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月下の蝶
暗い裏山の頂上、その頂に蝶がいた。今宵は新帝である竜聖帝の即位で賑わっている事だろう。
静かである。此処は暗い。
一年前に亡くなった竜樹様は何処にいったのだろう。
もしかしたら今頃わたしの事を探しているのかもしれない、そんな考えを頭をよぎる。
しかし、わたしは此処を出ていく。
幼少の頃からわたしは何かしらに捕らわれていた。古くはお母様に、その次は仕事に、竜樹様に、子供達に。
子供達はそれぞれ一人立ちした。前日、竜華が大和の皇后に成った。樹蝶もわたしの古巣である神降省に入った。そして今日竜聖も一人立ちする。
もうわたしが思い残す事はない。わたしは街に背を向けその場から立ち去った。
竜聖帝の即位直前に周胡蝶皇后は姿を消した。それ以来周胡蝶の記録は残っておらず研究者達の絶好の研究対象となっている。
ひらり
ひらり
誰も居ない場所に蝶が舞った。
彼女の行方は誰もしらない。
後蛇足的なエピローグを投稿してこのシリーズは完結です。ありがとうございました。




