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オーガ達の住む領域、その南部に道はある。ある程度整備された道、街道というにはほど遠いが、あるけることには歩ける、5キロごとに小屋が建っていて、自由に使えるようになっている。問題点は、モンスターの根城になっている可能性と、野盗の根城になっている可能性。一応1月に1度は駆除しているらしいのだが、今はそのちょうど中間、戦闘の可能性も考えなければ使うことは難しいだろう。
時刻は昼前、今日その小屋を使う予定はない。このまま2時間ほど歩き、昼過ぎに虫の住む森に。虫は沢山いる、まぁ虫なので増える速度が速いからだが、そのために狩りは2時間もかからないだろうと踏んでいる。帰りに3時間、夕方、日没寸前には戻れるだろう。もっと奥まで行くのであれば、小屋に泊まる、1泊2日を考えてやる必要がある。日にちをまたいで依頼を行う場合、特例として多く受注することができる。2日行くなら12つ、3日なら18個、というように。但し、依頼を報告できるのは予定日が過ぎてから。故に受注してその日に報告はできない。
森を貫く細い一本道を歩く、左右からは風が林を騒がせる音、何かの鳴き声が聞こえてくる。上空には鳥が数羽飛んでいて、太陽が林の切れ間から覗いている。そろそろ昼だろうか。
「あともう少し歩いたら、昼飯にでもしないか?」
「ええ、構わないわ。お腹も確かに減ってきたころかしら。」
二言三言交わしながら、黙々と歩く。2人並んで歩く、その後ろをガルムが、テンを背に乗せつつついてくる。シェムは自分の肩の上、いつもの定位置。
午前まででステータスはここまで上がっていて。
Name: アスカ
Title:
Unique Skill: <魔力増大>
Skill: <召喚魔法レベル1>、<闇魔法レベル2>、<火魔法レベル2>、<MP回復速度上昇>、<共通語>、<筋力強化>、<俊敏性強化>、<体質強化>、<知恵強化>、<鑑定魔法>
Level: 92
HP: 3500/3500
MP: 23350/26500
Constitution: 35
Wisdom: 265
Strength: 15
Intelligence: 240
Quickness: 20
Bonus Status Point: 0
Bonus Skill Point: 1
テン(ハイ・フレイムスライム) Level:79
シェム(ハイ・スケルトン・フェアリー) Level:89
ガルム(ダークウルフ) Level:80
<知恵強化>、知恵のステータスが5上がるものだろうが、ユニークスキルは重複するのか一気に25上がって。このままどんどんその方向に成長させていたらどれだけのことになってしまうのか。少し我ながら恐ろしさも感じている。
また、90レベル帯で足踏みしている間に、彼らのレベルも近づいてきていて。シェムはもうすぐに90レベルになるだろう。そしたら召喚モンスターにもレベルの上がりにくいレベル帯が存在するのかが判明する。無いといいのだが、ただでさえ経験値が必要な召喚モンスターのレベルが全然上がらなくなってしまうではないか。そして、次の上位種への進化のレベルはいくつだろうか。きりが良いところで100だろうか。
そんなことを考え、黙々とあるいたところで、太陽が頭上に。
「さぁて、そろそろ休憩、昼食の時間にでもしますか。」
「やっとかしら。さっきその言葉を聞いてから結構時間たったわよ。声かけても何か考えているのか返事がなかったし。ソロだと話しかけられることもないからわからなくなるのかしら?」
「サラ、あんたもソロだったと記憶しているが?」
「からかっているのよ、当然でしょう?」
そんな軽口を叩きあいながら昼食に。まずは、ガルムに生肉を与える。そろそろ買った肉も底が見え始めてきた、確保しなければ。ここらにも生肉が取れるモンスターはいるそうで、ただ新米育成のためランクの高い冒険者は狩らないで購入してほしい、とギルドから釘を刺されてしまった。まぁ、できれば狩りたかったが敵を作るのも良くないだろう。素直に購入することにしよう。
「その肉は何の肉なのかしら?」
ガルムが肉を齧る、その姿を指して問うサラに、
「ヴィヴィッドラビットだ、ディセの市場で相当量買い込んできていてな。」
「あぁ、そうなの。へぇ、召喚モンスターも食べ物を食べるんだ。」
「そりゃ生き物、当然だろう。」
「じゃぁ、野生のモンスターはどうしているのかしら。殺すとすぐアイテム化、狩ることなどできないはずなのだけれど。」
「さぁ、自分もわからないが。仙人でもなし、霞を食んで生きているわけでもないだろうから、何かは摂取しているのだろうが。」
「今までそんなこと一度も気にしたことがなかったわ。大きな図書館に行けばわかるかしら、それともギルドの人が知っていたり?村の狩人なら知っているかもしれないわ。」
「帰ったら聞いてみるとするか。」
そういいつつ、サンドイッチを作る、この作業も手慣れたもので何も見ずとも簡単に。
「パンに何を挟んでいるの?青菜はわかるんだけど、それは何かの肉かしら。」
「塩漬け肉、原料はわからないが。」
「へぇ、私も原料は知らないけど、それは少し味気なくないかしら?」
「まぁ、パンの味と塩味、少し青菜と肉の味というところかな。」
「あぁ、だったら私のほうがましだわ。」
そういって、サラは果物を齧る。先ほどはパンを何かにつけて食べていた。
「さっきのパンにつけていたものは?」
「あぁ、油よ油。油に塩を混ぜたもの、食べたことないかしら。」
たしか、ヨーロッパあたりではオリーブオイルに塩を混ぜてパンにつけて食べていた、昔食べた記憶がある。
「ふむ、たしかに昔一度はあるな。おいしいが、それこそ味気なくないか?」
「慣れよ慣れ。」
そうして、昼食の時間は過ぎていく。




