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元同僚
出立の日、わたしは皆より少し早く船の上にいた。少し、風にあたりたく成ったから。
「胡明……?」
なつかしい声にも、思い出の名前にも耳を傾けてはならない。だって此れはわたしが選んだ道だから。わたしが望んだことだから。
「やっぱり胡明様じゃないですか!ご無沙汰しております」
それでも貴方はわたしを呼ぶの?……林弓牙。
「…………久し振り。あの日以来かな?」
「胡明様に取ってはそうかもしれないのですがわたしたと夜雲は入内の様子を見てましたから……」
「貴方、わたしが女だったことは指摘しないのね」
「知ってたからな」
…………えーと其は
「はい!?いつから……?」
「最初から?」
そうか……。ばれていたのか……。案外がっくりきたかもしれない。
「あーでも夜雲様にはばれてないのですが……」
分かっている。夜っ君って昔からそう言う人だから。一応幼馴染みの事だからそのくらいは……ね?
「ま、まあ何はともあれ貴方が元気そうで何よりです。わたしとしては神降省に戻りたいのですけどね……。もう無理かな?」
「卯月神様が寂しがって居ますよ」
かつての思い出をやはり忘れきれないわたしがいる。
「あー、後後ろにいるかたそろそろ紹介してください」
「あら、大姉様。私を忘れたとは言わせないわよ?」




