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或る世界の軌跡  作者: 蘚鱗苔
5 封印と22神
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 朝、毛布とガルムの毛皮に包まれて目を覚ます。体が感じる冷たい温もり、やはり死んでいるということを実感しつつも、それでもほのかに残る温かみは彼女がアンデッドだということを思い出させる。髪の毛を、その綺麗な金髪を撫でる。しなやかな髪、昨日小川で流していた、そのおかげだろうか。仮面のつけていないその顔にキスを、頬の傷が申し訳ない。

 寝顔を見つめつつふと思う。彼女は今幸せだろうか、もう何度も考えている。自分は自分の為に生き返らせた。もしかしたら彼女はあそこで死んでいたままのほうが幸せだったのではないか?今のように、人の目から隠れ、まともに生活することさえ叶わない。そんな生活だとしても彼女は・・・そんなことを考えている最中、彼女は目を開け、自分に口付けを。

 

 「何か、また嫌なこと考えているでしょう?」

 「ん?なんで?」

 「わかるわ、顔に出てるもの。大丈夫、私は幸せよ・・・」


 頭を撫でられる。本当に顔にでていたのか、それとも勘が鋭いのか。どちらにしても、彼女には丸わかり、彼女が幸せというのならば、信じよう。いや、自分がそう疑問に思うのならば、自分が彼女をより幸せにして上げればいいのではないだろうか。


 目覚めた場所を出て、北に向かう。太陽の位置で大体の位置は掴める、北へ。ここから北に向かえば、恐らく人目を避けてルリコンに入れるとのこと。そしてうまく森を越えれば、次の国へ。そうして北上していくことで、人に会う回数を減らして大城塞まで行けるとのこと。ただ、自分は安住に適した場所があればそこに定住しようとも考えている。但し条件は厳しい、食料を生産できる土壌、偏見のない人々の存在、そしてある程度のレベル。


 歩き出して数時間は経っただろうか。景色はそこまで変化せず、ただ木々が太くなっていくことが自分たちが森の奥に入っていることを示している。どうやらここら近辺に出てくるモンスターの上限はおおよそ上級下位、いや中位程度まで。中位ほどになると、中々大変な戦いにはなるだろうが、一応ポーションなどの備えもある故になんとか勝てるだろう。主に下位モンスターが出てくるとしたら出てくるらしい、これはトリスの知識。そう思い歩いている自分たちの前に影。草むらから出てきたのはフォレストセンチピードの群れ。そして中心にはセンチピードロード。近づいてくる音はしなかったが、彼らの後ろに穴があることから納得する。どうやら巣の近くを通り、刺激してしまったらしい。


 「ガルム、いつものパターンで行くぞ。テン、シェム、行けるな?トリス、見ていてくれ。この程度、造作もない。」


 果たして、彼女も自分が所持するモンスター扱いならば恐らくこれでレベル上げは可能。そしてレベルもレベル、かなり上がるのではないだろうか。そう思いつつも、群れにフレイムウォールを。シェムが足止めをしつつダークボールを放ち、テンはフレイムを放つ。ガルムはセンチピードロードを攪乱する。自分もそちらに、意識がガルムに向いているうちにヘルフレイムを。


 おおよそ5分、鎧袖一触、全ての敵は死に絶えその姿を素材に変えた。余裕、そんな言葉が口から漏れる。ステータスを確認する。やはり自分のレベルは上がっていない。この程度ではそこまで変化することもないだろう。もう3つほど群れを殲滅したら違うのだろうが。トリス達のほうは・・・


 テン(ヘルフレイムスライム) Level:141

 シェム(アンデッド・フェアリー) Level:149

 ガルム(ブラックウルフ) Level:149

 トリス(イミテーション・ヴァンパイア) Level:33+


 一気に30レベルも上昇したトリス。イミテーション・ヴァンパイア、それがどういう効果を持つのかはわからないが、そういえばと思い出す。元々人間であるのなら、鑑定魔法が使えるのではないのか、と。


 Name: トリス(イミテーション・ヴァンパイア)

 Title: <半死半生>

 Unique Skill: <自己再生>

 Skill: <光魔法レベル1><吸血衝動><HP回復微><MP回復微>

 Level: 33

 HP: 1000/1000

 MP: 700/700

 Constitution: 10

 Wisdom: 7

 Strength: 7

 Intelligence: 7

 Quickness: 7

 Bonus Status Point: 33

 Bonus Skill Point: 2

 

 やはり見れた。しかも、スキルの欄も閲覧可能、随分と都合のいいことだと1人ごちる。スキルに関して、<光魔法レベル1>はわかる。回復魔法を手に入れるには光魔法を習得しなければならないのだから。<吸血衝動>、<HP回復微>、<MP回復微>、これらは恐らくイミテーション・ヴァンパイアの特性だろうか。ユニークスキルの<自己再生>、あの男の言っていた欠損さえも治るということだろう。それにしてもTitle、称号の欄の<半死半生>。これは、やはりあの指輪の効果でアンデッドになったことが結果しているのだろうと勝手に推測する。そしてレベルが30を越え、進化が可能に。どうやら亜種は存在しないようで、上位種への選択肢のみが表示されている。いや、イミテーション、つまりもう既に亜種であるということだろう。彼女に告げ、上位種に進化させる。どうも所有物のようで嫌だが、仕方のないことなのだろうか。


 テン(ヘルフレイムスライム) Level:141

 シェム(アンデッド・フェアリー) Level:149

 ガルム(ブラックウルフ) Level:149

 トリス(イミテーション・ハイ・ヴァンパイア) Level:33

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