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最後の愛
子供達が一人ずつ一人立ちしていった。もう手元には竜聖しか残っていない。
残りの余生を竜樹様と共にゆったり過ごしていきたい。
わたしらしからぬ考えが浮かんでくる当り、わたしも竜樹様を愛してしまっているのだろう。
「蝶、好きだよ」
未だ竜樹様のその言葉には応えられないけど。
そんな折、竜樹様がたおれた。医者の見立てだと後数ヵ月の命らしい。
「蝶、愛してる」
病床の中でも竜樹様はわたしに愛を囁く。
そしてわたしはそれにこたえない。
いや、こたえてしまったら、愛してしまったら竜樹様が儚くなってしまいそうで恐ろしいのだ。
そして戯れに愛を囁いたその後、竜樹様は亡くなった。
「竜樹様、愛しておりました」
「蝶、最後にそれを聞いただけでも幸せだった」




