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或る世界の軌跡  作者: 蘚鱗苔
1 召喚、地固め
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仲間が増えたy(ry

 この村に着いて、早くも十数日、今までに達成した依頼の数は70余り、Aランクまであと少し。金もかなり貯まり、銀貨100枚分たまっている。相当金があるようにも思える、たしかにそれはこの世界の一般人の平均的な所得からすると全然高額な所得になりえるだろう、しかし出費が大きいのだ。こうやって金はどんどんたまるものの、敵モンスターの強さも増す一方。それ故防具や武具に損傷が生じ、修理や補修の必要性がある。現に、この数十日で防具は1度補修、ミセリコルデは3回研ぎなおしてもらったほど。今までのモンスターは腕試しと言わんばかりに攻撃をしてくる上級モンスター、少なくとも数回は命の危険を感じたほど。近接戦闘が得意なモンスターならば対処はできる、遠くから安全に魔法を撃っていればいい、問題は遠距離攻撃をしてくるモンスターに、空中を移動するモンスター、この大森林には、前者の例としてはオーガスメイジとオーガスリーダー、後者の例としてはフォレストイーグルが生息している。

 オーガスリーダーは、オーガの団体の約3割ほどだろうか、その中で指揮をしていて、魔法を使ってくる上に頭もよく、自分をオーガに守らせたり、時折的確な指示を飛ばしたりしてくる強敵。フォレストイーグルは時折姿を見せる鷹で、大きさは80センチほど、木々の枝のせいで向こうは自由に飛べないが、こちらの魔法も引っかかるので厄介なことこの上ない。それに加え、爪が鋭く、防具に解れがでてくる厄介さ。

 そして何よりもこの森林で警戒すべきモンスターは、妖精たち。彼らはオーガ達のいる領域の奥に住んでいて、集団で生活しているらしい。普通ならば会わないのだが、極たまにオーガの生息地域まで出張ってきて、2回ほど遭遇した。1回目は数匹で行動している、ただただ普通のハイ・フェアリーとハイ・フェアリーウォーリアの混合部隊だったので楽々と殲滅できた。ただ、先日あった集団はそれとは格が一回りも二回りも違って。おそらく集団まるまるで来たらしく、ハイ・フェアリー10匹、ハイ・フェアリーウォーリア7匹、ハイ・フェアリーメイジ5匹、これは攻撃魔法に特化した妖精と同時に遭遇して、死にかけた。1匹1匹は低級、中級モンスター程度、余裕といえば余裕なのだが、数が多すぎたのが原因。それに加え、彼らを統べる存在ごといたのが不味かった。ハイ・フェアリークイーンと呼ばれるメスの妖精は、頭に金冠を被っており、周りをハイ・フェアリーナイトと呼ばれる騎士の姿をした妖精に守られていて。ハイ・フェアリーナイトでさえ上級下位モンスター、それが3匹で守るクイーン、それ自体も戦闘力はかなり高く、上級中位モンスター。なぜ弱いモンスターを守りに使っているのか、そのナイトたちの練度が非常に高いからで、シェムの麻痺の煙がなかったらと思うと今でもゾッとするほど。


 おそらく、奥に行くとこのような妖精の集団がもっといるのだろう、下手するともっと大きな集団が跋扈している世界なのかもしれない、依頼を見たところ、Aランク依頼には存在していなく、ギルドの人に聞くと、それらは依頼としておいてないそう。予想は当たっていた、もっと大きな集団も居てAランク冒険者でもベテランでなければ厳しいクラスのものもいるという、故にAランクまであるとは言っても、メインがF~B程度のここらでは依頼にしていないそうだ。一応、言えば依頼は作るが、ちょっとテストを受けてもらいますとのこと、Aランク冒険者もそんな多くないらしく、特に若い人だとなおさら、故に命を投げ捨てるようなマネはさせない、ということだろうか。

 

