じゃれあい
晴れて、文官官吏に途用された胡明。男として、生きていくこととなった胡蝶の運命はいかに……
文官官吏の職務は主として書類、決算である。弥生月を最盛期にする職務だ。
「今回、此方に配属された胡明と申します。趣味は武芸……ですかね?よろしくお願いいたします」
知ってる顔がいるけど無視、無視。うん、そうしよう。よし。決定。
「同じく此方に配属されました弓牙と申します。ところで胡明様。貴方は本当に男性でしょうか?」
ギクッ、まさかのばれてる感じ?
「まさか、官吏試験は男性しか受けられぬ。女性がこの場にいるわけがないだろう?弓牙様。あぁ、私がこのメンバーの中で名のるのは最後ですか。私の名前は夜雲。此処にいる胡明の幼なじみ……です」
こいつは夜雲。元はわたしの生家の家老の息子。ただし、こいつはあまりにも武芸が出来なすぎて家を追い出されたという過去がある。わたしも3年くらい会っていない。そして、こいつはわたしが“女”ってことを知らない。まったく大丈夫なのかこの人たち?
「へぇ、夜雲。まだ生きてたんだ?」
「生きてるに決まっているだろう?胡明。相変わらず頭が剣のことでいっぱいなのか?よく文官官吏に受かったよね?」
「……君たち仲悪い?」
「「悪くない!」」
実際じゃれてるだけだしな。
“ガチャ”
「やぁやぁ新人君たちだね?私はここの部署の長官だよ。よろしくね?胡明君、弓牙君、夜雲君」
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