56/70
立后騒動
竜火殿下はわたし達が帰ってきて、間もなく亡くなった。
竜樹様は1年間の喪に服した後即位することとなる。わたし達妃も例に依らず喪に服すため後宮から出ることを禁じられ、遣ることの無い日々を送っていた。
しかし、そんな退屈な日常も竜火殿下の喪が明ける一日前に終わりを告げた。
「あら、竜樹様。今は喪中ですわ。今は来ては成りませぬ。明日おいでくださいな」
「蝶」
「…………なんですか」
「皇后になってほしい」
「嫌ですわ。他の方を当たってくださいませ」
「皇后になってほしい」
「…………条件があります。此れをのんで下さるのならなってあげても宜しくってよ」
こう言ってしまうあたりわたしも竜樹様のことを好いているのかもしれない。
「側妃をお迎え下さいませ。わたしにはお母様から呪詛のようなものを受けております。自らの子を愛する事が出来ないのなら……」
「誰を迎えさせるつもりか?」
「貴方様の望むままに」
「んなこと言われても困る。蝶が決めろ」
「…………では凪を。あの子は竜樹様を好いておりますから」