 ある日、1日の狩りが終わり、依頼を報告したあと、酒場に向かって歩いている最中。教会と同じ場所にあるギルド、それ故酒場は別の建物だそうで。また酔った冒険者が迷惑をかけるのことのないように、という名目で結構離れた位置にある、村の反対側。それでも結構繁盛しているのは、村に夜の娯楽がほぼない為か、それとも酒好きの冒険者が多いのか。老若男女、10代から果ては40代まで、少しだが人間以外の人族もいるようで。猫耳が生えた厳つい男、日本でゲームに慣れていた自分からしてみたら非常に嫌な絵、そんな人もいる。

 いつも通り酒場の端で1人ワインを煽る、チーズもあるようで、良い肴。塩漬け肉にチーズを載せて、上に一振り胡椒をかける、ただこれだけで、酒が余計美味しくなる。それに舌鼓を打ちつつ、酒場を見渡す、これが日没過ぎまでの日課になっていて。今日もそれに精を出す、こちらには早くも酔いつぶれる親父、あちらには笑いあって酒を飲み交わすカップル。おっと奥では酔った冒険者さんが村娘をいつも通り口説いているようで、たしかアレの父親は厳しくて、そろそろ酒場に迎えに来る時間だったような、これも毎日の光景。


 「ちょっと、いいかしら。」

 ふと声をかけられる、驚き、振り返るとそこには女、20代ほどだろうか、化粧はしていない、鎧を身に纏っているあたり冒険者なようで。

 「貴方が、Bランク冒険者さんのアスカよね?」

 「あぁ、そうだが、何の用かな?」

 「まずは、自己紹介をさせてもらうわ。私はサラ、貴方と同じBクラスの冒険者、片手剣を使ってるソロの冒険者。」

 同ランク、しかしソロの冒険者、しかも片手剣、もう片手に何を装備しているのかは知らないが、盾だとしてもそうそう簡単なことではないだろう。

 「本題に入るわね、貴方、ソロで冒険しているのよね、できたら少しの間一緒に冒険してほしいのだけど。貴方、この前宿の人に3か月ほど前金で払っていたでしょ?だから、Aランクになって、モンスターの強さに慣れるまでの間だけ、どうかしら。」

 共に冒険をしてほしい、それもこの話ぶりだと3か月の間ずっとだろう。鑑定の魔法をかけると、レベルは75、自分より低い、力と体力極振りなようで。この人もユニーク持ちか、素早さも結構な値まで上昇している。しかし、

 「こちらのメリットは?今の状態で俺は安定しているんだが。」

 「え、だって貴方魔法使いでしょ?噂じゃモンスターを使役しているって聞いたけれど、騎士でも使役しているのかしら?盾役になるわよ?こう見えても私結構防げるの。」

 盾、か。確かに接近戦はあまりしたくはない故それは美味しいように見えるが、しかしAランク昇格まででいいのではないだろうか。

 「わかった、Aランクになるまでは組もう。但し、なってからも共にやるかどうかは決めない。期待はするな。」

 「あら、いけずね。ほかにもメリットはあるわよ?例えば夜伽とかね。」

 「冗談冗談、そんな目で見ないで。それに、盾役だけじゃないわよ、魔法使いにはない火力もあるの、こうみえてもね。」

 そう、魔法使いは火力がないものなのだ、この世界では。この世界において、魔法というものは遠距離から簡単に、安全に攻撃できる分魔法1発あたりの火力は高いとは言えない。剣や槌などの近接武器の一撃と比べると1発あたりの火力では相当劣る。なので普通の魔法使いは低い威力をカバーする意味合いを込めて、近接職の人は援護と回復を求めてパーティを組むそう。故に魔法使いのソロなど不可能、普通の人には。<魔力増大>のおかげで知能値が非常に高いからこそできる技。


 まぁ、いいだろう。おそらくこのまま断っていても無駄に引き下がってくる、そう彼女の目が言っている。Aランクに昇格するまでは行動することが決定し、明日朝7時ごろにギルドの前で待ち合わせ。

 

 トリスを連れて行動する、彼女を守って行動する練習、それの練習台になってもらおうか。

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