御前試合 後
何とか 嬰藍羽の勧誘を振り切った胡明であったが多少気の毒に思わなくもなかった。もっとも今更追いかけて「わかりました!やります」なんていうような人ではないし、倫理的にも許されないことだから別に良いのだけど。
このことを考えるのはもう終わりとばかりに胡明はその場を離れようとした。
「本当か?その話は?」
「ああ、どうやら本当らしい」
「大君か?それとも公主か?」
「公主らしい」
「それじゃ、帝位に着くことはないのかー」
何やら自分と関係無さそうな話ではあるがこの国のことは知らないよりは知っていた方が良い。というか気になる。
そのまま聞いていたいのはやまやまであるがいかんせん決勝戦の始まりが近づいている。
と言うわけで胡明は今度こそその場を立ち去った。
決勝戦ー
華国が建国してから始めての文官の決勝戦進出に人々はわいていた。
「さぁー、今年も御前試合が始まるぞー!今回はどっちが勝つのか分からない試合だー!先ずはー北から行こうかー!我らが白虎隊隊長ー!珀玲洞だー!今年も前回大会王者が満を持して今年も戻って来てくれたー!」
解説者に帝から任命された 邑冬李が叫ぶ。
「そしてー!今回余多の予想を外し捲って決勝進出を勝ち取ったのはこの男。周胡明ー!」
なんだ、この人。わたしに何を求めようとしているのだろうか……。
「試合開始の前に 翠竜火様からの御言葉である。よく聞くように」
「うむ、両人とも励むように。……期待してるぞ」
「それではー!御前試合開始致しますー!」
取り敢えずはお辞儀してっと
「「よろしくお願いします‼」」
自らに支給された剣(刃を潰したもの)を抜く。そして相手方の様子を伺う。私の居合は独自のもので先制攻撃をすると不利になってしまう。そして何より性別が違う。女のわたしが撃って出ると、体格の差からなのか相手に疲労を与えることが出来ない。だからわたしは待つ。
「周胡明選手は依然として動こうとはして居ません。準決勝を私は観戦致しましたが先制攻撃をしたことは一度も御座いませんでした」
遂に堪えられ無くなった相手が動く。
「かかって来ないのなら此方からいくぞっ!」
流石は白虎隊長。他の対戦者と速さが何倍も違う。恐らく受けたときの重さも何倍も違うのだろう。だから、だからわたしは。
「周胡明選手、珀玲洞選手の攻撃をかわしたっ!とんでもない身体能力です。そして……?そして首に剣を突き付けたっ!試合終了!勝者は周胡明選手だー!こんな展開を誰が予測出来ただろうかっ!」
解説者の興奮した声を聞きながらわたしはその場を離れようとした。
「周胡明殿。貴方の剣さばきは目を見張るような思いでした。貴殿は武官の方がふさわしいのではないだろうか?というか此方にこい」
対戦者 珀玲洞に声をかけられるまでは。
「申し訳ありませんがわたしは神降省所属です。そのようなことは直属の上司にお願いいたします」




