりこの街は寂しいと感じたと言っていたわ。だからラジオをしようって言ったの、この街に活気が出るまで。そのあと一緒にこのゲームをクリアして願いをかなえようって約束した」



トシヤはエレナの別の顔を見て少し安心した。



「タイミング悪いですけど、ひとつ聞いてもいいですか?」



エレナは涙を拭った。



「何?」


「このゲームをクリアしたら本当に願いが叶うんですか?」



このゲームの核心をエレナに聞いた。



「ホントにタイミング最悪ね、はっきり言うとわからない・・・でも、きっと叶うと思う。願い続ければ・・・」


「そうですか・・・」



確証を得れず少しがっかりした。



「ごめんなさい。急に質問なんかしちゃって」


「ううん、いいよ。それよりそろそろ行かないとまたユウ君に怒られるよー」



エレナは駆け足でデレン山に向かった。



《デレン山》

中腹部より下は草木が生い茂り下級モンスターが多く生息している。

一方、中腹部より上山頂までは草木は全く無く、岩肌のゴツゴツとした感じが見る者に厳格さを与え、山頂部には霧がよくかかる。

所々に洞穴があり中にはレアなアイテムも多数存在するが、上級モンスターも奥で控えている。



「ふーやっと着いた」



安堵のため息をついたのは遠くからでもわかる金髪を携えた少女エレナ。



「遠かったですね。あれ?誰もいませんけど・・・」


「ふふーん。あそこをごらんなさい」



エレナが指さした方向に5、6人入るぐらいの大きさの青いサークルが地面に描かれており、それが上に向かって伸びていた。



いわゆるワープポイント。


以前訪れた場所まで一瞬で行けるゲームでは定番なアイテム。



「前はこの山の調査だけで終わったから、その時行った所までインプットされてるの」



エレナはトシヤの手を引きワープポイントまで走った。



「ちょっと待ってくださいよー」



トシヤの声が残響となり2人の姿は消えた。




「なあ、ユウよ」


「珍しいですね、そっちから話しかけてくるのは」


「そうか?それより遅くないかエレナ」


「遅いですね。まあいつもの事なので慣れてはいますが・・・」



ユウとイシュはある洞窟の入口で待っていた。


周りにはむき出しの岩肌。草木が一本もなく、整備されていない道に小石が散らばっている。


すると、下の方から荒い息づかいが聞こえてきた。


一人は金髪を携え遠くから見てもわかるほどの美少女。


もう一人は、その金髪美少女に手を引かれており顔は至って普通の青年。



「ごめん・・・、待った?」



ユウは不敵な笑みを浮かべた。



「さあて、帰ったらどうしてくれましょうかねえ・・・」


「やばい、ユウくんのドSスイッチが入っちゃった・・・、じゃなくてごめんなさい」


「まあいいですよ」


「ホントに?」


「ここでの働き次第ですが・・・」



ユウの眼光の鋭さがエレナをゾッとさせた。



「あの・・・、完全に僕の事忘れてましたよね?」



トシヤ以外は聞こえていないフリをした。



「さて、それじゃ第一の間を攻略するぞ」



トシヤ以外はそろって返事をした。



「それよりまだトシヤくんをパーティに入れてなかったね」



すると、エレナはメニューを開いて何かし始めたと思ったらトシヤの視界にパーティ招待のウィンドウが表示された。


「はい」のところに目線を合わせた。


パーティ承認の音が鳴るとトシヤの視界にある変化が起こった。


トシヤのMPバーの下にエレナのパーティ全員のHPと名前が表示された。


しかし、一つおかしなところがあった。表示されている名前の数と今いる人の数が違うことだ。



「あの・・・」


「なに?」


「ここに表示されてる名前5人いますけど、今4人しかいないですよね?」


「あぁ、それならすぐにわかるよ」



するとエレナは洞窟に向かって走り出し、入口に前で止まった。



「ここを見てよ」



エレナが指差す方を見ると何の変哲もないただの洞窟の入口。



「・・・」


「な、なによ。その私を信じてないような眼は。ユウくん、そこらへんに何か落ちてない?」



ユウはわかっていたかのように石をエレナに投げた。



「じゃあ、見ててね」



エレナは構えて石を洞窟に向かって思い切り投げた。


石が見えなくなってすぐに闇に近い黒に青白の雷が洞窟に落ち、音が響き渡りそして結界のようなものが見えた。



「これで、分かったでしょう」



自慢げに言ってきた。



「でもどうするんですかこの結界?」


「ウル、お願い」



すると変な呪文みたいなものが聞こえたと思ったら、結界にひびが入り次の瞬間、砕け散った。


トシヤはあっけにとられていた。



「さて、行きましょう」



何事もなかったかのようにエレナたちは洞窟の中に入っていった。









パーティ名 「チーム英雄」

メンバー  属性    LV

L エレナ  風    62

S イシュ  地    50

ユウ   水/光 55

ウル   闇    60

トシヤ  ?    12


パーティメモ

結成日 ???

エレナは????



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