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或る世界の軌跡  作者: 蘚鱗苔
1 召喚、地固め
6/239

6

 まるで見送るように燃え盛る炎を背にして、集落を発つ。果たして自分の選択は正しかったのだろうか。今もこうして悩んでいるあたり、誰かに認めて、慰めてもらいたいだけなのかもしれない。少なくともあの家をそのままにしているよりかは、確実に彼らの為にはなったであろう、と自分に言い聞かせる。ひと段落ついた時、また戻ってこよう、そして挨拶をしよう、と心に刻みながら。

 足取りは重くはない。食事と、井戸で体を洗ったことが功を奏したのか、多少気分は楽になり、疲労も回復したように感じる。服はある家の箪笥に入っていたものを借りてきている。学生服はアイテムボックスの中、入ってよかったというべきか、うれしいことに、学生服という1つのパネルになっている。

 名も知らぬ彼らから借りたものは多くはない。現在、彼らの物はアイテムボックスに保存してある。井戸の水を汲んである水筒が2つ、動植物を捌く為の小さなナイフ、刃渡り10センチほどだろうか。蝋燭が3本ほど、そして彼らが生産したであろう野菜が4日分ほどに干し肉が10センチほどのものが2切れ。地図と方位磁石は見つからなかったが、銅貨だろうか、こちらのお金らしきものは30枚ほど借りている。あの集落に必ず帰る、その際にしっかり返却しよう。そう心に誓って。


 自分が抜けてきた草原は、集落の裏手に広がっていたらしく、反対側には多少だが舗装された、いや、踏みしめられたあぜ道が伸びていた。現在自分はその道を歩き続けている。腕にスライムを抱えながらも、周囲を一応警戒しながら。

 火のスライムは、火魔法が使えるのだろうか。先ほどは彼に助けられた。おそらくはファイアであろうが、ゴブリンを倒すその手前に感謝をしている。彼は食事は必要なのだろうか、水は飲んで、いや吸収していたようだが、野菜には手を付けなかった。スライム故に水のみで生きるのだろうか。随分と扱いやすいモンスターだと思う。

 太陽は傾きはじめ、あと数時間で夕暮れとなるだろう。行けるところまで進まなければ。道は草原を左右に分断するように続いており、奥には林、その奥には山が見える。裏手には集落、その奥には森と山がが微かに見えている。あの森が自分が倒れていた場所、何とも遠くまで歩いてきたものだと思う。左手には林、右手には山々がひろがっている。



 その後30分ほどだろうか。時間がわからない、というものは難儀なものであると思う。携帯電話の時計機能に慣れ親しんだ弊害、というものがこんな形で姿を現すとは思ってもみなかった。水分補給がてら休憩を取る。そこで思い出す、自分は8匹ものゴブリンを討伐していた、いやスライムの分を考えると7匹、ということに。レベルは上がっているのだろうか、そしてもう1つ、魔法を使っているが、MPは使用していて、かつ回復しているのだろうか。


 「ステータス表示」


 そうつぶやき、表示させると、レベルが上がっていた。


 Name: アスカ

 Title:

Unique Skill: <魔力増大>

 Skill: <召喚魔法レベル1>、<闇魔法レベル1>、<火魔法レベル1>、<MP回復速度増加>、<共通語>

 Level: 4

 HP: 1400/1400

 MP: 6500/6500

 Constitution: 14

Wisdom: 65

Strength: 10

Intelligence: 65

Quickness: 10

 Bonus Status Point: 3

 Bonus Skill Point: 0


 レベルが一気に3つも上がったようだ。ゴブリンの経験値効率がいいのか、それともあのゴブリンがレベルの高かった、もしくは自分が低すぎたため、ここまで上がったのか。この世界でのレベル上限がいくつなのかはわからないが、この調子で上がるのならば、周りはレベルが高い人たちが少なくないと推測できる。それと、ボーナスステータスポイントが3ポイント入手できていた。つまりこれは1レベルごとに1上がるのではないだろうか。そう考えると最初の10ポイントは破格である。もしもレベル上限が99ならば、あと自分は95ポイントしか手に入らない計算になる。注意して振らなければ。スキルのボーナスポイントは入手できていないようだ。少々残念だが、これから注視していこうと思う。HP、MPは変動していない。攻撃はくらっていないためHPは当然なのだが、MPは回復した結果なのだろうか。

 かんがえた結果、今回はこのようにポイントを振り分けた、知恵、知能、体質に1ポイントずつである。


 Name: アスカ

 Title:

 Unique Skill: <魔力増大>

 Skill: <召喚魔法レベル1>、<闇魔法レベル1>、<火魔法レベル1>、<MP回復速度増加>、<共通語>

 Level: 4

 HP: 1500/1500

 MP: 7000/7000

 Constitution: 15

 Wisdom: 70

 Strength: 10

 Intelligence: 70

 Quickness: 10

 Bonus Status Point: 0

 Bonus Skill Point: 0


 また、魔法を使用してMPを確認して、ということを行った結果、ファイアは1回あたりMPの値を150消費、フレイムは300、ファイアウォールおよびファイアランス、ダークソードは1回あたり250消費ということがわかった。自分はMP量が異常なため大量に使えるが、おそらく初期のMP換算だと数回程度しか使用できない換算になる。MPは消費したが、回復が行われる様子がない。10分20分程度では回復しない、というものなのだろうか。加えて、ファイアランスの効果を確認することができた。前方3メートルほどまで届く火の槍を召喚するものであった。

 ステータス欄の下部には、所持モンスターステータスという欄があり、そこを確認すると


 フレイムスライム Level:2


 とだけ表示してあった。つまり、このスライムはフレイムスライムという名前なわけだ。また、レベルがあるということは召喚したモンスターも強化できる、というわけか。しかし、ステータス等が見れなかったことより、勝手に成長していくのだろうという考えに落ち着く。とりあえずはこの子を育てていけばわかることだろう。

 他にもいろいろテストをしてみた結果、ステータスのLevel、HP、MPは、簡易ステータス表示、の掛け声で表示させることができる、所持モンスター表示、で召喚したモンスターが一覧できることがわかった。大きな進歩だ、と思う。これである程度は楽に戦闘時に物事を認識できるのではとも思う。

2012-11-21修正

2013-2-5修正

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