人
私は一人だ。
たくさんの人に囲まれているが一人だ。
話の好み、相槌のタイミング、新たな話題の提供。
なに、相手の機嫌をとるのは簡単なことだ。
私は笑う。
ほとんどの人は、相手の心を知ろうとしない。
知ったとしても、ただ見ているだけ。
それが正しい。
この世界はそうやってできている。
なぜなら自分が一番大切なのだから。
私はやっと理解出来たことに喜びを感じている。
過去の私が浅はかだっただけ。
今なら、この世界を理解できそうな気がした。
私は知っていた。
あなたはただ、ストレスのはけ口が欲しかった事を。
私は知っていた。
あなたが人の不幸で安心する事を。
私は知っていた。
あなた自身が弱い存在である事を。
どうして、人は傷つけあうのか。
私には理解できなかった。
苦しくて心は泣いていた。
顔は無表情だった。
人は誰も集まってこなかった。
周りの様子を見ると、どうやらよく笑い、よく話す人に集まるようだ。
そうやって自分を守っているようだった。
私はただひたすら、人を観察をし続け、少しずつ、少しずつ近づいていく。
変化に気付かれないように。
やがて、私は人間界で受けいれられるようになった。
私は、強くなったのだ。
おかしなものだ、少ししか変わっていないのに。
これでやっと、私の存在を認めてもらえる。
しかし本心をさらけ出そうとしても、できなかった。
心のどこかで、冷めた自分がいたからだ。
それに隙を見せたら、また過去の自分に戻りそうな気がした。
もう素直な自分は不要なようだ。
さようなら、過去の私。
さあこの先、人間界は私に何を教えてくれるのだろうか?
私の物語は続く。




