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第一章 出会いそして少女 1

ある日の放課後。



俊哉が家路につく途中、誰もいない工事中のマンションで声がした。

気になって、俊哉は柱に身を潜め耳を傾けていた。



「取引のとおり1000万で渡せ」

「俺は2000万もってこいと言ったはずだ」



どうやら2人の男が取引をしているようだ。

1人は長身でショートヘアーのイケメンだ。

もう1人は中年のハゲかけているおじさんだった。



「しかし、現状1000万しかここにない、それとも渡したくないからそのようなことをいっているのか」

「いいから用意しろ」



中年の男が襲いかかった。

が、そのイケメンはあっさりとかわし、腹に蹴りを一発かました。



「最初から渡しておけば、こんな痛い目にはあわないのに」



ため息をつきながらイケメンは言った。

中年の男は、うずくまりながら、音になっていない声で持っていたものを守ろうとした。

しかし、イケメンがもう一度その中年を蹴ると、今度は意識を失った。

そして、イケメンがその中年が持っていたものの中身を確認して持ち去ろうとした。

そのとき、そのイケメンと俊哉の目があった。



「どうしたんだい、少年?」



イケメンが聞いてきた。

どうすればいいか分からず戸惑っていた。



「最初から見ていたのかい」



静かに頷いた。



「あの男は大丈夫だ、君が心配することではない」



俊哉はこのイケメンの言っていることが信用できずおじさんの方をチラチラ見ていた。



「なあ少年、口止め料とは言わんがこれを君にやるよ」

「えっ・・・」

「なーに、気にすんな2つあるから」



気になるのはおじさんの方だったりとか言うのはさておき、その箱はなかなかの重量感があった。



「箱の中身気になるか」

「は、はい」

「聞いて驚くな、これはあの伝説の願いをなんでも叶えてくれるゲームだ」

「・・・」

「まさか君、この伝説のゲームを知らないのか」



イケメンはとても驚いた表情でこっちの顔をのぞいてきた。



「知らないですけど」



あっさり返事をすると、イケメンは頭を抱えるかのように唸った。



「まったく、君はこんなものも知らないのかね、しょうがない説明してやろう」



求めてない説明をしだした。



「これは今、ゲーム業界では超がつくほどの伝説のゲームなんだ。このゲームはクリアをすることによってその人の願いをなんでも1つ叶えてくれるというものだ」

「はあ・・・」

「なんか、信用していない顔だな」

「だってゲームで願いとか叶えられるわけないじゃないですか。ていうかそもそもそんな夢みたいなことがあるわけが」



するとイケメンが詰め寄ってきて、悪戯顔で微笑んできた。



「それがあるんだなー」



イケメンは楽しそうに続けた。



「このゲームは何でも叶えてくれるのは本当だ。ウソだったら1000万もださないって。見てただろさっきの、それに君はもう一度彼女に会いたいだろ」



その言葉に俊哉は驚きを隠せなかった。



「なんで桜香のことを」

「おっと、もう時間だ。じゃあな、またいつかだ、俊哉君」

「なんで俺の名前も」



またもや、同じ反応をとらずにはいられなかった。



「しかし、あの人は何だっただろう、でもこのゲームで桜香に会うことができるなら、もう一度会いたい。そしてもう一度あの声が聞きたい」



色々考えていると自分の家についていた。



「ただいま」

「おかえり、遅かったわね」

「まあ、いろいろあったから」

「ご飯できてるから、はやく着替えてきなさい」



俊哉は返事をせず、自分の部屋にもどっていった。



飯を食って風呂からあがると、すぐ箱の前で正座をした。

自分の意思に関係なく、箱のほうに手が伸びていた。

気づいたときにはすでに箱の中身がすべてだされていた。



「好奇心というやつは怖いな」



とりあえず俊哉は箱に入っている物を確認した。

中身はタブレット端末と1枚の紙切れ。

紙切れには何も書いていなかった。



「なんだこれ?」



俊哉はすぐさま紙切れを捨て、タブレット端末の電源を入れようとしたが、ボタンらしき物がなかった。

タブレットやら箱やらくまなく探したがそれらしき物はなかった。



「はあ〜」



ため息が部屋に広がった。



ポン…ジッ…ジー…



何やら機械音が聞こえてきた。


その音に気づきタブレットを見ると、電源がついていた。


タブレットには『ここに触れてください』とだけ書いてあった。


俊哉は指示に従ってタブレットに触れた。



その瞬間、不思議な感覚に襲われた。まるで自分が身体から抜けていくような感覚だった。



「これって幽体離脱か?」



色々考えていたがいつの間にか意識が無くなっていた。


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