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桜
「蝶、大和にはオハナミという文化があるらしいのだが」
「そう」
ここ最近気分が乗らない。竜樹様がわたしを元気づけようというのは分かるけど。
何かがわたしの中で変わっていっている。そんな感じ。
「蝶、良かったらサクラとやらを見に行かないか?」
申し訳ないけどわたしは今はなにもしたくない。
そこに麗栄が現れて
「蝶、ちょっときな。竜樹殿、ちょっと借りるよ」
わたしを引っ張って行った。
「なぁ、蝶。どうした?」
「麗栄さん、わたしは怖いのです。竜樹様を愛してしまうことが」
自らの気持ちを偽り続けて居ることが。
「愛して頂いて居ることは分かります。でも、一度壊れたら?お母様のようにお父様を虐げるような人になってしまったら?」
「蝶、お前は馬鹿か?人を愛するのに理由なんて要らないじゃないか。わたしも旦那様を愛しているからね」
「…………」
「呑もう。桜をみて、お酒でも飲んだらきっと色々な事を忘れられるよ」
「………そうですね。わたし凪とか色々な人に声掛けてきます」
ひらり
ひらり
ひらり
桜よ舞え。わたし達の運命のように。




