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梨竜公主

「梨竜公主、貴女は何をしたいですか?」

母を失った梨竜公主に聞いたのは、義母として何をしたいか聞きたかったのとわたしが支援できる範囲を確かめるためだった。今のわたしの地位では出来ることは少ないけど自由に生きてほしいという叔母上の願いだけは叶えて差し上げたいと思った。長年自分の思いを押し込められて人に尽くさざるを得なかった叔母上の最後の願いだから。

「私……ですか?」

「ええ、そうです」

「まだ……決められません。あの……16の誕生日まで待ってはいただけませんか?」

「勿論よ。梨竜公主」



「良いのか?蝶。梨竜公主は……」

「ねぇ。竜樹様。普通に考えて6歳児に自分の将来を求められてもこたえられる訳無いじゃないですか。わたしはゆっくりで良いと思いますよ?」

「そうか……。蝶は11歳の時何をしたいか考えたことは有るのか?」

いきなりそんな質問されても困ると言いたい。

「決めてる訳無いじゃないですか。わたしの11歳のころは木の棒を振り回して遊んでました。で、お母様に女の子らしくなさいって起こられるんだけど夜っ君、夜雲と一緒に走り回ってた。そんなとこかな」

竜樹様は溜め息をつかれるけど、わかっていたことではあるのだから良いじゃない。

「蝶、愛してる」

わたしが此処こうきゅうに来てから幾度となく言われているこの言葉。わたしは何時もこう返す。

「わたしは愛してはいませんよ?」

それでも竜樹様はわたしを愛してくれるから、悪くないとか思わない。……絶対に。



「あの……。蝶様。わたしやりたいこと思い付きました」

梨竜公主がこう言ってきたのはあの頃だったら御前試合が行われていた時期。つまりは梨竜公主の16回目の誕生日会の直後であった。

「何をやりたいの?」

「私……あの……」

「何を聞いても怒らないから言ってみなさい」

「私……外国に行ってみたいです。母上が生前に言ってた事が有るんです。外国に行ってみたいって。私は母上の願いを叶えて差し上げることはできなかったから。今度は私が母上の変わりに見に行くの」

梨竜公主の決意を聞いて、反対しようとは思わなかった。もちろん、女性が官吏になれないのは変わらなかったけど、梨竜公主なら叶えられる。そう思った。

「梨竜公主。其は良いことですね。しかし、現時点で女性は官吏にはなれないのですが。貴女ならなりそうな予感がします。勉強は教えて差し上げる事が出来ますから諦めずに頑張りなさい」

「はい!もちろんです。頑張りますのでご指導宜しくお願いいたします!」

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