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書き溜めるとか言った手前で申し訳ないんですが、とりあえず1つだけ。
前回で第1章はおしまい、故に今回から第2章となります
そしてこれはオープニング、故にすごく短いです。
強烈な閃光。目の前が真っ白に染まる。まるで数か月日の光を浴びていなかったかのような、目の前で閃光弾が破裂した感じ、といったほうがいいか、経験はないが。このまま視神経を焼き尽くされるかと思うほどの閃光。
明るさに目が、慣れてきて。段々と周りが見え始めてくる。白い天井、目を傷めつけた光の原因は天井の灯りらしい。こんなにも明るい灯りをともす意味はあるのだろうか、かなり限定された用途にしか使えないのではないのか。
周りを見回す。灯りがある天井、白い壁、周りはほぼ白で統一された部屋。白以外の色は、白い机の上においてある小さな赤い花瓶、かなり不格好だが、それどカップに入った水だろうか。赤い花瓶には何も入っていない、残念なことに。
俺はベッドに横たわっていて。ベッドは白い布に包まれている、いや枕は薄い茶色の布でできていて。中に何が入っているのか、綿だろうか、すごく柔らかい。眠気に襲われる、もう一度寝たいような、もう二度と起きることのできないような。
睡魔を振り払い、体を起こす、ベッドが軋む音。俺の体重が重いのか、バネでも入っているのか。体を起こすことによってもっとよく見えてくる部屋の様相。
床は白くはない、木でできた、木の模様以外染みも汚れも見当たらない。部屋の広さは5メートル×5メートルほどの正方形だろうか。机とベッド以外は何もない。窓が1つベッドの横に、反対側には扉、これも白く塗られている。一体ここはどこだろうか。白い部屋、病院のイメージしかないが。
窓から外を見ると、野原が広がっていて。ところどころ土を見せる平原には、背の低い草が大量に生えていて、窓から見る限り奥に見えるのは山、どこかの療養施設だろうか。窓から体を乗り出すことはできない、窓ガラスがしっかりとはめ込まれているため、開けるスペースさえも存在しない。
床に降りる、久々に歩いたような、そんな感覚。萎え、よろけそうになる足を必死にこらえ、1歩1歩歩き出す、体が歩き方を忘れてしまっていたのかのよう。どれだけ寝ていたのだろうか、なんとかドアまでたどり着き、ドアノブを、いやドアノブは存在しない。取ってを掴んで押してみる、引いてみる、動かない。もしやと思いスライドさせようにも、そうは動かない。鍵でもかかっているのだろうか。体当たりを、いやそんな風に体は動いてくれるはずもなく、走ろうとした途端倒れ込む、荒くなる息、体力も相当ないらしい。
立ち上がり、痛む体を無理矢理、蹴飛ばす扉、微動だにもせず。軟禁、そんな状態を表す言葉が心に浮かぶ。俺は一体どこに来てしまったのか、何をしたというのか。
そう思って、ふと気が付く。一体俺はこの前何をしていた?
名前、家族構成、職業、年齢、思い出せない、住所、地名、全然さっぱり。五体満足なことだけは確実、あとわかっているのは、日本という単語、国の名前、それも自分が住んでいた。
ベッドに腰かけ、ゆっくりと考える、一体自分は何者で、何をしていたのか。そして何があってここに横たわっていたのか。これが、俗にいう記憶喪失だろうか。頭に手を当てる、包帯が巻かれていることに今気が付く。よく見ると左腕にもまかれた包帯、一体何があったのだろうか。頭に包帯が巻かれているところを見ると、頭部に何らかの怪我、しかも外傷だろう、を負い、そのせいで記憶喪失になっているだろうことが伺える。
せめて自分が何者なのか、もしくは何をしていたのか、そのどちらか1つでも思い出せれば、自ずと答えは出てくるような気もするが、何も出てこないのだから仕方がない。
猛烈な睡魔を覚える、ふと覚える急激な疲労感、本当にどれだけ動いていなかったのか、自分はもしかしたら相当な時間意識を失い、ここで横たわっていたのかもしれない、確かに自分の服装は貫頭衣。患者が着るようなワンピース調の服装。
何を考えてもおそらく今はわからないだろう、何故だかそれをストンと納得してしまい、寄せる睡魔の波に体を任せる、意識は1つブラックアウト。
次に起きた時には、体がまさぐられる感覚に襲われていて。
目を開けたその先には、誰だかわからないが、少し綺麗な女の人がタオルを絞って俺の体を拭いている、そんな光景が広がっていた。




